『ポケモンGO』で盛り上がる位置情報ゲームの魅力を探る~真鍋大度×Ingress川島優志
–まず川島さんにお聞きします。
「Ingress登場前」と「Ingress登場後」のゲームの定義が変わっていると考えます。
当事者としてIngressが世界に与えたインパクトを教えてください。
川島: 日本だとガラケー時代から「位置ゲー」というジャンルが既にあり、位置情報を使ったゲームとしては、我々がパイオニアだとは思っていません。
ただスマホ時代の位置情報ゲームとしては、スマホ普及率の拡大と、GPS精度向上が運良く重なり、良いタイミングでリリースできたと思っています。
あとは開発メンバーがGoogle Maps担当なので地図を知り尽くしているという事と、グローバルに展開できている位置情報ゲームというのはユニークなポイントとして挙げられると考えます。
もちろんグローバルな位置情報アプリとしてはFoursquareなども先行していますが、とことんゲームにこだわっている点ではIngressがユニークだと言えます。
我々は世界地図を“ゲーム盤“とみなしており、Ingressを通して世界の見え方を変えていくチャレンジをしています。
街中にある建造物やお地蔵さんなどを“ポータル“として登録し、ハックしていく事によりゲームと現実の境を溶かしているのは他に無いアプローチです。
普段何気無く目にしていたり、通りすぎている街中のあらゆるモノにも意味があることをこの“ポータル“として登録、認識することにより伝えていこうとしています。
–真鍋さんはIngressのヘビーユーザーとお聞きしますが、どこに魅力を感じてらっしゃいますか?
真鍋: Ingressの良いところは不親切なところです。
最近のゲームは何から何までお膳立てされていてまるで映画を見ているような感覚に陥るのですが、Ingressはそれとは逆に自由度が高く、ユーザーに楽しみ方を委ねているところが面白いです。
Snapchatとかもそうだとおもうのですが、不親切なぐらいがユーザーが遊びを作り出す余白もあって、体験としては結果的に良いものになったりするんですよね。
それが熱狂的なファンを増やすことになると思っています。
あと、不親切な分だけ人に教えたくなるんですよね。
「Ingressやってる?」とか「わからない事多いよね?!」という会話が発生し、結果「教えてあげるから一緒に一回やってみよう」と友人と楽しむ、こういうコミュニケーションが発生するのも面白いところです。
川島: ゲーム体験、ユーザーエクスペリエンスという観点から見ると、ちゃんと設計されたものが常にみんなから愛されるわけではないと考えています。
例えば、2ちゃんねるとかは素晴らしいインターフェイスとは言えないけれど、多くのファンに愛されている。
アプリやサービスや素晴らしくなめらかなUIを作り上げたからと言って愛されるわけではないのですが、開発側がエクスペリエンスをデザインする上で、間違いが起きがちなポイントかもしれません。