京都・滋賀の企業、円高・関税復活に警戒 英国民投票

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英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利した24日、京都や滋賀の企業にも衝撃が広がった。
各社は為替の円高や関税の復活などの影響に警戒を強める一方で、円高により原材料費が減少するメリットも視野に入れ、今後の行方を注視する姿勢を示した。
英国を含む欧州事業が、売上高の3分の1を占めるオプテックス。
近年は監視カメラ用の補助照明メーカーなど複数の英企業を買収し、主力の防犯・FA(工場自動化)事業を欧州で強化してきた。
東晃取締役は「何がどう変わるのか把握できず、情勢を見極めたい」としながらも、「主力市場は欧米。
グローバル戦略に変更はない」と述べた。
京滋経済をけん引する電子部品などの輸出型企業は、円高の動向を気にかけた。
海外売上高比率が9割を超す村田製作所は、1円の円高・ドル安が営業利益を約35億円押し下げるため「為替の変動を今後も注視する」(広報室)。
任天堂も「急激な円高の影響は避けられない」(広報室)とし、ユーロ安やドル安の進行に伴う外貨建て資産の目減りなどを懸念した。
日本電産は全体に占める欧州事業の割合は低いものの、円高の進展による収益の押し下げを見込む。
「現在34カ国に進出するが、さらに進出国を増やして為替変動のリスクを分散させたい」(広報宣伝部)という。
英国のEU離脱で今後、貿易障壁がないEU単一市場の特権や、他国との自由貿易協定(FTA)が失われる可能性もある。
英国に下着製造販売子会社を持つワコールホールディングスは「製品の輸出入に伴う関税の費用がかさむ可能性もある」(IR・広報室)とし、関税の成り行きを注視するとした。
先日、米化学メーカーから英国とオランダのガラス繊維事業を取得すると発表した日本電気硝子も「輸出入の関税が復活すれば影響も出かねない」(総務部)。
2013年に英国最大規模の日本食材卸会社を買収した宝酒造も、為替や関税の影響を精査するとした。
京セラは24日に伏見区の本社で開いた株主総会で、株主から英国のEU離脱に関する質問を受けた。
同社によると、山口悟郎社長が「英国には子会社が複数あるが、大きな影響はない」と説明。
為替の変動対策にも触れ、「円高の状況下では海外から部品や部材を安く調達できる。
そのメリットを生かす」と強調した。
英国に生産拠点と研究開発拠点を持つ島津製作所は「英国だけでなく、欧州全体の市場規模が縮小する可能性が高い。
欧州ビジネスにとって明らかにマイナスで、日系企業は痛手を受ける」(広報室)と警戒。
「離脱でヒト・モノの流れの自由度がなくなると、英国に拠点を置くメリットが薄れる」と指摘した。

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