任天堂は自社ハードにVR採用の可能性も検討中、ただし周囲に伝わりづらい点などが懸念材料か
任天堂は、2016年6月29日に開催した「第76期 定時株主総会」の質疑応答を公開しています。
この定時株主総会では、開発中の新ハード「NX」(開発コード名)、バーチャルリアリティ(VR)、そして『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』などに関する質問がされており、取締役社長の君島達己氏、専務取締役クリエイティブフェローの宮本茂氏、取締役企画制作本部長の高橋伸也氏たちにより回答が行われています。
◆VRについて
VRに参画するか否かという質問に対しては、現時点で話せることがないとしながらも「当社も有望な技術として、関心を持って研究をしている」と君島氏が回答しています。
宮本氏は別の株主の質問に対して、ソフト開発の観点からVRに関する意見を話しています。
それによると、任天堂は、VRやAR(拡張現実)に関する3D技術を含め基礎技術は一通り有しており、自社開発ハードウェアへの採用の可能性を含めて検討しているとのこと。
ただし、現行のVR関連製品が長時間継続して使用できるか、あるいは短時間の利用で価値ある体験を提供できるか、そしてVR機器を装着している子供を親が心配せず見守れるかといった点は気にかかる模様。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用したVR体験は個人的なものに限られており、周囲の人に波及しづらいのではないかと推論しているとのことです。
◆NXについて
また、2017年3月に発売予定の「NX」に関しては、宮本氏が方向性について発表。
NXではWii Uと同じく「リビングの生活を変えていくメディア」としてのチャレンジを続けていく予定とのことで、ハードの詳細などには触れられていません。
◆『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』ついて
2017年にNX/Wii Uで発売予定の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に関する情報も明かされています。
高橋氏の回答によると、「E3 2016」で展示された本作は一瞬で整理券がなくなるほどの人気があり、かなりの手応えを感じている模様。
また、NX版もWii U版と同じ体験ができるよう制作されていると発表されています。
◆映像事業について
また、任天堂の映像事業に関する人材はどうするのかという質問も行われています。
なお、質問者は任天堂が映画を制作するというように訪ねていますが、現時点ではあくまで映像などを展開するということのみ発表されています。
この点に関しては、新しい分野に携わる場合には外部のパートナーが重要であるとし、参画するパートナーがいれば交渉を行う予定であると回答しています。
任天堂は多様なキャラクターの権利を一社で保有していることを活かし、世の中で忘れられないものになり続けるためこの事業が展開されていくとのこと。