任天堂の収益“スイッチ” スマホ用ゲーム事業、新たな柱に

任天堂の君島達己社長は1日、東京都内で経営方針説明会を開き、3月発売の新型機「NintendoSwitch(ニンテンドースイッチ)」に自信を見せた。
任天堂はスマートフォン用ゲーム事業の本格化など、収益モデルの再構築を推し進めている。
だが市場の見方は厳しく、同日の任天堂株は大きく値を下げた。
競争の厳しいゲーム業界で再び主導権を握るには、事業の多角化などさらなる改革を急ぐ必要がある。
(大島直之)
「スイッチの魅力は触っていただければわかる」「70社以上が100を超えるソフトを開発している」
経営方針説明会で君島社長はこう述べ、国内外での普及に自信を見せた。
予約状況も好調で、3月末までに200万台を出荷する計画だ。

新型機スイッチは、テレビにつなぐ据え置き型だが、画面のついた本体やコントローラーが取り外しでき、持ち歩いて遊べるのが特徴だ。
このため、携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」と競合するとの懸念がある。
これに対し君島社長は「3DSとは形状、重さ、価格も違う。
直接競合しない」と反論し、高機能のスイッチと、安価で手軽に遊べる3DSはすみ分けができると強調した。

しかし、投資家らの反応は冷ややかだ。
1日の東京株式市場で任天堂株は売られ、株価は前日終値比2・14%安の2万2625円で取引を終えた。

新型機とともに、任天堂はスマホ用ゲーム事業を新たな成長の柱と位置付け、強化を急ぐ。
昨年12月に配信開始した同社初の本格的スマホ用ゲーム「スーパーマリオラン」は、ダウンロード数が7800万件に達するヒットとなった。

ただ、無料部分だけを遊ぶ利用者の割合が多く、1200円でアプリを購入する利用者はまだ限定的だ。
任天堂によると、ダウンロード後10日間に購入する利用者は約5%で、現時点での収益への貢献は限られる。
君島社長は「課金率は徐々に上がっており、2桁%を目指したい」と話す。

その上で任天堂は、スマホ用ゲームの次回作「ファイアーエムブレム」で、「ガチャ」と呼ばれる有料の電子くじ引き型の課金システムを初めて採用するなど、新たな収益モデルを模索する。
君島社長は「(スマホ用事業)単体で収益化することが前提」とし、ゲーム機やソフトに次ぐ安定した収益基盤に育てる考えを示した。

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