現実と同じ2年の時を経て『2』に進化した正統続編! 各ブキの進化にも迫る『Splatoon2』開発者インタビュー
文・取材:編集部 世界三大三代川
●進化したイカが、この夏上陸!?
Nintendo Switchのティザー映像の中で、その片鱗を見せ、2017年1月13日に開催された“Nintendo Switch プレゼンテーション2017”で、本体の詳細とともに、正式にタイトルが発表された『Splatoon(スプラトゥーン)2』(以下、『スプラトゥーン2』)。
斬新なルールと、イカしたグラフィックで一世を風靡した『スプラトゥーン』は、イカに進化を遂げたのか。
本作の開発の経緯からコンセプト、そして、新しくなった各ブキやスペシャルウェポンなど、みんなが気になるであろうアレコレを、プロデューサーの野上恒氏にうかがった。
※本インタビューは、2017年1月14日に行われたものです。
■プロフィール
●『Splatoon(スプラトゥーン)2』
プロデューサー
野上 恒氏
(文中は野上)
『スプラトゥーン』や『どうぶつの森』シリーズのプロデューサー。
『スプラトゥーン』でよく使うブキはチャージャー。
最近、野上氏に似たイカ研究員は、イベントなどで涙腺の弱さを露呈することが多い。
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●『2』の名を冠した正統続編として
――ついに新作が発表されました。
本作のコンセプトなどを、改めてお聞きできますか。
野上『2』という名前の通り、『スプラトゥーン』の正統続編になります。
前作を遊んでくださったお客さんに、『2』として期待していただけるものを作っていますし、遊んでみたかったけど触れていなかったという方が、この機会に遊び始めてみようと思っていただけるものを目指しています。
そういう意味では本当に、正統続編ですね。
――サブタイトルもない『2』というタイトルは直球だなと感じました。
このタイトルにした理由は?
野上お客さんも、『2』になった『スプラトゥーン』を期待していただいているだろうなと思いまして、それにストレートにお応えしようと。
――たとえば、ニンテンドウ 64の『どうぶつの森』に対して、ニンテンドー ゲームキューブで『どうぶつの森+』が出たように、アップデート版を出すという選択肢もあったと思いますが。
野上そうですね。
アップデート版を作る案もなくはなかったのですが、『スプラトゥーン』の発売から2年経って、お客さんが前作をしゃぶり尽くすほど楽しんでくださっていましたので、要素を追加するだけでなく、一度リセットして考えないといけないと思いまして。
これまで遊んでくださったお客さんたちも、もう一度最初から新鮮な気持ちで遊んでいただけるものにしようと作り始めました。
――ということは、正統続編としていろいろと一新されているわけですね。
野上もちろん、基本的なプレイ感覚は継承していますし、ナワバリバトルの基本ルールも変わりませんが、“Nintendo Switch プレゼンテーション2017”でもお伝えした通り、スペシャルウェポンはすべて一新しています。
ブキも一度リセットしまして、前と同じように徐々に追加する形にしようと考えています。
総数としては前よりも増やすつもりで、初めから登場させる数も前より多い予定ですが、徐々にブキが増えて、ブキのトレンドが移り変わっていく様子を、お客さんにもう一度体験して、楽しんでもらいたいなと考えています。
同じメインウェポンでもスペシャルウェポンは入れ換わっていますし、サブウェポンの構成も見直すので、『スプラトゥーン』を経験されている方にも、試行錯誤を楽しんでいただきたいと思っています。
――前作と同じような、バトルの変遷が体験できると。
野上環境の変化といっしょに自分が成長していく経験が味わっていただけたと思いますので、当時の感覚にワクワクしていただいた方もいらっしゃると思うんですよね。
『スプラトゥーン2』でもあの感覚を体験していただきたいと思っています。
――「バケツみたいなブキが追加されるらしいぞ!?」とか(笑)。
野上はい、ああいう感覚をまた(笑)。
新しいブキが出てくると、既存のブキの使いかたも変わって、主流のブキがどんどん入れ替わっていくことがありましたよね。
最初にローラーやプロモデラーが多かったのが、スプラシューターコラボが増えていったりとか。
――懐かしいですね(笑)。
プレゼンテーションでは、“世界中の皆さんと同時に”というお話をされていましたが、今回もワールドワイドに展開していくのでしょうか?
野上はい。
基本的には世界中のお客さんで遊んでいただけるようにしていまして、前のようにフェスなどは地域ごとに分けて開催しようとしています。
前作と変わらず、基本は世界中のお客様どうしで対戦ができるようにしています。
――『2』と言えば、プレゼンテーションで披露された“2”のポーズは衝撃でした……。
野上あれは……、スベるのを覚悟していました(苦笑)。
――しかも、あの関係者の多い空気の中で、まさか2回やるとは思わず、2回目を披露したときには「やった!!!」と妙な感動をしました(笑)。
野上1回だと伝わらないと思いましたので。
2回目はちょっとタメました(笑)。
――折れない心がすごい!これは余談ですが、あれを見た海外メーカーの方が、「ノガミという人は、ああいう人なのか?」と気にしていたそうです(笑)。
一同(笑)。
野上いやいや、あれはイカ研究員で、僕ではありませんから(笑)。
――そうでした(笑)。
話が横道にそれましたが、今回のブキについていろいろとお聞きしていきます。
いちばんの注目は、やはり新規カテゴリーの“マニューバー”だと思います。
野上そうですね。
前作のシューター、ローラー、チャージャーのようなカテゴリーのひとつとして、新しいブキ種“マニューバー”が登場します。
今回発表した“スプラマニューバー”は、その代表格ですね。
――では、スプラマニューバーのほかに、コラボやデコなどの異なるものが出たり?
野上そうですね。
マニューバーでも何種類かバリエーションを登場させる予定です。
――体験台で使ってみましたが、スプラマニューバーの特徴を教えていただけますか?
野上照準がふたつありますので、当てやすいという利点があります。
ただ、その反面、インクが散るので、1点に集中するブキよりは、相手を倒すまでにかかる時間が長くなる場合があるというメリットとデメリットがありますね。
――なるほど。
つまり、インクが散るぶん、塗りは強いと。
野上塗りはシューター並ですね。
マニューバーの特徴であるスライドをすると、構えかたが変化するのですが、そのときはインクが1点に集中して、連射能力も上がります。
――スライド後のほうが、集弾性が高いんですね。
野上そうですね。
ただ、そのぶんスライド直後は少しのあいだ動けなくなります。
スライドで敵をかく乱できる反面、無闇に使うと隙ができてしまいます。
――マニューバーは、以前から考えていたブキなんでしょうか?
野上『2』を作ることになったときに、以前と大きく性能が違いつつ、ビジュアルを見たときに、お客さんが「使ってみたい!」と思えるブキを作らないといけないなと思いまして。
二丁拳銃って……こうロマンがあるじゃないですか(笑)。
それで二丁拳銃に合った性能を考えたときに、ブキを重ねると集弾性が上がり、ブキについているふたつのノズルでカカッと2回スライドができる性能を考えました。
――確かにロマンありますね!ほかにも、いろいろと新しくなった要素がいろいろありましたね。
ローラーでは、タテ振りの登場に驚きました。
野上地上は前作と同じヨコ振りで、空中でローラーを振るとタテ振りができるようになっています。
タテ振りの特徴は、射程の長さですね。
今回、タテ振りを加えた意図としては、ローラーが活躍できる場面を増やしたいと思いまして。
ローラーは接近戦に強いのですが、遠距離の相手は苦手でした。
タテ振りを入れることで、戦うときの選択肢がひとつ増えたイメージですね。
――スプラローラー系で使うことが多かった、ジャンプ中の振り下ろしがタテ振りになると。
野上遠くから狙われたときに、逃げるだけではなく、反撃するという選択肢が増えることになると思います。
――そのぶん、タテ振りは横への攻撃範囲が狭いわけですね。
野上横の塗りが狭くなったので、ヨコ振りとタテ振りをうまく使い分けていくことが大事になります。
――ちなみに、今回もダイナモローラーのようなブキは登場するのでしょうか。
ダイナモのタテ振りは、チャージャー並の飛距離になりそうですが……。
野上性能は調整しますが、前作に登場したメインウェポンは、すべて登場します。
各ブキの詳細な性能は研究中です。
――性能が気になりますね。
チャージャーは、チャージ状態を保ったまま移動できるようになりましたね。
野上チャージを保ったまま移動することを、“チャージキープ”と呼んでいます。
フルチャージした状態でイカになると、しばらくフルチャージ状態を維持しながら移動できますね。
イカの状態から戻ると、フルチャージで構えた状態になります。
一定時間移動していると、チャージ状態は解除されます。
――たとえば、チャージした状態で敵が近づいてきたら、逃げるときにチャージを解除しないといけなかったのが、そのまま移動できるのは影響が大きいように感じます。
野上そうですね。
チャージャーは、接近戦が苦手なので、相手に近づかれてピンチになった場合、距離を取って撃つこともできますし、目の前に来た敵から、ちょっとだけ左右に移動して撃退ということもできます。
出てすぐに照準を合わせないといけないので、かなりテクニカルではありますが。
――シューターの変更点はいかがでしょうか?
野上シューターに関しては、基本性能に大きな変更はありません。
やはりシューターは汎用性の高さがウリで、いろいろな場面で使えるのが特徴ですので、『スプラトゥーン』の基本ブキとして性能はキープしています。
――ブキのカテゴリーで言うと、スロッシャーとスピナーはまだ情報が出ていないようですが?(編注:インタビュー時点では、これらの情報は出ていなかった)
野上体験会で公表したメインビジュアルを見ていただくと、じつはスピナーがいるんです。
あと、もちろんスロッシャーも存在します。
ほかにも、ブラスターやフデなどの派生的なブキ種も含めて、前作に登場したメインウェポンはすべて登場します。
――では、今回のブキは、前作のラインアップに追加されていくイメージでしょうか?
野上そうですね。
全体的に性能が調整された状態でリリースされますが、最終的な数は前作よりも多くなる予定です。
――なるほど。
サブウェポンでは、新しくカーリングボムが紹介されました。
野上カーリングボムは、投げると地面を滑るように進むボムですが、よく見るとボムの上部にメーターがついているんですよ。
構え始めるとメーターが減っていくので、投げるまでの時間で、投げた後にどのタイミングで爆発させるかを調整できます。
ほかのボムとはちょっと扱いかたが異なりますね。
――相手の動きを読んで使うイメージでしょうか。
野上壁に当たると跳ね返ったりするので、投げる方向も大事ですが、相手に当たるタイミングで爆発させるために、時間の調整も重要です。
爆発する前にボムに当たった相手はノックバックはするものの、倒すことはできないので。
――え!当たっても爆発しないんですね!
野上ノックバックだけですね。
ただ、壁で跳ね返しつつ、タイミングよく爆発させれば、障害物の裏に隠れている相手も狙って倒すことができます。
これまでのボムとは違う使いかたができると思います。
――スペシャルウェポンに関しては、完全に一新とのことですが。
野上一新ですね。
以前にあったスペシャルウェポンはすべて入れ換えます。
――新しくすることになった理由は、操作方法が変わった影響などがあるのでしょうか?
野上それもなくはないのですが、戦略をリセットしたいというのがありました。
ゲームでいちばんよく使うブキはメインウェポンとサブウェポンですので、基本的な戦術は前作を踏襲していますが、スペシャルウェポンの使いかたが、戦況を変える軸になっていますので、その軸を変えることで、全体的に戦略が大きく変化します。
先ほどお話ししましたが、前作をやり込んだ人ももう一度スタートラインに立った状態から楽しんでもらえるように、という狙いで一新しました。
――今回から始める人はもちろんですが、前作のプレイヤーも、前作の経験は活かしつつ新鮮な気持ちで楽しめそうですね。
野上イカ自体の扱いやメインウェポンの扱い自体は、プレイヤーの腕前がキープされた状態ですが、戦略としては1回リセットになっています。
――“ジェットパック”は、グレネードランチャーのようなイメージでしょうか?
野上そうですね。
着弾地点で破裂して広範囲にダメージを与えられます。
ボムのように相手を牽制することもできますし、直撃させれば一撃で倒すこともできます。
――無防備に浮かんでいると、チャージャーに狙われやすそうですよね。
野上かなり目立ちますからね(笑)。
僕もチャージャーでプレイしているときは、相手に使われたら狙うようにしています。
ジェットパックの攻撃は、発射間隔がそれなりにあって連発はできないようになっています。
ちょっと離れた有利な位置から使うといいかもしれません。
スペシャルウェポンがあると、相手の攻撃が終わるまで待とうとか、反撃して止めようとか、戦略が変わりますよね。
ジェットパックも、そういった核になるようなものとして考えています。
――浮いている状態ですと、ふだん越えられない高さの壁も乗り越えられるのでしょうか?
野上はい。
イカの身長でいうと、3倍くらい高く浮きますので、ふだん乗り越えられない敵陣地などにも入り込めます。
それを活かして、ふだんは入れない場所から相手を狙うといった戦略も考えられると思います。
ちなみに、ZLボタンでイカになることで高度を下げることもできます。
噴射が終わると、スペシャル発動時にいた場所に戻ります。
――なるほど。
あと、“スーパーチャクチ”が、非常に強そうだなと感じました。
野上見た目が派手ですからね。
ただ、使いどころをちゃんと考えないといけないスペシャルウェポンになっています。
というのも、落下し始めると無敵なんですが、その前は発動中でも攻撃されるとやられてしまうんですね。
ちなみに、スーパージャンプ中にも使えるので、着地地点の周囲にいる敵を倒すこともできます。
発動するまでに少し時間がかかるので、早く発動させすぎると避けられてしまうし、敵の近くで発動すると狙われるという、使いどころを選ぶものになっています。
――映像では、ボムラッシュのようなものも登場していましたね。
野上はい。
あれは、昔、弊社が発売していたウルトラマシン(編注:任天堂が1968年に販売していた玩具。
バッティングマシンのようにセットしたボールをつぎつぎと発射する)のような見た目になっています。
前作のボムラッシュに近いように見えるんですが、ちょっと違うようです。
――あと映像にあったスペシャルウェポンで気になっているのが、ミサイルを発射して雲を作っているような……。
野上ああ、あれは、まだ研究中ですが……。
しばらくのあいだ雨雲を発生させて、インクの雨を降らせることができるようです。
スペシャルウェポンは、前作では7つあったんですが、本作では7つよりも増やす予定です。
――また、前作のように組み合わせが決まっているのでしょうか?
野上メインウェポン、サブウェポン、スペシャルウェポンがセットになっているのはいっしょですが、スペシャルウェポンの一新にともなって組み合わせは見直しています。
――あとは髪型が新しくなったほか、ボトムスが増えているという情報がありました。
野上髪型とボトムスに関しては、前作の目の色や肌の色と同じようなものですね。
戦闘には関係なく、見た目のアクセントをつける要素です。
それ以外のアタマ、フク、クツにはギアパワーがついています。
――ギアパワーも種類が増えているのでしょうか?
野上詳細はまだお伝えできませんが、調整することになると思います。
――ステージはバッテラストリートのほか、映像にはタチウオパーキングのようなところがありましたね。
しかも、前作のストーリーモードにあった“インクレール”のギミックがついにバトルに登場していました。
野上ステージも新しいものをどんどん追加しようとしています。
今回のPVでも3つ新しいステージが出ています。
加えてもうひとつ、見たことのあるような場所も見えますが、そこにも変化が加わっています。
――全体的なブキの調整は、どのようなイメージで調整されているのでしょうか?
野上いちばん大事にしているのは、使ってみたくなるという点ですね。
カッコいいとか、触っていて気持ちいいとか、それをいちばん重要視しています。
マニューバーも強そうだから使ってみたいという方もいらっしゃると思いますが、単純にスライドアクションがカッコいいとか、気持ちよさそうだからという理由で選んでいただいてもいいと思います。
もちろん、性能などもちゃんと調整していますが、重視しているのは使いたくなるというイメージです。
――今回はマニューバーがありましたが、そのほかにも新カテゴリーのブキがあるのでしょうか?
野上どうでしょうね……。
まだまだ研究中ですから、まだお伝えできていないものもありますし、今回発表したものでも、これから変わる部分もあると思います。
――そうですよね。
前作のときも、2014年のE3(アメリカで開催される、Electronic Entertainment Expoの略。
前作の『スプラトゥーン』は、2014年のE3で初公開された)で発表された後、ステージのデザインなどが大きく変わっていましたし。
野上そうですね。
だいぶ変えましたからね。
僕らも前作の『スプラトゥーン』でいろいろ学んだところがあり、その中で培ったノウハウもあるので、ここから自分たちで何度もプレイしてみて、できるだけバランスが取れた状態でお客さんに届けたいと思います。
――社内では、開発中のものでプレイされているんですか?
野上ずっとやっていますね。
ブキやステージなどを改良したら、とりあえずプレイしてみてバランスなどを確認しています。
――いいですね!我々も早くプレイしたいです(笑)。
野上もうちょっとだけお待ちください(笑)。
――さっき会場にいた女性のお客さんたちが、「体験台でこんなに遊べるなら、もう発売しちゃえばいいじゃん!」って言っていました(笑)。
野上前作でも2014年のE3のときにそう言われたんですよね(笑)。
ただ、そこから作るもののほうが多かったので、今回もまだまだやらないといけないことがあります(苦笑)。
――楽しみに待っています(笑)。
●現実とともに2年の月日が経ったイカの世界
――世界観などのお話もうかがいます。
今回は、前作から2年後という設定がありますね。
海外のシューター系では、もっと大きな世界設定はありますが、ちょっと身近な設定があるのは珍しいなと思いました。
野上前作から現実の世界が2年経っていたので、それとリンクさせたいなという気持ちがあって。
前作のときにもお話をしましたが、あの世界に住んでいるイカの若者のあいだで流行っている最先端が、ナワバリバトルなんですね。
その周辺にギアなどの文化があって。
その流行が移り変わっているというのを、プレイヤーの皆さんのリアルな2年間と重ねて体験してほしいなと思いまして、2年後という設定にしました。
――前作では、主人公のイカたちは14歳というイメージがありましたが、彼らが16歳になっていると……。
野上前作のプレイヤーだったイカたちは16歳になっていて、つぎの14歳が上がってきたというイメージです。
今回のプレイヤーも14歳ですね。
ミュージックライブのステージで峰岸(峰岸透氏。
『スプラトゥーン』の音楽ディレクターで、作曲担当)が言っていましたが、音楽もトレンドも2年前とは違うものが流行り始めています。
(『スプラトゥーン2』の曲に関する、峰岸氏のコメントは→コチラ)
――PVの曲なども大人っぽい雰囲気だと思いました。
野上そうですね。
ちょっとオルタナティブな雰囲気になってきていると思います。
ストレートなロックから、ちょっとひねったものが流行ってきているというイメージです。
そのあたりは、峰岸が意識的にやっています。
――PVでは後半にいろいろと気になるカットがあって……。
言える範囲でお聞きしたいのですが、まずタコが復活するようですね。
野上はい。
今回もヒーローモードは用意しますし、当然、敵も出てきます。
ただ、これも細かいところは研究中ですね(笑)。
――ジャッジくんの子どものような子ネコがいますね。
野上子どもかどうかもわかりませんが、いっしょにジャッジをしているので、何か関係はあるのかなと。
これもいずれ明らかになっていくかもしれません。
――そして、ホタルちゃんらしきキャラクターの背中が映ります。
切なそうなイメージで、個人的に「シオカラーズ解散!?」と思ってしまったのですが……。
野上アオリもちゃんと出てきますよ(苦笑)。
アオリは、今回、ちょっと忙しくてPVに出れなかっただけで。
そのあたりは、今後の発表をお楽しみにしてください。
――あとは、ロブが出店しているのも気になりました。
野上おお!細かいところまでご覧になっていますね(笑)。
ロブのように、前作に出てきたキャラクターにも、登場の機会は与えたいと思っているんですが、舞台がハイカラシティからハイカラスクエアに変わっていますので、出てくるキャラクターも立ち位置が変わっています。
たとえば、ロブは前作ではクツ屋の雇われ店長だったんですが、独立して自分の店を持っているようですね。
――新しいワゴンのお店、クツ屋じゃないですよね?(笑)
野上食べ物系のお店ですかね(笑)。
このように、ちょっと役割を変えているキャラクターもいます。
――では、そういった変化を探す楽しみもありそうですね。
野上2年経って、イカたちの世界がどうなっているのかという変化を楽しんでいただければと思っています。
現実の2年間で起こるような変化を描くことで、よりリアリティーを持ってイカ世界が存在しているように感じていただけるようにしています。
自分といっしょにIP(知的財産)が育っているのが感じていただけるかなと。
とくに、ロブなんてただの店員で、買い物以外では会話もないんですが、ファミ通さんのマンガの影響もあってか、皆さんにイジっていただいて(笑)。
――失礼しました(笑)。
野上いえいえ、ありがとうございます(笑)。
――続いて、操作方法などをお聞きしたいのですが、Nintendo Switchのすべてのコントローラーに対応していると。
野上すべてのコントローラーでプレイできるように開発しています。
標準で入っているのがJoy-Conコンで、Joy-Conだけでも遊べますが、『スプラトゥーン2』としてはJoy-Conグリップに装着した状態で遊ぶのが標準かなと思います。
それに加えて、Nintendo Switch Proコントローラー。
別売りではありますが、体験してもらうとProコントローラーでの触り心地はかなりよく、『スプラトゥーン2』のプレイヤーには推奨しようかなと考えています。
もちろん、携帯モードでも遊べます。
――スクリーンへのタッチは今回使わないのでしょうか?
野上ゲームプレイには使わない予定です。
スーパージャンプなどの操作も、スティックとジャイロなどの操作でできるように変更しています。
――変更点としていちばん大きい印象は、スーパージャンプだと思います。
野上そうですね。
前作でGamePadに表示していたマップ画面と三人称視点を使い分けるプレイ感覚は継承し、Xボタンで画面を切り換えるようにしたうえで、お客さんが前と同じようにジャンプ先を選んで飛べるという操作ができるように、いろいろ考えています。
――やはり慣れると一瞬で仲間のもとへ飛べるようになるのでしょうか?
野上慣れたら、前作より早くなると思います。
1プレイヤー、2プレイヤー、3プレイヤー、スタート地点と、それぞれのプレイヤーが各ボタンに割り振られていますので。
また、変更点として画面上部に仲間や敵が持っているブキが表示されるようになっています。
ですから、それを見ながらチャージャーのところに飛びたいと思ったら対応する方向ボタンを押して飛ぶといったことができるようになります。
――マップ表示中じゃないと、スーパージャンプはできないんですよね?
野上はい。
マップ表示中ですね。
――確かに、視点をGamePadに落とさなくなったぶん、慣れると早くなりそうですね。
野上ただ、マップ表示に切り換えているあいだは三人称視点での画面が見づらくなってしまうので、そのあいだにスキができてしまうのは変わりません。
前作同様、移動したり、ブキを使うことはできますが。
――ちなみに、マップ表示中にジャイロで動かせるポインターが出ていましたが、あれはどう使うんですか?
野上スーパージャンプは方向ボタンとAボタンといった組み合わせになるのですが、ジャイロでポインターを動かして仲間を指定してAボタンを押しても選択できます。
――ジャンプがXボタンからBボタンに変わった理由は?
野上Wii U GamePadは、右スティックがボタンの上部に配置されていましたが、Nintendo Switchでは、ボタンの下部に変更になっています。
そのため今回は右スティックにより近いBボタンに変更しました。
最初は戸惑うと思いますが、そちらの方が押しやすいのですぐに慣れていただけると思います。
――なるほど。
それ以外は基本的に同じ感覚でプレイできると。
野上そうですね。
Wii Uのときと同じように遊んでいただけると思います。
――さらに今回は、持ち出して外でも遊べるようになりました。
野上そうですね。
ローカル通信にも対応しています。
前作のプライベートマッチが、みんなで目の前に集まって楽しめるというのが、いちばんイメージしやすいと思います。
Wii Uのときも、モニターを用意して持ち寄って遊んでくださっているという話も聞いたことがあるのですが、ふつうはできないので……。
今回はもっと気軽にプレイできるようになります。
――みんなで集まって、目の前で声をかけながらプレイすると盛り上がりますよね。
野上ずっとスプラトゥーン甲子園をやってきていましたが、目の前に友人がいて、声をかけながら遊べるのは楽しいと思います。
今回はそれがもっとやりやすくなるなと。
――ちなみにローカル通信は、プライベートマッチ以外に新モードなどはあるのでしょうか?
野上それは後日また……ということで。
――オンラインサービスの一環として、スマートフォンアプリを通じたボイスチャットなどができるとのことですが、『スプラトゥーン2』もこのアプリに対応するのでしょうか。
また、どういったことができるのか、軽く教えていただけますか。
野上もちろん対応します。
アプリとゲームが連動していて、アプリ側でルームを作り、そこに集まった人どうしで、ゲーム側でマッチングをすることができます。
ルームには、アプリ上の操作でフレンドを招待できますし、SNSなどを使ってフレンド以外の人を招待することもできます。
ゲームを立ち上げる前からルームを作っておくこともできるので、たとえば、昼間のうちに、夜に『スプラトゥーン2』を遊ぶためのルームを作って友だちを招待しておき、人が集まったらゲームを始める、といった、“待ち合わせ”のような使いかたができます。
さらに、アプリ上で同じルームに入室している人どうしであれば、ゲームのプレイ中に、アプリを通じてボイスチャットをすることができます。
この機能もゲームと連動しています。
たとえば、『スプラトゥーン2』のプライベートマッチでは、チーム分け前はルーム内の全員と自由に会話ができますが、チーム分け後は同じチーム内だけの会話に自動的に切り換わります。
ボイスチャットができるのは、アプリ上で同じルームに入室している人どうしですので、見知らぬ人と会話ができるわけではありません。
――なるほど。
今回の発表は、あくまで基本中の基本の発表というイメージですよね。
野上前作で言うと、E3のとき+αの発表をしたというイメージですね。
今回もやっぱりオンライン対戦が『スプラトゥーン』のいちばんのウリですので、そこが新しい要素でどう変わるのか、すべてではありませんが、その一端をお見せしました。
先ほど、ヒーローモードはあるとお話しましたが、ほかにどんな要素があるのかなどは、随時お伝えしていこうと思います。
まだ研究中のところもあるので……。
――楽しみにしています!あとはNintendo Switchの機能として、HD振動がありますが、これはどういう対応をしているのでしょうか?
野上もちろん、HD振動にも対応します。
表現力が上がっていますので、よりいい触感になるよう調整しようと考えています。
――チャージャーで、見事に撃ち抜いたときとかに震えるとうれしいですよね。
野上はい、まさに(笑)。
自分が倒した、やったと思うときに振動がリンクすると、手応えが増しますよね。
振動は、そういった形で使いたいなと考えています。
――Nintendo Switchの性能によって、グラフィックもよりキレイになっているのでしょうか?
野上グラフィックの向上も目指していますが、いちばん重視しているのは、60fpsで動かすことです。
レスポンスを変えてはいけないと思っているので、それを実現したうえで、グラフィックを調整する予定です。
――ほかにも気になるところは、本当にいろいろあるんですが、そろそろ時間が……。
そのほかに、前作からの変更点としては、前作で直したかった部分を修正しているイメージでしょうか。
野上もちろん、細かい部分も含めて、いろいろと調整します。
たとえばブキは、基本的には前作を踏襲しますが、それぞれのブキのよかったところ、長所を活かしながら、皆さんが好きなブキを使い続けて楽しんでいただけるように調整します。
システム面でも改良や新しい要素の追加をしていきます。
――開発は順調に進んでいますか?
野上そうですね。
2017年の夏を目指してがんばっています。
――夏となると、『スプラトゥーン2』でスプラトゥーン甲子園をやるのかどうか……という点が気になります。
野上甲子園をやるかどうかはまだわかりませんが、いままでの甲子園の形にとらわれることなく、何かしらの大会はできればいいなと思います。
今回は持ち寄って遊べますので、公式の大会だけでなく、仲間どうしが集まって開催してもらったりとか、草野球のような、そういった形での大会文化を盛り上げていきたいですね。
――ゆくゆくは、Nintendo Switchのティザー映像で公開されたように、大きなホールで世界中の人が集まるような大会を開催したり……。
野上できたらいいですね。
正直に言いまして、ここまでお客さんに支えていただかなかったら、スプラトゥーン甲子園のあの盛り上がりはありませんでしたから。
第2回の甲子園も、発売からかなり時間が経っていたのに多くのお客さんが参加してくださって。
お客さんに支えていただいているなと思っています。
ですから今回も応援をお願いしたいと思いますし、僕らとしてもその応援に全力で応えていきたいと思います。
――2017年5月で発売から2年になりますが、『マリオカート8 デラックス』にイカちゃんたちが登場することになりましたし、任天堂の看板タイトルのひとつになりましたね。
野上まだまだ精進しないといけないと思っていますが、それもたくさんの方に応援してもらっているからこそできたと思っています。
今日(Nintendo Switch体験会 2017)も多くの方が詰めかけてくださって。
来てくださった方、全員に触っていただけないのは、本当に心苦しいのですが、これだけ多くの方たちに応援していただいているというのは、僕らとしても大きな励みになります。
もっとよりよいものを作っていくパワーにしたいなと思います。
――今後も、どこかで遊べる機会はあるのでしょうか?
野上体験会という形になるかどうかはまだわかりませんが、なるべくたくさんの方に触っていただける機会は考えたいと思っています。
――前作はハードが発売して数年経った後でしたから、“試射会”などもできましたが、今回は新ハードですからね。
野上今回は新しいハードで、本体といっしょに購入をご検討いただいている方もいらっしゃると思うので。
何らかの形で、『スプラトゥーン』に期待してくれている方にもお届けしたいなと思います。
――ちなみに、ファンにとっては、前作のサービスがどうなるかも気になると思います。
野上それは、ご安心ください。
サービスは継続します。
ずっと……というわけにはいかないかもしれませんが、Nintendo Switchが発売されたからといってすぐに終わることはありませんので、引き続き、お楽しみください。
――では最後の質問……の前に、個人的にずっと気になっていたんですが、野上さんが着ていらっしゃるそのTシャツのデザインは『スプラトゥーン2』の……。
野上そうです。
今度のイカTです。
前作のイカTは、ひらがなで“いか”と書いてあるように見えたんですが、今回のはよく見ると……。
(編注:下のTwitterで公開された、ボーイが着ているTシャツと同じデザイン)
――カタカナの“イカ”に見えた!なんて書いてあるのかわからなかったんですが、一度見えてしまうと、それにしか見えませんね(笑)。
それでは最後に、世界中の『スプラトゥーン』ファンに向けてメッセージをお願いします。
野上まだ発売は少し先になりますが、応援し続けてくださっている皆さんも、これから始めようと思っていらっしゃる皆さんも、新鮮な気持ちで『スプラトゥーン』の世界に飛び込んで、また長く遊んでいただけるものを提供しようとしていますので、楽しみにお待ちください。
まだまだ解明されていない情報はあります。
これからちょっとずつ紐解いていきますので、イカ研究所からの報告をお待ちください。
よろしくお願い致します。
――ありがとうございました!
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タイトルとともに、ついに正式発表された『スプラトゥーン2』。
新たなブキの追加などが発表されたが、まだまだ明かされていない情報がありそうだ。
今後のイカ研究所からの報告も楽しみだが、週刊ファミ通2017年2月23日号(2017年2月9日発売)で掲載中の、Nintendo Switch6号連続特集の第3回では、『スプラトゥーン2』&『マリオカート8 デラックス』、『いっしょにチョキッとスニッパーズ』の最新情報をお届け。
ぜひチェックしていただきたい。
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