荒れるトランプ相場、京都の3社は円安想定 通期を上方修正
昨年11月の米大統領選直後から急落した円相場を受け、京セラやオムロン、任天堂が31日、為替の想定レートを円安方向に見直した。
海外事業の収益改善などで、3社は2017年3月期の純利益予想をそろって引き上げた。
一方、村田製作所は相場の先行きが見通しにくいとしてレートと業績予想を据え置いており、大手メーカーで対応が分かれた。
オムロンは昨年10月、上期の円高を受けて下期の為替レートを1ドル=100円に設定したが16年4〜12月期決算の発表に合わせて1月以降のレートを同110円に見直した。
「米国第一主義」を掲げるトランプ氏が米大統領に当選、米国経済が上向くとの期待感から一気に円安が進んだためだ。
同社は対米ドルで円安が1円進むと通期の営業利益が3億円押し上げられる。
主力の制御機器が好調なこともあり、17年3月期(米国会計基準)の純利益予想を昨年10月発表の400億円から440億円(前期比7・0%減)に引き上げた。
任天堂も17年3月期の純利益予想を500億円から900億円(5・5倍)に上方修正した。
16年4〜9月期は急激な円高で為替差損399億円を計上したが、同10〜12月は一転して円安で413億円の差益が発生したためだ。
経常利益予想も100億円から300億円(4・2%増)に引き上げた。
京セラは、太陽電池の伸び悩みで17年3月期(米国会計基準)の売上高予想を期初の1兆5200億円から1兆4100億円(4・7%減)に下方修正したが、利益面では円安に伴い外貨建て資産の評価益を計上。
株式を大量保有するKDDIの配当も増える見込みの上、税金負担の軽減もあり、純利益予想を850億円から900億円(17・5%減)に上方修正した。
一方、村田製作所は昨年10月に1ドル=100円に見直した想定為替レートと通期業績予想を据え置いた。
世界経済の不透明感が強く、円相場も読みにくいためで、藤田能孝副社長は「為替リスクがあっても、製品で稼ぐのが基本」と強調した。