<任天堂>スマホに対抗「スイッチ」外でも遊べる据え置き型
任天堂は3日、据え置き型の新たなゲーム機「ニンテンドースイッチ」(税別2万9980円)を発売した。
携帯して外でも遊べる新たな機能を売りに、ゲームファンの裾野を広げたい考えだ。
しかし、国内ではスマートフォン向けゲームが市場を席巻しつつあり、スイッチ投入で縮小を続ける家庭用ゲーム市場を再び盛り上げられるかは不透明だ。
1983年に任天堂が発売した「ファミリーコンピュータ」は6191万台を販売し、家庭用ゲームの人気に火をつけた。
さらに、2006年発売の「Wii(ウィー)」はコントローラー自体を動かす直感的な遊び方が受け、1億163万台を販売し新たなファンを獲得した。
しかし、05年ごろからグリーなどが携帯電話向け無料ゲームの配信を開始し、DeNA(ディー・エヌ・エー)の「モバゲー」で市場は急拡大。
スマホの登場でオンライン課金のビジネスが確立すると、15年のスマホ向けゲームの市場規模は約9300億円に達し、家庭用の約3600億円を大きく上回るまでに成長した。
関係者は「気軽に楽しみたい層がWiiからスマホ市場に大量に移った」と見る。
このタイミングでのスイッチ投入には「失敗すれば日本のゲーム市場はスマホに席巻され、家庭用ゲームは衰退の一途をたどる」(大手ソフト幹部)との声が上がる。
だが、近い将来、本格的なゲームを屋内外で楽しめる高機能のスマホが開発されれば、スイッチは一気に陳腐化する可能性がある。
一方、コアなファンは、高精細で大容量の「プレイステーション4」(ソニー・インタラクティブエンタテインメント=SIE)や「XboxOne」(米マイクロソフト)に流れており、スイッチの将来性は不透明だ。
スイッチを開発した任天堂の高橋伸也常務執行役員は「スマホには負けたくない。
スイッチは任天堂と家庭用ゲームの未来を左右する」と述べ、「どこでも誰とでも遊べる据え置き型」を強みとして売り込む構えだ。