任天堂がBitSummitに初参加! その理由を担当者に直撃 個人クリエイターにも門戸を開く

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文・取材・撮影:編集部 古屋陽一
●7月7日から国内でも個人開発者への門戸を開く
2016年7月9日〜10日、京都市勧業館みやこめっせにてインディーゲームの祭典BitSummit 4thが開催。
4回目を迎えるBitSummitにおいて、間違いなく“目玉”となるのが任天堂の参加だ。
お膝元である京都で開催されるということもあり、主催者サイドからやゲームファンからも待望されていた任天堂だが、今回“満を持して”BitSummitへの出展が実現した。
会場では、入り口近くにブースを構えて、14タイトル(!)を出展。
大きな存在感を見せてくれた。

では、なぜ任天堂は今回BitSummit 4thへの出展を決めたのか、その理由を任天堂 業務部の担当者に聞いた。

※VRゲームから家庭用、携帯用ゲームまで! 任天堂が存在感を見せた“BitSummit 4th”企業ブースレポート(その1)

――任天堂がBitSummitに参加するということで驚いたのですが、経緯から教えてください。

担当いままで任天堂のハードでゲームをリリースするとなると、法人である必要があったんです。
海外では個人の方も受け入れていたのですが、国内ではお断わりしていたんです。
私たちの受け入れ体制が整っていなかったというのが大きな理由だったのですが、そのことで、一部のイメージでは、「任天堂は敷居が高い」や「制約が高い」とのご指摘を受けていました。
それがようやく受け入れ体制が整いまして、7月7日から個人の方や法人にはしていないインディーグループの方々が任天堂のプラットフォームでゲームを発売できることになりました。
合わせて、【【https://developer.nintendo.com/
:“Nintendo Developer Portal”もリニューアル】】しました。

――ああ、そうだったんですね。

担当それで、そのことを広く訴求するには絶好のタイミングということで、初めてBitSummitへの出展を決定したんです。
会場では、“Nintendo Developer Portal”のURL入りのチラシや名刺などを配布して、積極的にアピールしています。

――BitSummit自体には、もともと関心はあったのですか?
担当もちろん、京都市でこういうイベントがあるということは理解していましたし、機会があれば……ということはずっと考えていました。

――BitSummit 4th開催前に、出展ラインアップを発表されて、あれで一気にBitSummit 4thが盛り上がってきた印象があるのですが、ラインアップの選定はどのような基準で行われたのですか?
担当基本的には今回は、国内のインディーメーカーさんを中心にお声掛けさせていただいておりまして、プラス何本かの海外発のWii Uやニンテンドー3DSの特徴をよくとらえたタイトルを中心に選ばせていただいております。

――セレクトの基準はあるのですか?
担当さまざまな方に向けたものをご提供していきたいという思いがありますので、多種多様なタイトルを出展させていただきました。

――とくに注目してほしいタイトルなんてあります?
担当まあ、強いて言えば、全部ですね。
全作に力を入れています。

――BitSummitに出展するにあたっての、方針などはあったのですか?
担当個人開発者の方にも門戸を開いて作っていただきたいということがあるのですが、大手やインディーということで区別をするつもりはなく、いままで以上にユーザーの方々の選択肢を広げて楽しいゲーム体験をしていただきたいと思っています。

――ここへきて、任天堂さんもインディーゲームにより積極的に取り組むということでしょうか?
担当2013年の始めには、これからは「インディーや小規模なスタジオにもゲームを作っていただきたい」ということで、UnityやNintendo Web Frameworkの話を、決算説明会でしているんですね。
具体的にそれが開発者の方に目に見えるようになったのは、今回が初めてかもしれません。
裏ではずっと取り組んできました。
今後は、受け入れ体制が整ったところで、7月7日を皮切りに、これからはインディーの方々も含めて幅広く任天堂プラットフォームで活躍していただきたいと思っています。

――ちなみに、個人の人が出したいと思ったら、どんなプロセスをたどることになるのですか?
担当はい。
まずはサイトにアクセスしていただきまして、そこで利用契約を結んでいただいたら、その後のプロセスが分かる感じになっています。

――できたタイトルに対しては任天堂さんのほうで内容を確認したりするのですか?
担当基本的に内容チェックはありませんね。
国内で売るときにはCEROのレーティングは取得していただくことにはなるのですが。
あと、最終的にハードに適合するかのチェックはさせていただく予定でいます。

――パブリッシングは各自で行う?
担当そういうことになります。
インディーメーカーだったり、個人がゲームの配信元になるということになります。

――望めば、日本人が作ったタイトルも世界でリリースできる?
担当できます。
ただ、最低限各国に合わせて、言語やレーティングなどの要件を満たしていただく必要はありますが。

――具体的にはどれくらいから、個人で作ったインディーゲームが世にでることになりそうですか?
担当そうですね……。
それはみなさんの制作作業次第になるかと思います。
早ければ、今年の夏に出すという方もいらっしゃるかもしれません。

――7月7日にNintendo Developer Portalがリニューアルされたとのことですが、反響はいかがですか?
担当おかげさまで、かなりの数のご登録をいただいています。
日本で個人が参加が可能になったのと同タイミングで、ワールドワイドでサイトをリニューアルしました。
リニューアルといっても新規と言っていいくらいなのですが。
そのため、世界中からたくさんのご登録をいただいています。

――世界規模となると、相当な数のクリエイターの登録がありそうですね。

担当そうですね。
私たちとしてはぜひ多くの方に登録していただいて、多くのソフトを発売していただければ……と思っています。

――ゆくゆくはどんなことを期待しているのですか?
担当多種多様なラインアップを提供して、年齢や男女を問わず、いろいろな方に向けた幅広いソフトをご提供できれば……と思っています。
よいアイデアを形にしていただいて、それをeショップで販売する、ということに“つながる”ことに期待しています。

――では、今回BitSummitに参加してみていかがですか?
担当おかげさまで、試遊を求める列も絶えることがなく、多くの方々に楽しんでいただいています。
ここでの試遊ということでは、非常に手応えを感じております。

――クリエイターさんからの反響も?
担当興味を持っていただいて、「いますぐNintendo Developer Portalに登録します」や、冗談で「副業します」とおっしゃっていただける方もいらっしゃいました(笑)。
任天堂では、いわゆる大手やインディーに関わらずご対応するスタンスでいます。
今後、いろいろな方に登録していただいて、どんなアイデアを形にしていただけるか、楽しみにしています。

個人登録への門戸を開いたことにより、いよいよインディーゲームへの門戸を開いた感のある、任天堂。
今後の任天堂の取り組みの成果に期待したい。

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