任天堂が最終益予想を上方修正、想定為替修正で 営業益は引き下げ
[大阪31日ロイター] – 任天堂<7974.T>は31日、2017年3月期の最終利益予想を上方修正した。
想定為替レートを円安方向に修正したことを織り込んだ。
こうした状況を踏まえ、期末配当を従来予想の210円から380円に増額することを決めた。
経常利益予想は前年比4.2%増の300億円(従来100億円)に、最終利益予想は同5.4倍の900億円(同500億円)に、それぞれ引き上げた。
想定為替レートを1ドル=100円から110円に、1ユーロ=115円から120円に見直した。
一方、営業利益予想は前年比39.2%減の200億円(従来300億円)に下方修正した。
君島達己社長は会見で、営業利益を下方修正した理由について、利幅の薄い携帯型ゲーム機「3DS」は好調だったものの、利幅の厚いゲーム連動型フィギュア・カード「アミーボ」やゲームのダウンロード売り上げが期待に届かなかったためと説明した。
営業利益予想はトムソン・ロイターが調べたアナリスト21人の予想平均値374億円を大きく下回る。
3DSの堅調な販売状況を踏まえ、通期の販売計画を600万台から720万台に引き上げた。
4─12月期は前年比10%増の645万台だった。
<スイッチは増産も>
2016年4─12月期は売上高が前年比26.9%減の3111億円、営業利益は同38.1%減の263億円、経常利益は同11.2%減の491億円、最終利益は同2.5倍の1029億円だった。
最終利益が膨らんでいるのは、米メジャーリーグ、シアトルマリナーズの運営会社持ち分の一部を売却したため。
営業利益263億円はすでに通期予想200億円を上回っているが、1─3月期は新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売宣伝費等がかさむと見込んでいる。
社運を賭けたニンテンドースイッチは3月3日発売の予定で、予約受け付けを開始した21日には一部の量販店に長い列ができた。
君島社長は予約状況について「具体的な数字については申し上げない」としながらも、「お客様の期待が大きい」として、「需要に応えて、生産台数について増やせるものは増やしていきたい」と増産の可能性を示唆した。
今期の出荷計画200万台は据え置いた。
<スマホ向け収入拡大>
4─12月期のスマートデバイス・IP(知的財産)収入は前年比2.4倍の106億円に拡大した。
スマホ向けゲーム「スーパーマリオラン」が大きく貢献した。
君島社長によると、スーパーマリオランのダウンロード数はきょう現在で約7800万。
課金ユーザーの割合は「2桁(10%)を目指してやっていきたいが、まだそこまでは達成していない」という。
ダウンロード開始後10日間で課金したユーザーは「全体の5%以上で、その後も徐々に上がっている」(君島社長)。
今後はユーザーの要望等を踏まえて改善することで、10%の課金率を目指す。
<ガチャ採用も歯止め策>
2月2日に配信を始めるスマホ向けゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」では、同社として初めて「ガチャ」と呼ばれる有料の電子くじ引き方式を採用した。
ガチャをめぐっては、プレーヤーは欲しいアイテムを手に入れるためにガチャを回し続け、課金が高額になるトラブルも発生している。
君島社長はガチャを採用したことについて「射幸心をあおるとか、大金を使ってしまうことに対しては、課金の上限を設けたりするなど、きちっと配慮する」と述べ、課金に歯止めをかける仕組みを導入していることを強調した。