『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- X HD』発売記念! 藤田咲さんに聞く、ゲームのこと、ミクのこと

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文・取材:編集部 ロマンシング★嵯峨、撮影:カメラマン 小森大輔
●ミクのライブを見るたびに、大事なのは“人の力”だと感じます
2016年8月31日に9回目の誕生日を迎えた、電子の歌姫・初音ミク。
世界中で歌声を響かせる彼女は、ゲームの世界でも大活躍している。
つい先日(8月25日)にも、セガゲームスからPS4用ソフト『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- X HD』が発売されたばかりだ。

本記事では、『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- X HD』の発売を記念し、初音ミクのキャラクターボイスを担当している、声優の藤田咲さんのインタビューをお届け。
初音ミク×セガ作品をプレイした感想や、ミクのライブの魅力などを語っていただいた。

※本記事は、週刊ファミ通2016年9月8日号(2016年8月25日発売)に掲載された記事に、加筆・修正を施した完全版です。

藤田咲さんプロフィール
10月19日生まれ。
東京都出身。
おもな出演作は『艦隊これくしょん -艦これ-』(赤城役など)、『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園- 未来編』(忌村静子役)など。
(文中は藤田)
●2016年度は初音ミク×セガ作品が豊作! 藤田さんが考える各作品の見どころ
――2016年度は、『初音ミク プロジェクト ディーヴァ フューチャートーン』(6月23日配信、以下『フューチャートーン』)、『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- X HD』(以下、『プロジェクト ディーヴァ X HD』)、『初音ミク VRフューチャーライブ』(10月13日配信予定、以下『VRフューチャーライブ』)と、初音ミク×セガ プロジェクトのタイトルが、3作品も登場します。
藤田さんが考える、各タイトルの魅力を教えていただけますか?
藤田『フューチャートーン』はもともとアーケードゲームで、満を持してプレイステーション4で発売されたんですよね。
アーケードゲームの6年分のボリュームが収録されているということで。
すごくオトクですよね。

――曲数は220曲以上ですね。
藤田私はときどきゲームセンターに行くので、アーケード版を楽しそうにプレイしている皆さんの姿をよく見ていました。
家庭用版発売を機に、ぜひもっと多くの方にプレイしていただきたいなと思います。

――続いて、今回発売される『プロジェクト ディーヴァ X HD』についてはいかがでしょうか?
藤田このシリーズはずっとプレイさせていただいていますが、今回はプレイステーション4ということで、映像がさらに美しくなって、ミクさんが進化していて、驚きました!こんなにキレイになるんだなぁ、って。
『フューチャートーン』と『プロジェクト ディーヴァ X HD』は、どちらもプレイステーション4用ソフトですが、『フューチャートーン』は、どちらかというとアイドルなミクさん。
『プロジェクト ディーヴァ X HD』はアーティストなミクさん、というイメージがあります。

――モデリングが違うので、受けるイメージも違いますよね。
藤田うまく言えないのですが、『フューチャートーン』はポップでみずみずしいイメージで、『プロジェクト ディーヴァ X HD』は、スタイリッシュでクールなイメージです。
『フューチャートーン』は、もともとゲームセンターで展開しているものなので、ゲームセンターでも目立つようなキラキラさを重視しているんじゃないでしょうか。
『プロジェクト ディーヴァ X HD』は、アーティストのPVのように、1曲1曲について完成された世界観を提供しようとしていると感じます。

――では、プレイステーション VR(以下、PS VR)の発売と同時に登場する『VRフューチャーライブ』についてお聞かせください。
先ほどプレイしていただきましたが、いかがでしたか?
藤田去年、『VR Tech DEMO』をプレイさせていただいたんですが、そこから内容が格段に変わっていて、進化しすぎていて驚きました!いますぐPS VRを買って帰りたいぐらいです。
まだ発売されていませんけど(笑)。
体験したら、皆さんもPS VRが欲しくなると思います。
ライブの臨場感がそのまま、いえそれ以上に表現されていますし、家でプレイするものですから、人目を気にせずに好きなだけ「ミクさーん!」って叫べますし。
ミクにすごく近づけるという、ゲームならではの要素もありますし!初音ミクにピッタリのコンテンツだと思います。
気になる方は、ぜひ体験会に足を運んでもらえればと。
“初音ミク「マジカルミライ 2016」”でも遊べるそうですよ!
●多くの人の力で輝く初音ミクという存在の魅力
――藤田さんは、これまで数々のミクのライブに参加されていますが、ミクのライブの魅力とは、どんなところにあると思いますか?
藤田ミクという存在を輝かせるために、いろいろな人が関わっているということが、私にとっての初音ミクの魅力なんですよね。
バックバンドの皆さんの力によって、曲に厚みが出て、演出の皆さんの力によって、ミクの姿がいちばん輝くステージになる。
ライブに来た皆さんを楽しませるために、通常のライブと同じ、ともすればそれ以上の人たちが関わっているんです。
そのことがすごく大事だと思っていて、皆さんにも忘れないでいてほしいと思っています。

――いろいろな人の力で成り立っているというのは、ミクというコンテンツの本質だと思います。
それがライブにも当てはまるんですね。
藤田そうですね。
それから、初めにミクのライブに行って感動したのは、ライブに来てくれる人たちの力。
“いっしょに作っている”というか、ファンの人も出演者のような感じなんですよね。
皆さんがミクの名前を呼ぶことで、“ミクがステージで歌っている”という世界観を、現実のものにすると言いますか。

――観客がいて、初めてライブが完成する、というイメージでしょうか。
藤田ミクというバーチャルな存在は、観に来てくれる人がいなければリアルにならないと思うので。
ミクが素敵な存在だということを改めて個人個人が認識して、さらにそれを周りのみんなと共有することで、もっと曲のよさを感じられるのかな、と。
ミクのライブを見るたびに、大事なのは人の力なんだ、ということを私は感じます。
そのよさは、やっぱり体験しないと伝わらないので、ぜひ多くの方にミクのライブを見ていただきたいです。
『VRフューチャーライブ』でも、その力を感じられると思うので、ぜひプレイしてください。

――『VRフューチャーライブ』は、プレイしていると、周りのファンの声が聴こえるのが、また臨場感を高めているなと感じます。
藤田「ミクさーん」、「ミクちゃーん」という声が聴こえますよね! 『VRフューチャーライブ』のオーディエンスの皆さんの姿は、真っ黒で顔が見えませんが、ゆくゆくは友だちの写真を表示できたりするようになったらいいなぁ、と思いました。

――ところで、ミクの最新ライブが行われる“初音ミク「マジカルミライ 2016」”が、まもなく開催されますね(開催期間は9月9日〜9月11日、ライブは9月10日〜11日に実施)。
藤田マジカルミライは、ファミリーで来てくださる方が多いという印象があります。
家族みんなで楽しめる企画もたくさんある点が素敵ですね。
ライブはもちろん楽しみで、どんな曲を歌うのかな、どんな振り付けなのかな、と期待しています。
毎年の恒例行事になっていて、たくさんの方が来てくれるのが本当にうれしいです。

――8月31日には、初音ミクが9周年を迎えますが、この9年を振り返って、改めて思うことを教えてください。
藤田初音ミクは、誰かが目を留めてくれなかったら、心を込めて携わってくれなかったら、数あるDTMソフトのひとつのままで、ここまで多くの人に知られることはなかったと思います。
本当に、奇跡的なコンテンツなんだと改めて思います。
9年間変わらずに初音ミクを愛し支えつづけてくださった皆様に日々感謝しております。
楽曲、PV、イラストなど愛の形はさまざまですがどれも素敵で。
こんなふうにいろいろな形でたくさんの方に支えられながら、これからも初音ミクだからこそ体現できる世界を皆さんとともに作っていけたら……それがまた多くの方の目に留まればこれ以上幸せなことはありません。
みんなで9年、10年……それ以上の時間をミクと過ごしていけたらと願っています。

――来年は10周年ですので、もっと奇跡が起こるかもしれません!
藤田そうですね! 皆様の力もお借りして、どんどん進化していくミクの姿をお見せできるよう、私もがんばりたいです!

10月27日の「マフィア III」の発売までおよそあと2カ月。
筆者のようにその発売日が待ちきれない、という人も多いのではないだろうか。
ドイツで行なわれたgamescomでは最新バージョンのデモプレイが公開された。
弊誌でも取り上げているので、ぜひ見て欲しい。

そんな期待高まる「マフィア III」だが、前回に引き続き今回は「マフィアII」を紹介し、「マフィア III」への期待を高めていきたい。
シリーズ最初の「マフィア」は、10年以上前の、荒削りなところもあるゲームだが、空気感や、テーマ性で光るところのある名作であった。
「マフィア」の魅力は、「過去シリーズから探る『マフィア III』の魅力」で語っているので、ぜひ読んで欲しい。

「マフィアII」の最大の注目点は本作の主人公ヴィト スカレッタが、「マフィア III」でも重要な役割を果たすところだ。
本作での舞台設定は1951年のアメリカの都市エンパイア・ベイ。
彼はどんな過去を持ち、そして1968年のニューボルドーに現われるのだろうか?今回はXbox 360版の「マフィアII」をプレイし、概要や感触を語っていきたい。

■こんな状況なら、マフィアを目指すな……思わず納得させられる時代への鋭い視点
「マフィアII」は、2010年にPS3/Xbox 360/Windows向けに発売されたクライムアクションだ。
1945年から1951年にかけてアメリカの架空の都市エンパイア・ベイを舞台に、マフィアとなった青年ヴィト スカレッタの物語を描いていく。

ヴィトはイタリアから家族でアメリカに来た移民だ。
父は貧しい生活を何とかしようとアメリカに来たが、与えられた港の仕事は厳しい上に実入りは少なく、法外な家賃などに苦しめられ、やがて酒に逃避してしまう。
ヴィトは厳粛な母や姉と暮らしているが、不良少年の道を歩んでいく。
へまをして警察に捕まり、イタリア戦線に従軍させられるが、怪我をして一旦家に帰ったとき、不良仲間のジョーのおかげで除隊扱いにしてもらえる。
そして、彼はマフィアへの道を歩み出すのだ。

ヴィトにとってジョーは親友であり、恩人だ。
「マフィアII」はヴィトとジョーの“友情”が物語の根幹となっている。
ジョーは太った陽気でちょっとドジな男だが、目端が利き、小金儲けの才覚がある。
彼はマフィアへの繋がりを見つけ始めていて、かつての相棒であるヴィトを必要としていた。
ジョーは街の書類偽装を得意とする男に金を渡し診断書を偽装、ヴィトを戦線復帰不能という書類をあっという間に作ってしまう。

ジョーはヴィトにとってとても魅力的な生活をしていた。
ジョーは盗難車を売りさばく業者や怪しげな貿易業者ともつきあっていて車や資金も潤沢、大きなマンションに毎日のように娼婦を呼び馬鹿騒ぎしていた。
そしてマフィアとの繋がりを持つことでさらなる金を手に入れようとしているのだ。
ヴィトは金が欲しかった。
もう貧乏は嫌だと心底思っていたし、とにかく贅沢な暮らしに憧れていた。
そしてジョーはもっとでかく、危険で、儲かる仕事をするために、ヴィトの力を必要としていたのだ。

ゲームではいきなり従軍シーンから始まり、まさに絶体絶命の所を救われ、ヴィトがアメリカに帰るところを追体験できる。
そして一時的な帰国を恒久的なものにしてくれるジョーは素晴らしく頼もしい存在に思える。
また、実家の苦しい暮らしにも直面することになる。
ヴィトの家族は父親を失い、母と姉だけで暮らしているのだが、実は父の借金があったのだという。
ヴィトが金に執着し、危険な仕事をやるようになるのは、この理由もある。

筆者が「マフィアII」で深く感心したシーンがある。
ジョーと共に荒稼ぎをしようとしていたヴィトだが、母の「まじめに働いて欲しい」という言葉で、1度は父が働いていた港の仕事をする。
重い木箱をトラックに運ぶだけという単純作業で、ゲーム内で実際にこのうんざりする仕事をさせられる。
実際にはこれを1日繰り返して10ドル。

しかも月に1度は「散髪代」として無理矢理10ドルむしり取られるのだ。
港のボスは労働者の窮乏を知っていながらステーキなどを目の前で食う贅沢でゲスな男で、逆らうと用心棒をけしかけて暴力で脅してくる。
この時代の多くの移民労働者がどんな状況にあったのか、端的にわかる描写である。

しかし一方で、ジョーと共にちょっと危ない橋を渡れば100ドル単位の金が1晩で稼げるのだ。
港のボスもマフィアの1人であり、「ファミリー」に入れれば良い生活、大きな仕事ができるのがわかる。
踏みつけられる者と踏みつける者がこれほどあからさまにいる世界にいれば、誰もがマフィアになりたいと願うだろう。
筆者が「マフィアII」で“しびれた”のはここである。

社会の病巣をえぐり出し、人がマフィアという暴力集団になっていくという時代の雰囲気を、ゲームできちんと再現し、プレーヤーに追体験させる。
この作品のテーマ性の強さは、本当に驚かされた。
ゲームが持つ“可能性”が大きく広がった気がした。
こういう社会批判をきちんとできる日本のゲームってあるだろうかと、その時思った。

そしてマフィアの生き方を描きながら、それでも「マフィア賛美」になっていないのが、本作らしいところだ。
マフィアに求められるのは、命令されれば躊躇なく人に銃を向け引き金を引ける酷薄さだ。
ヴィトは「自分は従軍経験があるからそれができる」というが、戦争での価値観を日常に当てはめるというのは常人でも難しいのではないだろうか。
ヴィトも間違いなく異常な人間の1人であることをプレーヤーは様々な場面で知ることになる。

そしてプレーヤーは提示されるミッションをこなしながら、マフィアという組織そのものの“異常性”に直面していくこととなる。
マフィアは「ファミリー」といえど、隙があればお互いをつぶし合おうとする集団であり、ヴィトやジョーはその戦いに否応なしに巻き込まれていく。
プレーヤーはその破天荒でエキサイティングな物語に引き込まれながらも、「マフィアなんてなるものじゃないな」と強く思うだろう。
このプレーヤーの心を揺さぶっていく演出が素晴らしい。
そしてその強いテーマ性は、間違いなく「マフィア III」でも貫かれていることだろう。

■移り変わる時代を描写、変わりゆく町並みを再現
エピソードだけでなく、グラフィックスでも「マフィアII」の時代描写は素晴らしい。
「マフィアII」では主に1945年と、1951年の街が描写されている。
1945年は冬のエンパイア・ベイが舞台となる。
終戦間近ではあるが、戦争中の街は不景気で、街は重く沈んでいる。
それでも、雪が一面を覆う景色は美しい。
そしてラジオから流れる曲は当時のジャズや流行歌だ。
曲に合わせてドライブしていると、まるでタイムスリップしたような気分になれる。

1951年はうって変わって、街に活気が溢れている。
戦争の影は払拭され、人々は豊かな生活に向かいつつある。
季節は桜の美しい春となっている。
チャイナタウンやリトルイタリーなどでは道路に飾りなどもあって楽しい。
ゲームのメインはこの時代となる。
ヴィトは様々な車でこの街中を走り抜ける。
走っている車も時代と共に変化していくのが楽しい。
バーやレストラン、ホテル、ストリップクラブなど様々な場所の描写も面白い。

エピソードも凝っている。
ジョーとの羽目を外したエピソードや、マフィアに入るための儀式、暗殺のエピソード……たばこの密売や、ガソリンの配給券を現金に換えるなど時代性を活かしたミッションもある。
ゲームのボリュームはそれほど大きいものではないが、どのエピソードも印象に残るものばかりだ。

ヴィトとジョーはのし上がっていく。
かつては顎で使われていた男に「ボスへの口を利いてくれ」と頼られることもある。
ボス同士の本格的なつぶし合いで“兵隊”として使われることも。
そしてマフィアのボス達が見せるむき出しの権力欲はヴィト達にも伝播し始める。
彼らがマフィアとしてさらにのし上がろうとするとき、物語は大きく進み始める……。
「マフィアII」はマフィアという世界を垣間見ることができる作品だ。
その熱狂と、欲望、冷酷さを見ることができるだろう。

「マフィアII」の深いストーリーテリング、時代を描写する開発者の深いこだわりは、前作「マフィア」を大いに気に入った筆者の心をさらにシビレさせた。
時代やマフィアの暗い世界をエピソードできちんと語る手法も感心させられた。
だからこそ「マフィア III」には大きく期待したい。

もちろん「マフィア III」をプレイするのに、「マフィアII」をプレイしておく必要はない。
しかし、「マフィアII」では前作の主人公のサムがボスのサリエリを告発した証言の一部が出てきたり、ミッションで前作のエピソードと密接の関係する場所が出てきたりする。
「マフィア III」でも前作を知っている人がニヤリとさせられる仕掛けは盛り込まれるだろう。

そして何より「マフィアII」の主人公ヴィトは「マフィア III」でも登場するのだ。
彼はどんな過去を持った男なのか、「マフィアII」をプレイしておくのもアリだと思う。
彼はマフィアから追放された男として「マフィア III」に現われるという。
20年近くの歳月は彼に何をもたらしたのだろうか、筆者を含めシリーズのファンにとって、とても興味深いところだ。

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