『デジモンユニバース アプリモンスターズ』は新たなブームを生み出せるか?
文:編集長 豊田恵吾
●ガッチモンの浸透がブームのカギを握る
1997年に誕生した『デジモン』。
ゲーム、アニメ、マンガ、玩具といったメディアミックス展開により人気を博し、来年には20周年を迎える老舗のIPだ。
2016年10月からは最新作『デジモンユニバース アプリモンスターズ』のテレビアニメがスタート。
2016年12月1日にはゲーム(ニンテンドー3DS用ソフト)も発売されて、これまでのシリーズと同様、マンガ、玩具、データカードダスといったメディアミックス展開が行われている。
この秋、新規に立ち上がったばかりの『デジモンユニバース アプリモンスターズ』はまだそれほどの盛り上がりを見せていない。
だが、ブームが巻き起こる兆しがいくつかある。
なぜそう思うのか?答えのひとつはアニメにある。
アニメ放送が始まるまでは、タイトルから「アプリ?『デジモン』が若年層に向けて新たに仕掛けてきたのかな?」と軽く捉えていた筆者が食い付いた理由は、シリーズ構成に加藤陽一氏の名前を見つけたからだ。
加藤陽一氏は、アニメ『宇宙兄弟』や『アイカツ!』、『妖怪ウォッチ』などのシリーズ構成・脚本を手掛けており、個性的なセリフとともにキャラクターを浸透させていくことで知られる人物。
実際に、『デジモユニバース アプリモンスターズ』では、ガッチモンの「キサマの未来は検索済みだ!」、花嵐エリの「あなたのハートにドッカンパンチ!」などを発案し、好評を得ているのだ。
キャラクターの話が出てきたので、アニメのストーリーについて簡単に説明しよう。
●ストーリー
主人公の少年・新海ハル(中1)は、選ばれし人間だけが扱える“アプリドライヴ”を手に入れ、検索アプリのモンスター・ガッチモンと出会う。
ガッチモンによると、スマホの奥に広がるインターネットの海で、今“凶悪なるラスボス人工知能・リヴァイアサン”がとんでもないことを企んでいるらしい。
日々、友達に比べて自分はどこか脇役っぽいと感じていたハルは、その騒動を巡って、初めて大きな一歩を踏み出す。
「なるんだ!ボクがホントの主人公に!」
その決意のもと、ガッチモンとペアリングし、バディとなったハルは、“アプモンチップ”となって現実世界に出てきたガッチモンを、“アプリドライヴ”によって実体化=“アプリアライズ”させて、敵のアプモンに立ち向かう!
他のアプモンの力を借りる“アプリンク”。
そして、新たなアプモンに進化する”アプ合体”を駆使し、ハルは騒動を起こすアプモンとアツく戦い、ネットの海に潜む人工知能について知っていく。
すべての鍵を握るのは優しさ。
仲間とともに現実と向き合い、自分の人生の選択をしていく新感覚バディストーリー。
(アニメ公式サイトより)
加藤陽一氏きっかけで見始めたアニメだが、失礼ながら意外にも骨太でアツイ内容。
いちばんアツイ要素は、上でも書かれている“アプリンク”だ。
アプリンクとは、アプモンどうしがリンクしてパワーアップするというもので、アニメでは仲間になったナビモンとアプリンクして攻撃!さらに、アプリンクは特定の組み合わせで“アプ合体”が発動する。
『デジモン』でたとえるならば、“ジョグレス進化”のようなものと言えば伝わりやすいだろうか。
アプリンクはゲームでも重要な鍵となっており、「つぎはどんな新しいモンスターが出てくるのか?」というワクワクする感覚を味わえる。
さらに、アニメで出てきたアプモンがゲームに登場すると必然的に盛り上がりが生まれ、「あのモンスターを仲間にしたい!!」と、『デジモン』をやり込んでいた往年のファンならば懐かしさを感じるだろうし、しばらく『デジモン』から離れていた人にとっては、知らないモンスターが登場する“新鮮さ”が堪らないはずだ。
※ゲームの詳細についてはコチラ
ほかにも、インターネットをキーワードとしていたり、番組宣伝にYouTuberを起用するなど、子どもたちに浸透するような現代の要素をうまく取り込んでいる点も見逃せない。
YouTubeにはテレビアニメ第1話に加えて、最新話が“見逃し配信”として公開されているので、気になった方はまず一度、視聴していただきたい。
※『デジモンユニバース アプリモンスターズ』公式チャンネルはコチラ
数あるアプモンの中でぜひ覚えておいてほしいのが、主人公の相棒、ガッチモンだ。
名前の由来は、検索アプリのモンスターということで、“合致”がもとになっている。
大きな目と、これまた検索を連想させる虫めがねのついた赤いヘルメットがトレードマーク。
クロスメディア展開でもっとも重要な要素は、各コンテンツを連動させる、キーとなるキャラクターだ。
いまはまだ認知度は低いかもしれないが、このガッチモンが世間に浸透し、ブランド化されれば、『デジモンユニバース アプリモンスターズ』は一気に化ける可能性がある。
そして、ガッチモンにはそれだけの魅力があるキャラクターだと筆者は考えている。
『デジモンユニバース アプリモンスターズ』は、まだまだ始まったばかり。
アニメ、ゲーム、玩具……。
どれがきっかけでガッチモンがブレイクしても『デジモンユニバース アプリモンスターズ』は子どもたちのスタンダードとなるだろう。
前述したように、アニメは骨太な作りだし、ゲームもボリュームがあり、クオリティーの高い内容となっている。
この記事で少しでも興味が湧いたならば、アニメを観たり、ゲームをプレイしたり、玩具を楽しんでもらえればうれしい限りだ。
編集部では、『デジモンユニバース アプリモンスターズ』プロジェクトの今後をしっかりと見届けていきたいと思う。
キズナをつなぐ冒険に出発!
バンダイナムコエンターテインメントより発売中の、ニンテンドー3DS用ソフト『デジモンユニバース アプリモンスターズ』。
スマートフォンアプリに潜む“アプリモンスター”と人間が協力し、キズナをつなぎながら冒険をくり広げていくのだ。
※ゲーム公式サイトはコチラ
悪のAIとの闘いを描く
選ばれし者のみが扱える“アプリドライヴ”を手にした少年、新海ハル。
作中ではガッチモンとの出会い、そして悪の人工知能リヴァイアサンと戦う姿が描かれる。
ハルが仲間とともに現実に向き合い、成長していく新感覚の“バディ”ストーリーに注目だ。
テレビ東京系6局ネット・BSジャパンにて放送中。
『アプモン』公式YouTubeチャンネルでは見逃し配信も行われている。
※テレビアニメ公式サイトはコチラ
アプモンチップでゲームと連動
アプリドライヴが玩具になって登場。
アプモンチップをセットすると、劇中同様の音と演出で、アプリアライズやアプリンク・アプ合体が楽しめる。
また、アプモンチップのQRコードを読み込むことで、ゲームへアプモンの追加が可能だ。
そのほか、アプリアライズアクションシリーズというアプモンの立体物も販売中となっている。