『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』細井Pと岸田メル氏にインタビュー! 完全新作への意欲やデザインのこだわりを聞く

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文・取材:編集部 ロマンシング★嵯峨、撮影:カメラマン 小森大輔
●学園モノで、王道のストーリーで、フェチも詰まってる!?
コーエーテクモゲームス ガストブランドのPS4/PS Vita用ソフト『BLUE REFLECTION(ブルー リフレクション) 幻に舞う少女の剣』(以下、『ブルー リフレクション』。
2017年3月30日発売予定)。
本作は、イラストレーター岸田メル氏がキャラクターデザイン・監修を、作家の時雨沢恵一氏、五十嵐雄策氏、夏海公司氏がシリーズ構成を手掛ける、現代の学園を舞台にした完全新作RPGだ。

本記事では、細井順三プロデューサーと岸田メル氏のインタビューをお届け。
『ブルー リフレクション』を立ち上げたきっかけや、キャラクターやストーリーへのこだわり、細井氏を始めとする開発チームと岸田氏が頻繁にくり広げているという“フェチ討論”についてなど、さまざまなお話をうかがった。

左:キャラクターデザイン・監修
岸田メル氏
イラストレーター。
『ロロナのアトリエ 〜アーランドの錬金術士〜』、『トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士2〜』、『メルルのアトリエ 〜アーランドの錬金術士3〜』などのキャラクターデザインを担当。
テレビ番組にも多数出演するなど、幅広い分野で活躍中。

右:プロデューサー
細井順三氏
コーエーテクモゲームス所属。
宣伝担当として数々のガストブランド作品に携わった後、プロデューサーに。
本作が初のプロデュース作品となる。

■『BLUE REFLECTION(ブルー リフレクション) 幻に舞う少女の剣』とは
星ノ宮女子高等学校に通う女子高生・日菜子の成長を描くヒロイックRPG。
将来を嘱望されたバレエダンサーだったが、1年前に足に怪我を負い、その後遺症によって踊れなくなってしまった日菜子。
彼女はある日、夕月と来夢という謎の姉妹との出会いをきっかけに、魔法少女“リフレクター”として戦う力を得る。
リフレクターに変身しているあいだは、足の怪我を気にせずに体を動かせることを知った日菜子は、“戦い続けていれば、足が治るかもしれない”という希望を抱き、謎の敵との戦いに赴く。

●企画の始まりは3年前――新たなRPG作りを目指して
――今回、新規IP(知的財産)を立ち上げようと考えたきっかけを教えてください。

岸田僕とガストさんは、『アトリエ』の“アーランド”シリーズから長くお付き合いさせていただいていますが、新しいタイトルを作ろう、というお話はずっとしていたんです。
実際に、細井さんといっしょに動き出したのは3年ほど前ですね。

細井最初は岸田さん、私、メインプランナーの3人で動き始めました。
“現代の学園もの”をやること、RPGを作ることは最初から決まっていて、そこから、どういうコンセプトでキャラクターたちの戦いを描くか、ずっと岸田さんや開発チームのみんなと話し合ってきました。

岸田話し始めてから、おおまかな形が決まるまで、本当に長かったですよね。
ゲームの幹となる部分は、ずっと変わらなかったんですけど。

――岸田さんはキャラクターをデザインしているだけでなく、ゲーム作り全体に関わっていらっしゃるんですね。

岸田はい。
監修という立場で、システムやシナリオ、音楽など、全セクションに関わっています。
すべての面で統一感のあるゲームを作ろう、というのが『ブルー リフレクション』のコンセプトのひとつですので。

細井岸田さんはフリーランスの方ではありますが、チームメンバーのひとりとして、ガッツリ開発に参加しています。
長野の開発室にも、頻繁に来ていただいていますよ。

岸田Tシャツ短パンとかジャージでふら〜っと行くのですが、扉を開けて入っていっても、みんなスルーなんですよ(笑)。
もはやいるのが当たり前、みたいな扱いです(笑)。

●岸田メル氏のイラストの魅力を150%引き出すゲーム作り
――学園ものであることは最初から決まっていたとのことですが、その理由は?
岸田カッコつけていてもしかたないのでハッキリ言いますが、みんな、制服の女の子が大好きじゃないですか!
――大好きですね!
岸田ですから、女子高生をメインにしたいと考えました。
もちろん、『アトリエ』で描いてきたような、ファンタジックな衣装を期待される方もいると思うので、“魔法少女に変身する”という要素を入れて。
僕の絵の強みをストレートに出せるのは、こういう形式だと思ったんです。
セーラー服のかわいさとか、フェティシズムを押し出して、いいと思ってもらおう!というコンセプトです。

細井以前から、岸田さんの絵は、淡い色の表現やフェティシズムを表現するのにピッタリだと思っていたんです。
さらに、その絵をいまの技術で3Dで表現したらどうなるんだろうという思いもあって。
岸田さんの魅力を100%、いえ150%にするためのゲームを作ろう!という思いが根底にあります。
まだ詳細は言えないのですが、フェティシズムを最大限に活かす新仕様もありますので、期待していただきたいです。

岸田『アトリエ』シリーズでは、ゲームの世界観に僕がアプローチして、その世界観を最大化できるようなイラストを描こうという試みをしていましたが、今回は逆で。
僕のイラストに対して、ゲーム側がどのようにアプローチするかを試行錯誤しています。
グラフィックの表現にはかなり力が入っていて、正直予想もしていなかったほどのレベルのものが完成しつつあります。
色の微妙なグラデーションを、テクスチャーではなくシェーダーで表現していたり。
身体のそれぞれのパーツについて、モデリングする際にどこを省略して、どこは生々しさを残すのか……足首や手首ひとつとっても細かく調整していますし。

細井コーエーテクモゲームスのCGチームと岸田さんが直接やり取りして進めています。
CGチームのこだわりはかなりのもので、開発途中のモデルについて「めっちゃいいですね」と言ったら、「まだまだ、完成形ではありませんよ!」と怒られたこともあります(笑)。
モデリングのプロのこだわりはここまでいくんだな、と。

岸田いままでにない方向性のモデルになっていますよね。

細井ガストブランドは、いま“ガスト美少女祭り”を展開していますが、対象タイトルの『フィリスのアトリエ 〜不思議な旅の錬金術士〜』と『よるのないくに2 〜新月の花嫁〜』、そして『ブルー リフレクション』は、どれも違ったアプローチをしています。
それぞれ独自のテイストを楽しんでいただけますよ。

岸田『ブルー リフレクション』は、“まったく新しいガストの作品”を目指していますので、インターフェースのデザインや世界観、音楽まで、新鮮味を感じていただけると思います。

――『ブルー リフレクション』のイラストを見ると、アーランドシリーズのときとは、塗りかたを変えているように見えますが?
岸田そうですね。
年々、僕の塗りかたが変わっていっているというのもありますが……アーランドシリーズのときは、どちらかというと彩度を高めにして、影をあまり落とさないようにしていましたが、今回は僕らしい淡さを残しつつ、もう少しこってり塗っています。

――ゲーム内グラフィックを見ると、岸田さんの絵の淡さが、絶妙に表現されていると感じます。

細井『ブルー リフレクション』では、たとえば岩井俊二さんの作品のような、邦画が持っている淡さや色味を意識して、絵作りを行っています。

岸田統一された、落ち着いたトーンを表現しつつ、キャッチーさも取り入れて……と、バランスには気を配りました。
魔法少女に変身した後は、印象がガラッと変わってカラフルにはなりますが、色は絞って、落ち着きが出るようにしています。
色の美しさを感じてもらえるんじゃないかと。

――リフレクター衣装は、どれもかわいらしいですね。

岸田夕月の衣装は、いわゆるセーラームーンのコスチュームのように、スカートの下のレオタードが見える状態になっています。
細井さんには「それは夢がない」と言われたんですが……。

細井めっちゃ激論しましたね、その部分について(笑)。

岸田俺はこういうのがすごく好きなんだよ! と言ったら、「じゃあいいよ」と言われました(笑)。

細井ポリシーがあるなら仕方ないかな、と(笑)。

――トトリちゃん(『トトリのアトリエ』の主人公)も、レオタードが見えますよね。

岸田トトリもそうですね。
だから、そういうのが好きなんです(笑)。

●熱くてちょっと泣ける王道ストーリーが展開
――本作のシリーズ構成は、ライトノベルなどで活躍している作家の時雨沢恵一さん、五十嵐雄策さん、夏海公司さんが担当されていますが、この3人の方々を起用した意図とは?
細井“岸田メル×ガスト”という組み合わせは、皆さんにとって、想像しやすいものだと思うんです。
そこにもうひとつ大きな柱を加えて、皆さんに驚いていただきたいなと思いました。
『ブルー リフレクション』の軸となるのは、絵とゲーム開発、そしてシナリオだと考えていましたので、実力のある作家の皆さんにシリーズ構成をお願いしたんです。
シナリオの原案は私たちで考えたのですが、作家の皆さんには、それを昇華させて、高いレベルのものにしていただけたらと。

岸田RPGはやはりシナリオありきだと思います。
プレイヤーがゲームをエンディングまでプレイして、「ああ、いいゲームだったな」って思ってもらえるものにしたい。
ただ、僕らはシナリオの専門家ではないので、プロである時雨沢さん、五十嵐さん、夏海さんにお願いすることにしました。

――お話は、どのようなテイストのものになるのですか?
細井王道のストーリーです。
カッコつけたものにはしません。
人の感情にダイレクトに働きかけるものにしたい、と思って制作しています。

岸田熱くてちょっと泣ける、ストレートに「よかったな」と思ってもらえるシナリオにします!それから、学校という共同体の一員となったプレイヤーが、居心地のよさを感じられるものにしたいですね。
学校生活の疑似体験と言いますか、ここでの学校生活が皆さんの癒しになればいいなと。

――では、学校生活の中心となるであろう、メインキャラクターについてうかがいます。
まずは主人公の日菜子について教えていただけますでしょうか。

岸田日菜子は主人公なので、ベーシックで、みんなが応援したくなるような子を目指しています。
『ブルー リフレクション』では、登場人物たちと交流を深めていくことがひとつのポイントなのですが、日菜子は社交的というわけではありません。
足の怪我の後遺症のため、大好きだったバレエが踊れなくなってしまって、ふさぎ込みがちな日菜子ですが、夕月や来夢たちに支えられながら、少しずつみんなと絆を深めていきます。

細井バレエにものすごく打ち込んでいたのですが、踊れなくなってしまい、“自分が思い描いていた未来とは違う未来しかない”ことを知り、ふさぎ込んでしまっています。
そんな日菜子が、ほかの生徒たちと交流することで、自分自身はどういう存在なのかを理解・承認していくというのが、『ブルー リフレクション』のストーリーです。

岸田あとはやっぱりね、黒髪ショートカットかなって。
それは譲れませんでした(笑)。

――日菜子とは対象的に、夕月と来夢は淡い髪色ですね。

岸田そこは対比させました。
ふたりはハーフなんです。
夕月は元気で、日菜子を引っ張っていってくれる子。
来夢はリアリストです。
ビジネスマンっぽいと言えるかも。
ふたりとも日菜子のことは大事にしているんですが、目的に対して、採用する方法論がぜんぜん違います。
夕月と来夢に挟まれて日菜子が悩みながら、なんだかんだで3人で協力して戦っていくという形ですね。

●15人の女子生徒の中から、お気に入りを見つけてほしい
――ところで本作には、男性キャラクターは登場するのですか?
細井いえ、このゲーム、男性は出ません!
――まったくですか?
細井まったく出ません。

岸田割り切ってますよね。
男は要らない!って(笑)。

細井日菜子、夕月、来夢と、同じ学校に通う女子高生たち、合計15人の少女がメインになります。

――15人もの女子生徒をデザインするのは、たいへんだったのでは?
岸田そうですね。
デザインを落ち着いたトーンにしつつ、違いをつけるというのは「不可能なのでは」って思いかけましたね(笑)。
現実ではありえない髪の色にはしたくなかったので、「ここまでの色なら現実であり得る」と、ギリギリのラインを責めながら髪の色に差をつけて。

細井ユーザーの方に、「この子はかわいいな」って、お気に入りの子を見つけてもらいたいと思っています。
趣味嗜好は、皆さん異なると思うので。
開発チーム内でも、好みは分かれていますよ。

――ちなみに、おふたりが好きなのは?
岸田デザイン的に好きなのは、金髪ボブの麻央ですね。
細井さんは香織ですよね。

細井香織ですね。
派手に見えるけど、じつは……というキャラクターです。
“じつは”系のキャラが好きなんですよ。

――学園生活を過ごすうちに、各キャラクターの内情がわかって、どの子を推していくかも変わっていくかもしれませんね。

岸田「この子がいいな」と感じて交流を深めれば、それがバトルなどにフィードバックされるようなシステムになっているので。
ぜひお気に入りの子を贔屓してプレイしてください。

――仲よくなれば、放課後にいっしょに出かけたりもできるんですよね? 楽しみです。

岸田学園生活らしさを描くために、実際に僕の母校を取材させてもらったりもしました。
あ、僕の母校は共学ですけど(笑)。
教室の風景は、ほぼそのまま再現されています。

――ロッカーに生徒たちの私物が詰め込まれている様子などがリアルですね。

岸田ただ、何もかもリアルに表現しているわけではありません。
このゲームの目標は、プレイヤーがその世界観に浸っていたいと思うような“ファンタジーの女子校”を表現することなので。

――そうですよね、キャラクターが脱毛処理の話をしているところとかは聞きたくないですよね。

岸田いや、脱毛の話はするかもしれませんよ?
細井日菜子はしないでしょう(笑)。
するとしたら、凛とか圭かなあ。

岸田いいと思いますよ、脱毛の話。
僕はそういうフェチなので!足の臭いとかも気になりますもん。

細井私はそれはイヤですね(笑)。

岸田ええー、僕Twitterで皆さんに聞きたいですよ、「この中で誰がいちばん足が臭そうですか」とか。

――もうちょっと、夢のあるお話をしてほしいんですが(笑)。

岸田夢があるじゃないですか!(断言)
細井(笑)。
岸田さんと私は、よく“フェチ討論”をするんですよ。
朝っぱらから。
チーム内でも“フェチ会議”をして、フェチの概要書を作ったくらいですからね。
ユーザーの皆さんも趣味嗜好を選べるような作品にしたい、とこだわって作ってます!
――フェチへの熱い思いが伝わってくるお話、ありがとうございます(笑)。
ところで、本作はメディアミックスをする予定はありますか?
細井調整中ではありますが、もちろんメディアミックスの施策は考えていますので、今後の発表にご期待ください。

――では、最後に読者にひと言、メッセージをお願いします。

岸田最近「岸田メル、絵を描いてない」と言われることがあるのですが、ちゃんと描いてます!自分がやれることはすべて注ぎ込んで作っていますので、楽しみにしていてください。

細井私だけでなく、チームメンバー全員の想いが詰まっている作品です。
ガストブランドのチームの力を見てもらいたいと思っていますので、よろしくお願いします。

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※画面はプレイステーション4版の開発中のものです。
※本インタビューは、週刊ファミ通2016年9月8日号に掲載された内容に、加筆・修正を行った完全版です。

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