ゼビウス! ダライアス! スペースハリアー!「あそぶ!ゲーム展 stage2」はアーケード/ファミコン全盛期特集で遊びきれない!
現在、SKIPシティ映像ミュージアムでは「あそぶ!ゲーム展 stage.2 ゲームセンター VS ファミコン」が開催中だ。
大人510円、子ども250円という低料金でありながら、1983年〜1990年までの総数50以上のアーケードゲーム、家庭用ゲームが実際にプレイできる、体験型の企画展。
「あそぶ!ゲーム展」の企画監修は「世界一受けたい授業」でおなじみの馬場章氏とゲームの神様こと遠藤雅伸氏。
stage2の今回は音楽コーナーの監修にhally氏(田中治久氏)、イラスト制作に小野Mr.Dotman浩氏を迎え、映像・音楽ともにより表現力が高くなった全盛期のデジタルゲームを実際に楽しみながら知ることができる展示となっている。
●圧巻!ゼビウスの部屋
会場はいくつかの小部屋に分かれている。
最初の部屋は1983年にビデオゲーム界に鮮烈な衝撃を残したゼビウスの部屋。
中央にテーブル筐体(プレイ不可)が鎮座し、その回りにアストロシティの試遊台、それに無数の設定資料が展示されている。
特に設定資料の豊富さは圧巻。
作者、遠藤雅伸氏直筆の原作小説「ファードラウト・サーガ」、ゼビウスの開発コードV-10の設定資料、登場する敵キャラの社内公募資料、ゼビ語対照表、キャラクタイメージ画など、盛りだくさんだ。
また、ゼビウスの攻略法をまとめたうる星あんず氏他による「ゼビウス1000万点への解法」、ポケモンの生みの親、田尻智氏らによる「ゲームフリーク」という2大ミニコミ誌も展示されている。
これらの資料、作品はすべて手書きであり、当時の生々しさ、熱量が伝わってくる。
●ナムコと任天堂
次の部屋はバラエティ豊かなアーケードゲームの部屋。
レースゲームのようなスピードを競うスポーツだけでなく、格闘技のゲームが増えてきたのもこの時期だ。
ここにはボクシング「パンチアウト!!」、プロレス「ザ・ビッグプロレスリング」が展示されている。
また、ゲームジャンルに幅がでてきたのもこの頃の特徴だ。
トランポリンで跳ねて上下移動、ドアの開け閉めで敵を一時的に無力化させて盗品を回収するマッピー。
2つのキャラクターを同時に操作し、ラインで囲んで奇跡を起こす(攻撃する)リブルラブルなど、独創的なルールのアクションゲームも多く見られる。
遠藤氏のもう1つの代表作、「ドルアーガの塔」はアーケード版のロールプレイングゲーム。
ゼビウスのハイスコアラーたちがワンコインで延々とプレイできるようになってしまったことへの商業的な反省から、いくらプレイヤーがうまくなっても60階、1時間程度で終了するようになっている。
ストーリー上、60階を目指して進む明確な目標があるため、納得感がある仕掛けだ。
創生期のころのブロック崩しなどでは1ゲームエクステンド(ゲームオーバー後に1面目から始まる)もあったことを考えると次第に商業性が高くなってきたような印象がある。
エンターテインメント産業として成熟してきた証だろう。
この部屋の隅にはひっそりとATARI VCS(アタリ2600)が展示されている。
1977年に北米で発売されたATARI VCSはそれまでの「ハードウェアメーカーがゲームカートリッジも供給する」という常識から、成り行き上とはいえ「サードパーティがロイヤリティを支払ってゲームカートリッジを供給する」という新たなビジネスモデルに変換し、1400万台を売り上げる大ヒットとなった。
しかし、その大ヒットによって極端な粗製濫造・供給過剰が生じ、ATARI VCS発売からわずか5年後には「アタリショック」と呼ばれる北米家庭用ゲーム市場の崩壊を招くことになった。
その最大の戦犯と呼ばれた伝説のゲームが「E.T.」だ。
展示ではその「ひっそり」感も味わってもらいたい。
そして次の部屋へ……。
●ファミコン登場
アタリショックで北米家庭用ゲーム市場が崩壊したあとに登場したのが任天堂ファミリーコンピュータ、通称「ファミコン」だ。
北米ではNES(Nintendo Entertainment System)という名称でまったく異なるデザインで販売された。
ファミリーコンピュータは当時としては非常に高性能であり、さらに多数の周辺機器やカートリッジに搭載される拡張チップなどによって、本体本来の機能・性能をはるかにしのぐ質の高いソフトが多く供給された。
その結果、全世界で6000万台以上を出荷する一大ブームを巻き起こすことになった。
現在でも愛好者は多く、2016年10月にもコロンバスサークルより新作「きらきらスターナイトDX」が発売されている。
ハードに関してはファミコンの特許権の切れた現在では多数の互換機が入手可能だ。
また、公式からは30本のソフトを同梱した復刻版「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が2016年11月10日に発売され、初週で26万台を販売するヒット商品となっている。
チップチューンと呼ばれるファミコンの内蔵/拡張音源チップを使った演奏も盛んに行われている。
展示場には「任天堂VS.システム」も展示されている。
この「任天堂VS.システム」はファミコンの北米進出のきっかけにもなったゲームセンター版ファミコンというべきもの。
取材当時に稼働していたタイトルはVSアイスクライマーとVSエキサイトバイク。
対戦台のようにも見えるが、両モニターでは異なるゲームが動いている。
VSシステムでプレイできるゲームは期間中入れ替えが行われるので、気になる人はスケジュールをチェックしておこう。
●多人数プレイ型アーケードゲーム
ファミコンの部屋を抜けると再びアーケードゲームが並んでいる。
ここには多人数同時プレイゲームが多く展示されている。
入ってすぐのところにあるのは4人同時プレイが可能なカルテット。
残念ながら取材当日は調整中のため試遊不可となっていたが、同じく4人同時プレイ可能な「ガントレット」はしっかり堪能することができた。
さすがに4人同時プレイというゲーム自体少ないものの、2人同時プレイはそれなりに数が出ている。
沙羅蔓蛇(サラマンダ)は2人協力プレイが可能なグラディウスの続編。
グラディウスシリーズといえばパワーアップカプセルを貯めてパワーアップの内容を自分で選ぶ、カプセルストック制が特徴的な横スクロールゲームだ。
だが、この沙羅蔓蛇および続編の沙羅蔓蛇2はパワーアップの内容ごとに異なるアイテムを取ってパワーアップする、アイテム制になっている。
さらに1面ごとにスクロール方向が異なるのも沙羅蔓蛇の特徴だ。
なお、海外仕様版の「LIFE FORCE」およびその日本国内版「ライフフォース」ではカプセルストック制に変更されている。
ファミコン用の沙羅蔓蛇もカプセルストック制だ。
コインエントリーの軽快な音に振り返ると、沙羅蔓蛇の前作となったグラディウスが設置されていた。
コナミサウンドの特徴である、透明感のある澄んだ音は今でも古くささを感じない一級品だ。
サウンドにこだわった有名なシューティングゲームとしてはゲームサウンドに没頭できるヘッドフォン端子を搭載し、ベンチシートにボディソニックを内蔵した「ダライアス」シリーズが挙げられる。
「ダライアス」シリーズはハーフミラーを利用した継ぎ目のない2ないし3画面モニターで大きなインパクトを与えたシューティングゲームの名作。
本展では2画面の「ダライアスII」が試遊できる。
もちろん、2人同時プレイ可能だ。
●体感・大型筐体
次の部屋はゲームセンターならではの大型・体感筐体が並ぶ。
スーパーハングオンはバイク型のコントローラで、車体を傾けて操作する。
バイクの形をそのまま再現した大型のライドオンタイプ、小型化したミニライドオンタイプ、ハンドルのみで操作するシットダウンタイプの3タイプがあり、展示されているのはミニライドオンタイプ。
その向いにあるのがアフターバーナーIIとアウトラン。
スーパーハングオンがプレイヤー自身が筐体を動かしてコントロールするのに対し、こちらは操作に合わせて座席が動くムービング筐体。
駆動部分への負荷が高いこともあり、稼働する状態でプレイできる機会は貴重だと言えよう。
そのため、両ゲームともプレイ可能時間帯に制限があるので、出かける際には注意してもらいたい。
また、取材日にはもう1つのセガのムービング筐体である「スペースハリアーデラックス筐体」を試遊することができた。
先着15組という条件だったため、開場前から行列ができる人気っぷりだった。
●家庭用ゲーム機
体感・大型筐体の部屋を抜けると家庭用ゲーム機、パソコンの部屋だ。
展示されているのはファミコンの次の世代のコンシューマー機。
ゲームボーイ、スーパーファミコン、ネオジオ、PCエンジンが並ぶ。
「100メガショック!ネオジオ!」のキャッチフレーズを覚えている人も多いと思うが、ここで言う「100メガ」は「100メガビット」、つまり12.8メガバイトのこと。
それでもファミコン時代から比べるとCPUパワー、メモリ、グラフィック、サウンドすべてにおいて大きくスペックアップしているのが分かる。
また、ホビーパソコンとしてMSX2 Panasonic A1、X68000、PC-8801mkIISRが展示されている。
稼働しているゲームは小島秀夫監督の第1作である「メタルギア」、コーエー(現コーエーテクモゲームス)の大ヒットシリーズ「信長の野望」、日本ファルコム(現ファルコム)の「イース」と、どれも現在につながる貴重なものになっている。
セーブをしながらじっくり進めていくゲームが多いせいか、この部屋は人は少なめだった。
その中でPC-8801mkIISRのFM音源が奏でるイースのBGMが印象的だった。
●ゲームの音楽史
最後の部屋はhally氏(田中治久氏)が監修するゲーム音楽史。
手書きのゲーム音楽スコア、ファミコン実機を使ったチップチューン体験コーナー、ゲーム音楽のレコードジャケットなどの展示がある。
●期間は3月中旬まで!
デジタルゲームの黎明期であったstage1に比べると、黄金期にフォーカスしたstage2はゲーム数も大きく増え、非常に盛りだくさんの内容となっている。
開場の9時半から閉館の17時までずっといても、あっという間に過ぎてしまうくらいのボリュームだ。
しかも、並ぶこともほとんどなく、目当てのゲームがプレイできる。
「あそぶ!ゲーム展」は映像ミュージアムの企画展であり、大人510円、小中学生250円の入館料のみで楽しむことができる。
1年間何度でも入場できる年間パスポートも大人2040円、小中学生1020円で販売されているので、5回以上行くつもりの人は検討してみるとよいだろう。
また、12月18日にはゼビウス、ギャラガ、マッピー、ディグダグなど、数々のナムコゲームでグラフィックを担当した伝説のドット絵師、小野Mr.Dotman浩氏らによるワークショップ「さわれるドット絵を作ろう!!」が開催される。
内容はアイロンビーズを使ってドット絵を作るというものなので、男の子にも女の子にも楽しめる内容になっている。
定員20組(応募多数の場合は抽選)だが、小学生以上のお子さんがいらっしゃる方はぜひ、申し込んでみてはいかがだろうか。