『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』北欧の地で開催された発表会での試遊リポートと開発者インタビューをお届け
文・取材・撮影:編集部 ばしを
●子ども目線での大冒険がくり広げられるダークファンタジーが登場!
バンダイナムコエンターテインメント・ヨーロッパが2017年1月30日〜2月2日にスウェーデンで開催した新作発表イベント“LEVEL UP WINTER EDITION”にて、有力デベロッパーへの支援や、さらに強固な協力体制を取っての開発援助によって開発が進められているBNEEの2017年発売戦略タイトルとして、『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』が発表されました。
ここで、イベントでの試遊リポートと、開発者インタビューの模様をお届けします。
本作は、『リトルビッグプラネット』シリーズの制作実績を持つTarsier Studiosが手掛ける、まったく新しいダークファンタジー系の作品です。
ちなみに、同イベントで行われた『Project CARS 2』の雪上ドライビング体験や、『Impact Winter』でのサバイバルチャレンジといった大がかりなアクティビティは用意されていませんが、本作の開発を手掛けているTarsier Studiosは、発表会が行われたスウェーデンが本拠地とのことで、これまた今回の発表会には縁ある作品と言えるでしょう。
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今回紹介する『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』は、胃袋の異名を持つ謎めいた巨大船舶“モウ”の奥深くに囚われてしまった幼い少女“シックス”が、さまざまな困難を乗り越えて脱出を目指すといった、アドベンチャー仕立てのパズルアクションゲームとなっています。
この“モウ”の中は、おぞましい生き物や危険がいっぱいで、シックスにとってはとても恐い場所でありながら、でも大切な遊び場でもあるようです。
●とても小さな少女・シックスのとてつもなく大きな冒険に挑戦
というわけで、さっそく用意されていた試遊版に挑戦させてもらいました。
ゲームが始まると、いきなり暗い空間のなかにシックスがいる状態からスタート。
室内にはこれといった光源がなく、どこへ行っていいものやらと一瞬途方に暮れそうになりましたが、どうやらライターを持っているらしく、それを点けることで(若干ですが)辺りが見渡せるようになります。
階段をあがって部屋を進んでいくと、雰囲気のある事務机と木の椅子が置かれている部屋に到着。
そこにある机や椅子と並んだ姿を見ると、シックスがかなり小さな女の子であることがわかります。
プレゼンでも小さな女の子とは聞いていましたが、そのサイズはもはや人形レベルの小ささ。
このサイズだと、普通の部屋を探索するだけでも、とてつもなく大変だと思います。
探索で訪れた寝室のような部屋では、どうやら机の上に置かれている鍵を手に入れることが目的のようです。
けれども、シックスがこの鍵にたどり着くには、(シックスにとっては巨大な)ベッドによじ登り、そこから(シックスにとってはそびえ立つほどの高さの)タンスの上まで這い上がっていき、さらに隣の戸棚までジャンプで飛び移り、それからようやく机の上に降り立つことができる、といった具合に、とてつもない道程が待ち構えています。
これが大人だったら(もしくは、普通のサイズの子どもでも)、ちょっと手を伸ばして鍵を取ればいいだけなんですが、シックスにとってはこんな普通っぽい空間であっても、途方もない大冒険の舞台になってしまうんですね。
また、ステージの要所には、シックスと同じくらいのサイズの生き物や、巨大で恐ろしい雰囲気を持った者まで、さまざまなキャラクターたちも登場します。
試遊していた限りでは、侵入者をつけ狙う極悪な罠が用意されていたり、凶暴なクリーチャーが襲いかかってくるといった過激な仕掛けは見当たりませんでしたが、高いところから落ちたり取るべき行動を誤ると、ひとたまりもなくミスとなってしまいます。
ですが、すぐに手前のポイントからやり直しができるので、ミスがストレスになることは少なそうです。
シックスを狙ってくる巨大なキャラクターも、暗い雰囲気もあってかなり異形の怖さを醸し出していますが、その手足のバランスの滑稽さ等を見ると、どことなく可愛く見えることもあったりと、とにかく全編通してとても不思議な冒険が続いていきます。
作品全体を通しての陰影表現が優れているのは前述の通りですが、音の演出も負けていません。
基本的にはシックスやキャラクターたちの足音や、ネズミの鳴き声のようなものだったり、空調音等といった環境音が聞こえてくるだけですが、それが本作の雰囲気にピッタリマッチ。
さらに、特定の場所に着いたりイベントが発生すると、それにあわせた音楽が自然に流れるなど、プレイに没頭させたまま気分を盛り上げてくれる演出は見事です。
この『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』は、先に進むための方法等が明確にヒントとして提示されるわけではありませんが、いろいろと試していくうちにどんどんと進んでいくことができます。
気分がすっかりシックスとシンクロして冒険に没頭していたところで、試遊時間が終わりを告げることに。
1時間半程度と時間はたっぷりあったのですが、遊び足りないことは言うまでもありません。
まるで、公園で遊んでいた子どもが帰る時間になって、後ろ髪を引かれる思いで公園を後にするような、そんな気分で今回の試遊を終了することになりました。
実機試遊の後は、Tarsier Studiosの開発スタッフであるデイヴ・マーヴィク氏と、バンダイナムコエンターテインメント・ヨーロッパのプロデューサーであるリュカ・ルーセル氏にお話を伺えるとのことで、いろいろなことを聞いてみました。
−−まず始めに、本作の制作を思い立った経緯について教えてください。
デイヴ・マーヴィク氏(以下、デイヴ)今から約12年前、Tarsier Studiosがまだ9人しかいなかった頃の話になりますが、我々は『The City of Metronome』という作品を作ろうとしていました。
この作品は、ダークな世界の中に投げ入れられたひとりの子どもが遭遇する、奇妙でねじまがった世界観が特徴的なダークファンタジー系のアドベンチャーゲームだったんですが、残念ながら製品化には至りませんでした。
その後は皆さんもご存じのように、我々は『リトルビッグプラネット』の制作を手掛けさせてもらうことになるのですが、その間も我々はずっとこのダークな世界観の作品を作りたいと思い続けていました。
幸い、この12年でスタッフ数も40〜45人まで増えていったこともあり、もう一度起業時の気持ちに立ち戻ろうという思いもあって、『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』に取り組むことになったというわけです。
−−スタジオ設立時からの構想が実現したとのことですが、本作の製作期間はどのくらいになるのでしょうか。
デイヴ3年ほど前に、プロトタイプの開発に着手したのが始まりです。
そこからファンドを起ち上げ、集めた資金を元にした評価版をバンダイナムコエンターテインメントに見てもらい、それから2年が経過して現在に至っています。
−−本作を遊ばせてもらって、何となく恐いような、でも楽しい雰囲気もあるといった、とても奇妙な世界観を感じさせてもらいました。
デイヴ本作は、誰もが持っている子ども時代を表現した作品になっています。
皆さんも子ども時代は周りの世界が異質で、とても大きなものに感じられたことがあると思いますが、そういった子どもの視点で感じられる世界観を強調して表現しています。
リュカ・ルーセル氏(以下、リュカ)子どもたちって、暗い部屋の中に独自の世界を作り上げたり、ベッドやタンスを遊び場に変えたりと、自分を楽しませることを無意識にやっていると思いますが、そういった感覚的な部分を本作で描いているというわけです。
−−この“モウ”という世界は、とても不思議な空間に感じられましたが、いったいどのような場所なんでしょうか。
デイヴそういった根幹の部分については、ユーザーの皆さんに考えてもらいたいので、具体的な背景情報などはあえて与えていません。
モウと呼ばれているものがいったい何なのか?この世界に住むキャラクターたちがどこから来たのか?そういった情報について明確に語られることはありませんが、疑問を解決するためのヒントはところどころに用意しています。
ただ、本作はメッセージやテキストがほとんど出ませんので、こういったヒントを見逃さないように、プレイ中はステージに散りばめられた細かなディティールに目を凝らしながらプレイしてもらえたらと思います。
リュカ本作では、世界観やキャラクターの明確な説明は行っていませんが、なぜそのキャラクターがそこにいるのか、そのキャラクターにはどういった役目があるのかといったところが次第にわかってくるような設計にしています。
ですので、デイヴの言うようにビジュアル面と、後は音楽に注目しながらプレイしてもらえると、ゲームの進行に応じて次第に「このキャラクターはこういう理由でいるのかもしれない」といった答えが自分の中に芽生えてくると思います。
−−本作の制作にあたり、何かモチーフにした作品やインスパイアされた物語などはあるのでしょうか。
リュカ『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』は、他のどの作品とも異なった、非常に特徴的な作品で、我々独自の創作物です。
Tarsier Studiosが12年前から作りたいと思っていたものを具現化していますが、このユニークな雰囲気は、人々の記憶にずっと残ってもらえると期待しています。
−−グラフィックのクオリティも高く、また明暗の表現がものすごく印象的でしたが、PS4 Proへの対応はされていますか。
リュカもちろん。
PS4での解像度は1080pですが、PS4 Proでは4Kに対応しているので、ビジュアルエフェクトもよりハッキリと見て取れると思います。
グラフィックの面でいえばPC版がいちばん優れた表現が可能になりますが、PS4 Pro版はPC版と比べても遜色ないプレイ体験ができるはずです。
−−想定されているプレイ時間はどのくらいを考えているのかを教えてください。
リュカ基本的には5〜8時間程度を想定して制作しています。
このように幅があるのは、プレイヤーがどう遊ぶのかで変わってくるからです。
細かく探索せず、謎解きも最小限にプレイした場合と、細かなディティールまで見てもらいながらプレイしてもらうのとでは、自ずとプレイ時間も変わってきますからね。
また、1回プレイしただけでは気がつかない、細かな発見要素も散りばめています。
ですので、できればじっくりとプレイしてもらい、さらに2回、3回と遊んでもらうことで、この世界観やキャラクターのことについて、より理解を深めてもらいたいですね。
−−テキストもセリフも少なく、雰囲気だけで楽しめる『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』は日本人にも受けいれやすい作品だと思います。
4月28日より日本でもSteam版のリリースが開始される予定ですが、最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
デイヴこのプロジェクトは最初はとても小さく、4〜5人で始めたもので、ごく限られた地域でしか展開できないと思っていました。
それがこうして、日本の皆さんにもプレイしていただける機会があることを、非常にうれしく思っています。
リュカ本作は、ゲーム内のあちこちで日本文化を意識している部分があります。
ですので、そういったところに注目しながら、日本の皆さんに楽しんでいただきたいと思います。
ちなみに、今回のイベント“LEVEL UP WINTER EDITION”で発表されたタイトルはいずれも英語版で、現時点では日本語のローカライズが行われていない状態ですが、本作に限っていえば言語は関係なく楽しむことができると思います。
この『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』は、2017年4月28日にPC(Steam)版がリリース開始とのこと。
まだPS4版の発売日はアナウンスされていませんが、新たな情報が届いたらファミ通.comでお知らせするので楽しみに待っていてください。
筆者も、インタビューで触れていたPS4 Proでこの『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』の世界を早く体験してみたいものです。
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こちらは今回の“LEVEL UP WINTER EDITION”で開催されたアクティビティではありませんが、イベント最終日の夜に食事が提供されたレストランの店内が、『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』仕様にされているというサプライズ演出が。
店内の至る所に、本作の世界観をイメージするアイテムやキャラクターなどが配されているなど、ゲームの雰囲気を思い出しつつ食事を楽しむことができました。
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『LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-』ものがたり
「胃袋」の名を持つ謎めいた巨大船舶「モウ」に囚われた幼い少女「シックス」
物語はシックスがモウから脱出を試みるところから始まります。
幼いシックスにとって、モウは牢獄であると同時に遊び場でもあります。
死の危険が至るところに潜む客室の中で、ひとり知恵を振り絞って生き抜き、
出口を見つけ出すことができるでしょうか。
LITTLE NIGHTMARES -リトルナイトメア-
メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
対応機種:プレイステーション4 / Windows
発売日:Steam版:2017年4月28日配信予定、PS4版:未定
価格:Steam版:2200円[税抜]、PS4版:未定
ジャンル:サスペンスアドベンチャー