こいつ(UHD BD)……、(PCで)動くぞ……! もし、動作環境がニュータイプなら

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先だってニュース記事( パイオニア、世界初のUHD Blu-ray対応PC用BDドライブ )でお伝えしたとおり、パイオニアが初のPC用UHD BD(4K BD)のプレイヤー「BDR-S11J-BK」および「BDR-S11J-X」を発表した。
まだ、一般のBDプレイヤーでもUHDに対応するものが少ないことを考えると、「PCの対応は思ったより早かったな」というところだが、一方で、利用できる環境がかなりシビアになっている。

2月下旬に発売された「BDR-S11J-BK」(実売価格23,000円前後)を購入して、早速試してみることにした。

■かなり選択肢が狭い対応機材
PCでUHD BDを視聴するには、何がいるのか? パイオニアのUHD BDドライブの要求事項は、
Intel SGXに対応するCPUIntel SGXに対応するマザーボードHDCP 2.2に対応するGPU(ノートPCの内蔵ディスプレイの場合を除く)HDCP 2.2に対応する4Kディスプレイ(HDR対応のものが推奨)メモリ6GB以上Windows 10
となる。

そこそこの数がある上、普段あまり見かけないキーワードも並んでいて、面食らっただろうか?
だとしたら、その感覚は正しい。
メモリ6GBや、Windows 10というのは、問題にならないだろう。
だが、HDCP 2.2は、まだPCで利用できるようになって日が浅く、SGXに至っては、おそらくPC用コンシューマ向けコンテンツの要件としてほぼ初めて要求されるものだからだ。

話を元に戻そう。

SGXは、その詳細は割愛するが、Intelが開発したセキュリティ技術で、アプリケーションやOSは、これを利用することでデータのセキュリティを高いレベルで確保できる。

ディスクメディアであれ、ストリーミングであれ、4Kコンテンツのホルダーは、データのコピーにかなり神経を尖らせている。
非常に高精細な4K動画がそのままコピーされて流通してしまうと、大打撃を食らうからだ。
UHD BDでは、AACS 2.0というコピーガード技術を採用しており、その暗号化解除にSGXを利用している。

SGXに対応するCPUは、一部の第6世代Core(Skylake)と、第7世代Core(Kaby Lake)だ。
Skylakeについて具体的には、後期に出荷されたS-Specが「SR2B」で始まるもの以降となる。

このSGXは、CPUだけでなくマザーボードも対応している必要がある。
基本的には、Kaby Lake用として投入されたIntel 200シリーズがSGXに対応するのだが、実際に利用できるかは、マザーボード次第となる。
と言うのも、マザーボードによっては、SGXが無効化され、かつBIOSで設定も用意されていないものがあるからだ。
なお、Intel 100シリーズでも対応を謳うものもある。

ざっと調べたところ、そこそこの数のマザーボードがSGXに対応しているようだ。
初期出荷時にSGXに対応していなくても、BIOSアップデートで対応するものもある。

次に、HDPC 2.2対応GPU。
まず、Intel CPU内蔵GPUは、Kaby LakeからHDCP 2.2に対応する。
Skylakeは1.4までだ。
と言うことで、後期SkylakeはSGXには対応するがHDPC 2.2に非対応なので、要件からは脱落する。

実は、Kaby Lakeでも、ノート用のUモデルで2016年に出荷されたものはHDCP 2.2に対応していない。
2017年以降に出荷されたものはHDPC 2.2に対応されているそうだ。
ここもややこしいが、ひとまず自作環境に限れば、全てのKaby Lakeが対応すると言ってもいい。

ただし、話はまだ終わらない。
Kaby LakeでのHDCP 2.2対応はオプションとなるのだ。
利用するには、マザーボードでの追加実装が必要となる。
一例としては、MegaChipsの「MDCP28x0」などのチップがあるのだが、これらが搭載されているかどうかはおろか、マザーボードがHDCP 2.2に対応しているかどうかは、仕様に明記されているとは限らない。
さらに、MDCP28x0などが搭載されていても、HDCP 2.2に対応できないレアケースもある。

外付けGPUでは、NVIDIAではPascal世代のGeForce 10シリーズ、AMDではPolaris世代のRadeon RX 400シリーズがHDCP 2.2に対応する。

だが、ここでも「ただし」が登場する。
外付けGPUは、Intel SGXに対応できないのだ。

と言うことで、一言で言うと、SGXとHDCP 2.2に両対応するのは、Kaby Lakeの内蔵GPUのみとなる。

ディスプレイについては、こちらもHDCP 2.2の入力に対応したものが必要。
4Kの代わりにフルHDディスプレイなどに出力することも可能だが、それではUHD BDを利用する意味はほとんどないので、4Kディスプレイが前提となる。
HDRに対応したものが望ましいのだが、まだPC向けでは対応製品はほとんど国内に流通していないだろう。

UHD BDドライブとしては、今回紹介するパイオニアの製品が唯一の選択肢だ。
唯一とは言っても、5インチ内蔵型に加え、ポータブル型( パイオニア、世界初のUHD BD対応ポータブルドライブ参照 )製品も発表されている。
ただ、ポータブル型は3月下旬の発売予定で、まだ入手できない。

ソフトは、UHD BD対応の再生ソフト「PowerDVD 14」がドライブに同梱されるので、これを使う。

このように、PC用UHD BDの要件が複雑を極め、かつ狭き門となっていることが分かっただろう。
製品仕様書すら当てにならない場合もあるので、正解を求めるなら、動作した実例を参考にするしかない。

と言うことで、修行僧(人柱)の出番だ。

■検証に使った機材
PC Watchの編集長として、あまりおおっぴらに公言するのははばかられることだが、普段、自作環境が手元にない。
そこで、必要な機材を揃えることから始めた。

ドライブのBDR-S11J-BKは、借りるのにやや時間がかかりそうだったので自腹購入。
CPUはインテルからCore i7-7700Kを、メモリはCORSAIRからVENGEANCE LPXシリーズのDDR4 2666MHz 8GB×2をお借りした。

この連載を読んでいただいている方は、修行=購入と捉えている方もいらっしゃるだろう。
だが、こう見えて、筆者はわりと現実的。
その後、日常的に使う予定がないものまで買いはしないのだ。

マザーボードも借りる必要がある。
ネットで調べたところ、日本ギガバイトの「GA-Z270X-Gaming 9」がHDCP 2.2対応を謳っている。
そこで、同社に貸し出しの依頼をかけたところ、実はこのマザーボードはパイオニアで動作確認が取れているものだという情報を得ることができた。
マザーボード選びで苦労しそうだと思っていたのだが、幸先がいいスタートだ。

もっとも、借りることができたら、の話ですけど。

なんと、全て貸し出し中で出払っているとの返答だった。
こちらも買うしかないかと思ったが、価格を調べると7万円を超えていたので、筆者の脳が強い拒絶反応を示した。

次に白羽の矢を立てたのが、ASRockの「Fatal1ty Z270 Gaming-ITX/ac」。
こちらは、製品ページにはSGX対応と書かれていないが、ダウンロードできるマニュアルには、SGXの項目がある。

HDCP 2.2については明確な記載がないのだが、海外フォーラムで、MegaChipsのコンバータを搭載によりHDCP 2.2に対応可能という情報を得た。
少なくとも、HDMI 2.0には対応しているし、なんとかなりそうだ。
ASRockに聞くと、貸出機があるというので、早速お借りした。

ディスプレイは、この連載で当初購入したLGの4K液晶「27MU67-B」が、HDRにこそ対応しないが、HDCP 2.2に対応している。

これで、必要なパーツは揃ったのだが、本当にSGXやHDCP 2.2に対応していないと、UHD BDを観られないのかも試してみたい。
と言うことで、SkylakeのCore i7-6700Kと、GeForce GTX 1070、Radeon RX 470もお借りした。

■メーカー推奨の環境で検証
まずは、対応しているCore i7-7700Kから試した。
マザーボードに、CPU、メモリ、BDR-S11J-BKなどを取り付け、Windows 10(Anniversary Update)をインストール。
マザーボードは、出荷状態でSGXが「Disabled」(無効)になっているので、「Enabled」(有効)に変更する。
続いて、BDR-S11J-BKに付属の「PowerDVD 14」をインストールする。
同ソフトの最新バージョンは16だが、付属するのは14となっている。

パイオニアでは、BDR-S11J-BKの製品ページで、自分のPCがUHD BD再生に対応可能かをチェックできる「UHDBDアドバイザーツール」を配布している。
これを使って「対応」と表示されれば、UHD BDが視聴できる。

実行してみると、「HDCP 2.2」と「高度な保護オーディオ/ビデオパス」が「利用できません」になっている。
高度な保護オーディオ/ビデオパスについては、ビデオドライバの更新で対応可になった。
しかし、設定を見直したり、IntelやASRockのサイトから、さまざまなドライバ類を落としたりと、4〜5時間格闘してみたがダメだった。

そこで、ASRockに問い合わせたところ、量産品はHDCP 2.2に対応しているが、貸出機はファームウェアが対応していないということが判明した。

南無三ッ!
と言うわけで、筆者はその足でギガバイトのGA-Z270X-Gaming 9を買いに秋葉原のドスパラパーツ館へと向かうこととなった。
購入金額は74,322円なり。
1日でも早く記事化するには、それ以外の選択肢はなかったのだ。

ちなみに、買いに行った3月2日時点で、価格.comによると、東京で在庫があるのはドスパラパーツ館のみで、筆者が買ったのはその店舗の最後の1枚だったので、もしかすると、今もなお入手は困難かもしれない。

気を取り直して、GA-Z270X-Gaming 9で環境を再構築し、OSもインストールし直して、再度UHDBDアドバイザーツールを実行した。
すると、今度はSGXとHDCP 2.2が「利用できません」と表示される。

典型的な嵌まりパターンである。

そもそも、ASRockのマザーボードにはあったSGXの設定がGA-Z270X-Gaming 9はないので、おかしいなとは思っていたのだ。

だが、これについては、BIOSを最新版の「F3」に更新したところ、設定項目が追加され、有効にできるようになり、UHDBDアドバイザーツールでもSGXが有効になった。

ちなみに、このBIOSの更新履歴にはSGXのことは触れられておらず、Vcore電圧の調整のみと記載されている。
試してみないと分からないと言うことで、このあたりも、SGXについての情報の少なさを痛感したが、UHD BDを機に、メーカーも情報公開に積極的になるのではと思っている。

と言うことで、SGXはいけたのだが、HDCP 2.2は非対応のまま。
そこで、ギガバイトのサイトから、HDMI 2.0 FW Update Toolや、Intel Management Engine Interface、ビデオドライバなど、関係ありそうなものを手当たり次第ダウンロードしてみたが変化がない。

そろそろ諦めて、この企画はなかったことにしようかという考えが脳裏をよぎり始めたが、なんとなく再起動したところ、HDCP 2.2が対応になった。
どうやら、先に挙げたどれか(おそらくHDMI 2.0 FW Update Tool)を入れた後に、再起動が必要だったらしい。

何はともあれ、ようやく対応環境にできた。
続いて、PowerDVD 14を起動し、UHD BDを再生しようとすると、「必要なIntel SGX PSWランタイムが正常にインストールされていないため、このメディアは再生できません。
この問題を解決するには、PowerDVDを再インストールしてください」と表示される。

だが、ここは慌てなくていい。
ダイアログの「インストール」ボタンを押すと、PowerDVDではなく、「Intel Software Guard Extensions Platform Software」がインストールされるのだ。
SGXがアプリ上で機能するには、ハードウェア(対応CPU)に加え、BIOSサポートとこのソフトが必要となる。

これで晴れてPCでUHD BDを視聴できるようになった。

■非対応環境でも検証
準備は整ったが、メーカーが対応を表明していない環境、つまりGPUを外付け、そしてCPUをSkylakeへと変更してみてどうかも検証した。

まず、GeForce GTX 1070とRadeon RX 470については、結果は同じで、標準では外付けGPU利用時に内蔵GPUが無効となるので、UHDBDアドバイザーツールでは、SGXには対応と出るが、HDCP 2.2と高度な保護オーディオ/ビデオパスは非対応と表示される。

両GPUはSGXには非対応で、HDCP 2.2には対応しているので、この結果は矛盾するように見える。
どうやら、UHDBDアドバイザーツールは、外付けGPUを付けても、Intel内蔵GPUしかチェックしていないらしい。
内蔵GPUが無効になったため、HDCP 2.2と高度な保護オーディオ/ビデオパスが利用できなくなったと認識されたわけだ。

BIOSでKaby Lakeの内蔵GPUを有効にしたまま、外付けGPUを付けた環境はどうか? 当然、外付けGPUをディスプレイに繋いでいる時はUHD BDは視聴できない。
だが、その状態でHDMIケーブルを内蔵GPUに繋ぎ変えると、UHDBDアドバイザーツールでは全て対応が表示され、UHD BDも視聴できた。

現時点でのUHD BDの必要環境は、最新のCPUに7万円のゲーミングマザーボードなど、かなりエンスージアスト寄りのもの。
これを、外付けGPUなしで常用するケースはかなり考えにくく、多くの人はGeForceなりRadeonなりを繋いで、ゲームも楽しむだろう。
その場合、UHD BDを視聴する度に、ビデオカードを外すまでする必要はなく、ケーブルさえ繋ぎ直せばいい。
それでも手間なことに変わりはないが。

もしかすると、HDCP 2.2を通せるHDMIセレクタを用意し、内蔵GPUと外付けGPUに常にHDMIケーブルを繋いでおき、アプリによって接続先を切り替える形でもいけるかもしれない。

ちなみに、BIOSではSGXについて、Enabled(有効)とDisabled(無効)以外に、Software Controlled(ソフト制御)という項目がある。
Kaby Lakeで、SGXをこのSoftware Controlledに変更し、UHDBDアドバイザーツールを実行すると、SGXが利用できませんになった。

UHDBDアドバイザーツールがソフト制御に対応していないのかと思い、この件はここで検証を止めたのだが、実はソフト制御でも動いていた可能性がある。

ソフト制御とは、文字通り、CPUのSGX機能をソフトでオンにするための機能だ。
この状態では、SGXを利用するソフトが起動すると、それによってCPUのSGXがオンになるのだが、その後再起動が必要だということが後から分かった。
つまり、SGXをソフト制御にして、PowerDVDを一度起動してから再起動するとUHD BDを視聴できていた可能性がある。
だが、既に借用機材を返却したので、ここは未検証となってしまった。
システムが要求しなくても、設定を変えたら再起動すべしという教訓となった。

なぜ、SGXにソフト制御の設定が用意されているかというと、SGXをオンにすると、システムメモリを最大で128MBほど占有してしまうのだ。
SGXは頻繁に使われる機能ではないので、普段はオフにしてシステムリソースを有効活用したいユーザー向けにこの設定がある。

CPUをSkylakeにすると、こちらもHDCP 2.2と高度な保護オーディオ/ビデオパスが非対応と表示された。
これは想定通りと言っていい。

■PCでUHD BDを嗜む
と言うことで、Kaby Lake環境での検証の続きに話を戻そう。
視聴したタイトルは「デッドプール」と「エクソダス」。
いずれも、UHD BDと従来のBDが両方同梱されているので、それぞれ見比べてみた。

UHD BDのBDとの違いは、解像度がフルHDから4Kになったことと、HDR(High Dynamic Range)をサポートしたことだ。
前述のとおり、筆者の27MU67-BはHDR非対応なので、再生時に「従来のダイナミックレンジ(SDR)で再生しますか?」と表示されSDRになる。

解像感については、冒頭の「20th Century Fox」のロゴシーンは、鋭角な絵柄なので、フルHDを4Kに引き伸ばした際のエッジのボケがなくなり、クリアな映像となる。

ただ、本編ではそこまで高解像度化した印象がない。
特に背景などは、ぼけていることが普通なので、解像感が見えにくい。
BDとUHD BDを横に置いて見比べると、もう少し明確に差が分かるのだろうが、写し変えつつ視聴した映像の解像度での印象は、DVDとBDほどの差が見えなかったというのが正直なところだ。

とは言え、デッドプールでは、4KにスケーリングしたBDでは目立っていたフィルムグレインのようなノイズが消え、解像感ではないところで画質が見違えていた。

ただ、SDRの点は問題を抱える。
明らかに映像全体が暗い。
HDRで作られたものの色をSDRに丸め込んでいるので、強めにガンマを下げた形になる。
これは仕方ないものかと思ったのだが、AV Watch編集部にあったパナソニックのUHD BDプレイヤーでは、SDRでもこのように暗くならなかった。
PowerDVDのHDR→SDR処理が素直すぎると言ったところだろうか。

いずれにせよ、エクソダスの冒頭シーンでは、主人公たちの顔半分が影で表情がほとんど見えないほどになるので、UHD BDのSDRで観るのなら、BD版を観た方がいい。

もちろん、HDR環境ではそういう問題は起きない。
これもAV Watch編集部にHDR対応「レグザZ10X」があったので、そちらに繋いでみた。
UHDBDアドバイザーツールを実行すると、HDRも対応が表示され、初めて全ての項目が対応で埋まった。

レグザZ10XでもHDMI入力をSDRにしていると、PowerDVDでは暗くなるのは同じだが、HDRではもちろんそういったことは起きない。
ただ、画面の外部反射が割ときつい編集部の環境要因もあり、最大輝度の違いや色域の違いを明確には感じ取れなかった。

なお、HDRが有効となるのは、PowerDVDで全画面表示している時のみとなる。
Windows 10のデスクトップがHDRに対応していないので、ウインドウモードではSDR再生となる。

参考までに、PowerDVDで、BDとUHD BDのビットレートを比べたところ、シーンによって大きく変わりはするが、目測では、BDが20Mbps(H.264)くらい、UHD BDが50Mbps(H.265)くらいを中心に推移していただった。
UHD BDでは最大100Mbpsくらいまでサポートされるが、見ていた限りでは70Mbpsくらいのシーンはあっても、100Mbpsまでは到達していなかった。

ここで、以前の記事の補足をしておく。
2016年12月に掲載した記事(4K HDR対応のPS4 Proと30万のAVアンプを買ってみた。
そして、また罠にはまった)では、我が家のレグザJ10Xが、4K HDRに対応できないと書いたが、これは60Hzの場合で、UHD BDの仕様である4K 24Hzの場合は、レグザZ10Xでいけたように、レグザJ10XもHDRに対応できる。

■これを機にPCでのHDR普及に拍車がかかることを期待
と言うことで、PCでUHD BDを視聴できたわけだが、ご覧の通り、その環境はかなり限定的で制約が多い。
関係者に聞いたところ、マザーボードについては、GA-Z270X-Gaming 9以外で動作確認が取れていないという。
7万円を超えるマザーボードや、まだほとんど日本に流通していないPC用HDR対応ディスプレイや、高価なHDR対応TVを、UHD BDのためだけに用意できるかと言うと、無理な話だろう。
そういう意味で、PC用UHD BDのKAITEKIDOは厳しめの2K(KAITEKI)とさせていただく。

ただし、これはパイオニアやサイバーリンクに非があるわけではない。
UHD BDが導入しているDRMに正しく対応するには、SGXやHDCP 2.2が必須となり、現時点でそれに対応できる環境を揃えると高く付いてしまうということだ。
初物ならではの苦労と言っていい。

その意味では、ビジネス的観点からは、しばらく厳しい状況が続くことが容易に予想されるなか、民生用UHD BDプレイヤーの立ち上がりからさほど間を隔てず、PC向けドライブを投入したパイオニアには拍手を送りたい。
ただし、PowerDVDについては、もう少し画作りに頑張って欲しい点もある。

実は、マザーボードがハードウェア的にHDMI 2.0に対応しているにも関わらず、認証取得の手間を省きたいために、HDMI 1.4対応として出荷されているものもあると聞く。

今回、パイオニアがドライブを投入し、また今春公開予定のWindows 10 Creators UpdateでHDR対応が拡張されるので、これらを契機として、安価なマザーボードでのHDCP 2.2対応が進み、PC用HDR対応ディスプレイも入手性が改善されていき、メインストリーム環境でもUHD BDや、今後PC用にも展開されるであろうHDR 4Kストリーミング映像が楽しめるようになっていくことに期待がかかる。

なお、正直に言うが、7万円のマザーボードは、この後、売りに行く予定だ。

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