野村哲也氏を直撃! 『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』発売記念インタビュー

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●完全新作を含む3作品を収録した『2.8』、ついに発売
本日(2017年1月12日)、発売を迎えた『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』について、ディレクターの野村哲也氏にインタビューを実施した。
ネタバレを含むため、見たくないという方はご注意を。
最後(記事3ページ目)には、今年15周年を迎える『KH』シリーズの動きや、『FFVII リメイク』の話題も!
※本記事は週刊ファミ通2017年1月26日号(2017年1月12日発売)に掲載している同インタビューに追記・編集を行ったものです。

『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』本日発売、『KHIII』へとつながる物語を収録
[インタビュー中のタイトルの略記一覧]
『KH2.8』・・・・・・『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』
『KH0.2』・・・・・・『キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』
『KHχBC』・・・・・『キングダム ハーツ χ バックカバー』
『KHIII』・・・・・・『キングダム ハーツIII』
『KH3D』・・・・・・・『キングダム ハーツ 3D[ドリーム ドロップ ディスタンス]』
『KHDDD』・・・・・・『キングダム ハーツ ドリーム ドロップ ディスタンス HD』
『KHBbS』・・・・・・『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』
『KHχ』・・・・・・・『キングダム ハーツ χ』
『KHUχ』・・・・・・『キングダム ハーツ アンチェインド χ』
『KH1.5+2.5』・・『キングダム ハーツ -HD 1.5+2.5 リミックス-』
■新しくも『KH』らしさを失わない――細部までこだわった『KH0.2』
――まずは改めて、『KH2.8』の位置づけや、どういった作品なのかを教えてください。

野村ストーリー的には、『KHIII』の序章とも言える位置づけです。
『KHIII』の前に知るべき物語ですね。
『KHIII』直前と言うか、ギリギリ踏み込んでいるかも?旅はもう始まっている、という感じです。

――『KH0.2』では、ソラたちが登場するシーンがありました。
あれは先のストーリーに踏み込んでいるんですか?
野村あのエピソードは、『KHIII』でダイジェスト的に入れる可能性はありますが、詳細を見られるのは『KH0.2』のみになります。
シアターでチャプター名を確認していただければ、意図はわかると思います。

――要チェックですね。
また、『KH0.2』では、王様とリクが新しい衣装が入ったカバンを受け取っていました。
『KHIII』ではお着替えも完了していそうですね。

野村デザインはもうできていて、『KHχ』のカードのイラストでは原型が少し出ています。
リクは髪型も変わりますので、情報が出るのを楽しみにしていただければ。
カイリも今回は衣装と髪型が変わります。

――『KH0.2』のゲーム内容は、ショートエピソードとお聞きしていたものの、思いのほかボリュームがあり驚きました。
チャレンジなどのやり込み要素もあって。

野村チャレンジとデコレーションは、当初予定になかった要素で、最後の最後にスタッフが入れたいとがんばってくれました。

――ネコ耳など攻めているデザインのデコレーションも、スタッフさんのチョイスで?
野村企画自体もそうですが、チョイスも全部スタッフがやっていて、ダメなものだけ弾いて大半は実装されています。
短時間でクリアーできるボリュームですが、コンプリートを目指してやり込んでいただけるとうれしいですね。

――デコレーションは、『KHIII』にもある要素なのでしょうか。

野村まだわかりません。
『KH0.2』は、ショートエピソードなので、やり込み要素を入れたというところから企画が上がってきました。
『KHIII』はほかにもやり込み要素が相当ありますし、作業状況次第かなとも思います。
『KHIII』の場合、フルボリュームですし、今時は“発売して終わり”という形ではないでしょうから、後々まで含め考えたいですね。

――なるほど。
『KH0.2』のプレイ感触については、以前の出展バージョンより手になじむ印象がありました。
グラフィック面もさらに美麗になっていて。

野村これまで出展バージョンでいただいたご意見なども参考に、ブラッシュアップをかけてきました。
とくにグラフィックの面が大きく、ライティングをだいぶ調整して、アクアがよりかわいくなったのではないかなと思います(笑)。
『KH0.2』は時間的にできる範囲で磨き上げていますが、もちろん『KHIII』では、もっと向上します。

――バトルはどのようなコンセプトで制作されたのですか?
野村直前のシリーズ作となる『KH3D』では、アクションをこれまで以上に爽快なものにしようと、フリーフローアクションなどを採用していました。
『KH3D』は、『KH』がつぎのステップにいくために必要な作品で、それを見据えてより大胆でダイナミックなアクション、やりすぎなくらい派手なアクションをコンセプトとしていました。
『KHIII』も同一線上で設計はしていますが、『KH0.2』の方は『KHBbS』としての個性を持たせた設計になっています。

――それについては、当時のインタビューでもおっしゃっていましたね。

野村『KH0.2』はそれを経て、現行機で作る『KH』としては最初のタイトルになります。
『KH』は、ある意味『KH0.2』までとそれ以降でぜんぜん違うものになる。
モデルも、『KH0.2』からは以前のものはいっさい使えないですし、骨も変わるので、アクションも一新ということになります。
そのうえで、これまでの『KH』の手触りを損なうことなく、より爽快なアクションを実現する、というのが目指したところです。

――まさにその通りで、プレイ中は一新されたことによる違和感はまったくなく、それでいて進化を感じられました。
とくに魔法は、新しさを感じた部分です。

野村魔法については、これまでのように撃って終わりではなく、地形や敵の状態に影響が及ぶものに変えようというのは、前々から決めていたことでした。

――システムとしては、シチュエーションコマンドの派生先が選択できる、というところに戦略性を持たせていますね。

野村複数のタスクがあり、好きなものを選べるけれど、制限時間はあるという。
なかば強制的なQTE(クイック・タイム・イベント)になるのがいやで、それを廃止するというところから始まっています。
もとは『KHIII』で考えていたシステムで、それに『KHBbS』の要素を入れ、『KH0.2』用にアレンジしています。

――では、『KHIII』もシチュエーションコマンドは継続する?
野村はい。
『KHIII』のバトルは選択肢が多く、プレイヤーが能動的に選び取れるものになっています。
その一端が、『KH0.2』で見られるというわけです。
『KHIII』ではさらに多くの選択肢が積まれます。

――そうした選択肢のひとつに、『KH0.2』でも見られたシュートロックも入ると。

野村『KHIII』のPVでも一度お見せしていますが、ほかにもいろいろなバリエーションがあります。
多重ロックした相手にソラが飛んでいって、つぎつぎと攻撃をするようなシュートロックなどはかなり気持ちのいいものになっていますよ。

――『KH0.2』は、ワールドの探索や謎解きも発見のおもしろさがありますね。
最初の城下町以外はさほど広いマップではないと思うのですが、広さに対しての遊びが濃密で。

野村『KH』の主力である大阪チームは非常に優秀で、とくにマップの構成力に秀でています。
確かにミニマップを見ると広くは感じないですが、その中で探索ができたり、謎解きのバランスなどもよくできている。
信頼しているところなので、そのあたりは自分からうるさく言うことはなかったです(笑)。

――逆に、野村さんが“うるさく”言ったところはどこなんですか?
野村やはりバトルと演出の部分はこだわっているので、そのあたりですね。
バトルも、初期にコンセプトは固めてあったので、そこまでは言っていませんけど。
ただ『KH0.2』では、シチュエーションコマンドの部分に変遷がありました。
最初はゲージが溜まったら、ゲージの上に溜まったことがわかるように合図が出ていたんです。
それがわかりづらいということで、これはPVでも一度お見せしているのですが、画面中央に△ボタンのマークを出すようになって。
ただ、それが自分としては強制されているように見えるのでダメ出しをしました。
それで、最終的に、“STANDING BY”と、文字だけ表示させるようにしたんです。

――確かに、ボタンのマークが出ると、反射的に押してしまいそうです。

野村押せと言われている感じがしますよね。
あくまで“発動の準備が整った”という合図なので、それではだめだなと。
選択肢が増えたと捉えていただきたかったんです。

――そういう細やかな配慮が『KH』のクオリティーを高めているんでしょうね。
それから、敵の表現も圧巻でした。
『KHIII』のPVに出てきた敵がいたりしたのも楽しかったです。

野村敵もイチから作り直しなので、各担当が『KH』ならではの表現を作るために、事前のテストを重ねていました。
そうした積み重ねの結果が出ているかなと。
スタッフの愛情が強いタイトルだと思います。

――とくにボスのデビルズウェーブでは、こだわりを感じました。
攻略の楽しみも存分にありましたし。

野村あの敵は、最初に出てくるときと最後に出てくるときで見た目や行動パターンが違いますが、名前も違っていて、最初は“デビルズタワー”、最後が“デビルズウェーブ”と言うんです。
大阪チームのほうでも相当にこだわった敵で、これ以上内容をいじらないというデータロックの時期に、担当者の強い希望で最後まで粘って調整していたのがデビルズウェーブでした。
『KH0.2』については開発期間が短かったですし、『KHIII』も同時並行でスタッフが被っていたりもしたので、費やせる時間はそう長くはなかったですけど、その中でできることはやれたかなと思います。

■ひとりしかいないことに苦戦!アクアの決断は悩みに悩んだ末……
――『KH0.2』は、オープニングで宇多田ヒカルさんの『光 -Ray of Hope MIX-』が流れるのも印象深く、うれしかったです。

野村宇多田さん側へのアプローチはずっと続けていて、今回はタイミングもよかったですね。
何より世界中のファンの方々が、ラブコールを送り続けてくれたことも大きいと思います。

――ストーリー的にも濃い内容で、アクアがひとり戦い続け、ミッキーと再会するシーンは本当にほっとしました。

野村書いていて、しんどかったですよ。

――それは、どういう意味で?
野村アクアひとりしかいないから、ひとり言を言うか、心で思っていることをセリフにするしかないんです。
なのでアクアも、ひとり言が増えたとこぼします(笑)。
道中でミッキーと会ってやっと話し相手ができ、自分もほっとしました(笑)。

――なるほど(笑)。
テラとの会話も、非常に重要なシーンでした。

野村昨年の『KH』のコンサートで、ナミネとテラの朗読劇があったのですが、ナミネの「もうすぐ彼女が来る、導いてあげて」というテラへの言葉は、あのシーンにつながるものです。

――そうだったんですね!ちなみに『KH0.2』では、過去にマスター・エラクゥスなどが使っていた光る鎖を、アクアも用いていますが、あれはいったい?
野村あの光る鎖は、エラクゥス一門が使える技ですね。
アクアはエラクゥスのキーブレード“マスターキーパー”を継いでマスターになったので、使えるようになったという感じです。

――いろいろな謎が解けましたが、王様が『KH』で登場した際に、上半身は何も着ていなかったことについての経緯まで描かれているとは思いませんでした(笑)。

野村あのシーンは自分で指定したものの、いざビジュアルを見ると若干強引でしたね(苦笑)。
もっとダメージを受けてボロボロになっていくイメージがあったんですが、まあ王様なのでということで。

――終盤で語られる、アクアの決断にもグッときました。

野村あれは最後まで悩んだんです。
泣き言を吐露するか、凛としたイメージのまま終わらせるか。
最初は、ミッキーと別れてひとりになってから、「帰りたい」と本音を漏らす、切ない筋書きにしていたんです。
でも、その後悩みに悩んで、やはり最後までアクアらしく締めることにしました。

■マスターとルシュの行方は?あの箱の中身は『KHIII』で!?
――『KH0.2』と『KHχBC』の両方で、“鍵が導く心のままに”という言葉が使われています。
この言葉は、どういったものなのでしょうか。

野村あれは、岡(勝氏。
シナリオ担当)が入れたものです。
シナリオは、自分がプロットを岡に伝え、岡がレベルデザインの意向を汲みながら肉付けをして形にし、それをまた自分が見て最終稿を書き、さらに岡に校正を含めた最終確認をしてもらう、というサンドイッチ的な流れで進めていて、シナリオライターが変わっても、だいたい同じ工程を行っています。
その中で今回、岡のほうから上がってきたものにその言葉が入っていて、シンプルにキーブレード使いの心得を言い得ている言葉だと思えたので、これを使おうということになりました。
『KH0.2』ではこれを“古い言葉”として、『KHχ』の時代のことを示唆しています。

――シリーズのつながりが感じられる要素のひとつですね。
『KHχBC』では、『KHχ』や『KHUχ』では見られない、予知者たちの人間性が垣間見られて新鮮でした。

野村『KHχBC』の登場人物に声がつくのは今回が初めてで、『KHχ』や『KHUχ』をプレイされていない方にとっては、初めて知るキャラクターになります。
1時間弱ではありますが、その中で全キャラクターについて知ってもらい、愛着を持ってもらったり、感情移入をしてもらいたいので、それぞれ個性が立つように気をつけました。
なお『KHχBC』は、あくまで裏側の出来事であり、“予知者たちの物語”なので、キーブレード戦争が鍵となる本筋のストーリーは、『KHχ』や『KHUχ』でのみ体験できるものとして区分しています。

――ところで……マスターは、かなり変わっていますよね。
なぜああいう性格に?(笑)
野村本当にすごい人って、あんな感じじゃないかなと(笑)。
何も気にしてないというか。
構えてもいないし、動じたりもしない。
締めるときは締める、という。

――難しい役どころだと思いますが、杉田智和さんの演技が秀逸でした。

野村誰にやってもらうのかは、かなり悩みました。
ふざけた部分とかっこいい部分の両方があって、会話の間も独特ですし、かなり難しいので。
イメージしていた声質でそれができるのは、杉田さんかなと。

――もうひとりの重要人物であるルシュ役が津田健次郎さんなのには、どういった経緯が?
野村『KH』を含め、自分の作品の収録をずっと担当していただいている音響監督の清水洋史さんに、ルシュの秘密を話し、クセのある人を捜していると相談したところ、推薦してもらったのが津田さんでした。
津田さんは『ランページ ランド ランカーズ』という作品でシェークスピアというキャラを演じていただいたことがあり、また『スター・ウォーズ』の吹き替え版のカイロ・レン役をされていて、同作に清水さんが携わっていたんです。

――清水さんのお墨付きと。
ルシュはマスターとしゃべっているときは朴訥な雰囲気がありつつ、最後のシーンでは何か含みも感じられます。

野村マスターとルシュについては、何を考えているのかまったくわからない人物として描いていますね。
ルシュは若干達観してるタイプで、言ってみれば“おもしろ成分を抜いたマスター”です(笑)。

――おもしろくないマスター(笑)。
実力者ではあるんですね。

野村いちばん大事な使命を授けられていますから。
マスターが言っていましたよね。
その使命に成功しているから未来がわかると。

――マスターの目をあしらった例のキーブレードが、のちの世に伝わっているという。

野村まあ、あれも本当かわかりませんけど。
マスターのことなので、「んなわけないじゃん」と言うかもしれないですし(笑)。

――えっ!?と、とはいえあのキーブレードは、のちにマスター・ゼアノートが持つことになるキーブレードと同じものではありますよね。

野村同じものです。
ルシュが継いで、それが長い時を経てマスター・ゼアノートにつながります。
正統な継承者としてマスター・ゼアノートはキーブレードを、マスター・エラクゥスは始まりの地を継いだということになります。

――マスターはかなり重要な人物となりますが、彼が姿を消した理由は『KHIII』でわかるのでしょうか。

野村『KHχBC』に関する要素は、何かしらの形で『KHIII』でも触れられます。
マスターは登場しませんが……“サプライズ”があります。

――ルシュがキーブレードとともに託された、マスターいわく「サプラ〜イズ」の箱が?あの箱には、文字が書いてありました。

野村勘のいいファンの方なら気づくでしょうが、それはまだ秘密です。
『KHIII』では、ある人物がこの箱を探しています。

――その中身は『KHIII』でわかると。
ちなみに、この“おとぎ話の世界”の時代において、“χブレード”の位置づけはどうなっているのでしょうか。

野村マスターは存在を把握しています。
χブレードを模して、自分でキーブレードを作っています。
まあ作っているといっても、鍛冶とかではなく、心から取り出しているという表現が近いのですが。

――『KHχ』のキーブレード戦争の結果、キーブレード墓場ができたわけですが、持ち主がこの世から消えたら、キーブレードは残るということなのでしょうか。

野村そうですね。
基本的には物質として残ります。

■野村氏が関わるタイトル群について、2017年の動きをズバリ聞く!
――今年は『KH』15周年、『FFVII』が20周年、『FF』が30周年という節目になります。
それぞれの動きについてお聞きできれば。

野村まず1月に『KH2.8』発売、2月にさっぽろ雪祭りでの『FFVII』の雪像展示、3月に『KH1.5+2.5』の発売を迎え、15周年記念コンサートの“キングダム ハーツ オーケストラ ワールドツアー”が始まります。
ディズニーのイベントである“D23”でも、何かできるかもしれません。
それと『KHUχ』のシーズン2のスタートも控えています。

――『KHUχ』のシーズン2は、どんな展開になっていくのか気になるところです。

野村いまはシーズン2と呼んでいますが、ある意味生まれ変わります。
このタイミングで大規模に新たな要素が加わったりと、いろいろな部分が新しくなります。
ストーリーも大きな転機を迎えますよ。
じつはそこで鍵を握るキャラクターのヒントは、『KH』の公式Twitterでお見せしているんです。
エフェメラとスクルド、ヴェントゥス、それからあとふたり……あえて顔を見せていないのですが、彼ら5人が鍵を握ります。
かなり大きな変革が起きるのは確かです。

――5人、というところが引っ掛かりますね。
ところで『KHχ』や『KHUχ』、『KHχBC』では、『KH3D』に登場したドリームイーターが物語に関係していたり、出自について触れられていましたよね。
ドリームイーターについては、今後説明されるのでしょうか。

野村ドリームイーター、スピリットとナイトメアについても、『KHUχ』のシーズン2以降で描かれることになります。
また、『KHIII』でも彼らに関する要素があります。

――3月に発売になるPS4版『KH1.5+2.5』も楽しみです。
PS3版から何か変更になる部分はあるのでしょうか。

野村PS4版になり、プレイ可能な部分についてはフレームレートが60fpsになっています。
『KH2.8』に収録の『KHDDD』のように、60fpsになるとかなり滑らかに動くので、感触がだいぶ変わるかなと。

――トロフィーなどはどうなるんですか?
野村変更はあります。
獲得条件としてはハードルを下げる調整になっています。
トロフィー以外もそのままというわけではなく、細かな調整は入っています。

――『KH1.5+2.5』に『KH2.8』を追加した、全部入りのパッケージを発売する予定は?
野村タイミングが微妙なので、今回はコンプリートパック的なものは出しません。
ただ、DVDなどでよくある、ボックスは準備しています。
『KH1.5+2.5』と、『KH2.8』の両方が入る箱ですね。
これはスクウェア・エニックスe-STOREの特典になると思います。
あとは、こちらも数が限られますが『KH2.8』の特典だったアクリルスタンドの再入手キャンペーンも予定しています。
詳細は追ってお知らせしますので、お待ちください。

――それから、『KH2.8』の発売日と同日、1月12日に、『ワールド オブ FF』のほうでは無料DLCで“セイヴァー召喚:ソラ”が楽しめるようになります。
こちらもシリーズのファンとしては注目です。

野村ソーシャルゲーム全盛の時代で、昔よりこうしたコラボが珍しくなくなっています。
『ワールド オブ FF』もコラボ先を探していたので、自分から『KH』とのコラボを提案しました。
でもやはりハードルは高く、難航しましたね。
自分で言い出した手前、最終的にはみずから交渉しに行きました。

――コンサートの開始もすぐですね。
前回のように、朗読劇があったりはするのでしょうか。

野村今回の各会場ではモニターが使えるので、映像面での演出を考えています。
コンサートグッズも準備中です。
朗読に関しては、今回は映像が主体となるのと、各国をまわることで演出が大きく変えられないのこともあるので、難しいかもしれません。

――『KHIII』の開発状況についてもお聞かせください。

野村 『KHIII』はこれまでと制作工程が違うので一概には言えませんが、かなりできているワールドがある一方、まだ手付かずのワールドもあります。
未発表のワールドのほうが制作が進んでいて、見せるに見せられない状況ですね。
手付かずと聞くと心配されるかもしれませんが、並行して全ワールドを作り始めるわけではないので、これはいつもの通りです。
手を付けてからリテイクが出ることを避けるため、すべての要素に承認を得てから形にしていく必要があり、現在監修中のワールドもあるという状況なんです。
先ほどお話しした通り、現世代機用に全キャラクターのモデルを作り直していたりもしていて、開発状況的にはまだまだといったところですが、クオリティーは間違いないので、つぎにお見せできるときをお待ちいただければ。
準備は始まっています。

――わかりました。
20周年となる『FFVII』は、10周年のときのようなロゴを作ったり、さまざまな展開をするご予定は?
野村ああ、そうだ。
ロゴを描かないと。
北瀬(佳範氏)に頼まれていて。
何か動きがあるかは北瀬次第ですね。
自分より北瀬の方が大胆なことを言い出すので。
ゲーム内容に関しては任せてもらっていますが、外向けに何か決める際にはきちんと話し合っています。

――ちなみに、1月31日に『FF』30周年のセレモニーがありますよね。

野村自分は参加予定はありません。
2月のさっぽろ雪まつりで『FFVII』の雪像のお披露目があるので、そこにはスケジュールが合えば行きたいのですが。

――そうなんですね。
では、『FFVII リメイク』の開発状況はいかがでしょうか。

野村制作は着実に進めていて、今日もチェック用の映像が……。

――あっ、これは序盤のあの場所じゃないですか。
うわぁ(しばし注視)……すごい!!!!クラウドが歩いているシーンだけでも、すでにあの独特な空気感が伝わってきます!
野村そんなわけで作ってはいるのですが、『KHIII』も『FFVII リメイク』ももう少しお待たせすることになりそうです。
内外スタッフの合流タイミングにズレが生じ、『KHIII』はそれに加え、監修についてこれまでと変わったこともあって。
ただこれらの問題は、(ゲームの)内容についてではなく物理的なもので、現在は各所の協力を得て解決に向かっていますのでご安心を。
お待たせすることは申し訳ないのですが、どちらもその分、ご期待に応えるものに仕上げます。

――このクラウドが操作できるなら、年単位で待ちます(笑)。
そういえば野村さんは、2月にモナコで開催される“MAGIC(Monaco Anime Game International Conferences)”に行かれますよね。
そこでは何を?
野村ご招待いただいて、講演をすることになっています。
特定のタイトルについての発表ではなく、自分のこれまでの経歴などを語ってほしいというリクエストをいただいていて。
こうした講演をするのは初めてで、まだ何をするか決めていないので、その準備もこれからですね。

――2017年も、お忙しくなりそうですね。

野村6月にはE3、9月には東京ゲームショウ、12月にはジャンプフェスタと、毎年開催されているイベントもありますし、『KH』のコンサートやその準備もあるほか、並行して『KHUχ』シーズン2や『ディシディアFF』など運営ものもいくつかあるので、フル稼働の1年になりそうです。
『KHIII』や『FFVII リメイク』は、昨年はあまり情報出しを行いませんでしたが、今年はどこかのイベント合わせで進捗をお見せできればいいなと。
タイトル自体の発売はまだ先になり申し訳ないですが、今年発売のタイトルも多いですし、“サプライズ”をお待ちいただければと思います。

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