<話題>「ポケモンGO」で関連銘柄ゲット―警備会社や政府推奨のモバイルバッテリーに出番
任天堂とゲーム企画会社ポケモン(東京都港区)、米ナイアンティックが共同開発したスマートフォン(スマホ)ゲーム「ポケモンGO」の日本配信が22日、ついに始まった。
このゲームは全地球測位システム(GPS)の位置情報と拡張現実(AR)機能を利用し、現実世界を舞台にポケモンを捕まえバトルする。
モニターの中だけで完結せず、プレーヤーは実際に家の外に出てポケモンを探しほかのプレーヤーと出会うのが特徴。
すでに世界的にメガヒットどころかギガヒットとなっており、任天堂の時価総額は6日の約2兆円から19日には最大4.7兆円以に膨らんだ。
このブームはしばらく続きそうで、関連銘柄の思惑もさらに高まる可能性が高い。
<関連銘柄は玉石混交>
「ポケモンGO」が6日に米国などで配信を開始したとき、真っ先に関連銘柄として買われたのは京都銀行とディー・エヌ・エー(DeNA)。
それぞれ任天堂の株主であり、「ポケモンGO」が同社の業績に寄与すれば最大の恩恵を受けるため当然といえる。
ただ、すでに関連銘柄に対する物色は相当進んでおり、任天堂やポケモン関連とされる銘柄はとにかく玉石混交、何でも良いから買いとなっている。
「ポケモンGO」と正式にコラボレーションを実施する日本マクドナルホーディングスなどを除けば大半は思惑での動き。
過去、「ポケットモンスターオメガルビー・アルファサファイア」の発売記念キャンペーンでイオン、ローソン、ミニストップがキャンペーンを行ったことからこの先、コンビニエンスストアなどとの提携はあり得る話。
一方で「ポケモン」というキーワードだけで反応し、明らかに関連とは言い難い銘柄も急騰している。
ここからは本当に業績にプラスとなる銘柄なのか、取捨選択を行いたい。
<とにかく電池を食う>
実際に「ポケモンGO」で遊ぶと分かるが、とにかく電池の消耗が速い。
これはGPSの位置情報とカメラ機能を常時利用するうえ、画面を点灯し続けるというスマホでもっとも電池消耗の早い方法をコンボで行っているから。
そのため必須となりそうなのが、大容量モバイルバッテリーだ。
政府の内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)も20日、国内配信に先立ち「ポケモントレーナーのみんなへおねがい♪」として注意喚起を行い、その中で「予備の電池を持とう」と呼びかけた。
まさに政府お墨付きでモバイルバッテリー購入を推奨しているのも同然。
国内製モバイルバッテリーは海外製に比べ信頼性が高いとされ商機となりそう。
銘柄としてアイ・オー・データ機器、エレコム、メルコホールディングス、ソニー、パナソニック、日立マクセル、FDKになる。
また、データ通信を頻繁に行うとなれば通信銘柄にもチャンス。
大手通信キャリアはデータ使用量が一定量を超えると月末まで通信速度が制限される。
解除するには追加でチャージ(購入)すれば良いのだが、チャージする人が増えればKDDI、NTTドコモ、ソフトバンクグループには業績の上ブレ期待がかかる。
また、割高な大手キャリアを嫌う人が仮想移動体通信事業者(MVNO)の日本通信、U−NEXT、朝日ネット、インターネットイニシアティブと契約することは十分考えられるだろう。
<海外では不法侵入続出、警備会社に出番>
実は「ポケモンGO」で遊ぶ人が増えれば確実に必要となりそうなのが警備会社。
米国では10代の3人がオハイオ州ペリー原子力発電所の敷地内にある駐車場に入り込み、ポケモンを捕まえようとして自分達が警備員に捕まるという事案が発生した。
インドネシアでは軍事施設にフランス人が侵入し拘束され、グアテマラにおいては少年が住宅に侵入し射殺される事件も発生している。
前出のNISCは「危険な場所に立ち入らない」と注意はするものの、「ポケモンGO」を口実にした不法侵入が増える可能性があり、その場合は警備会社のセコム、セコム上信越、ALSOK、CSP、ビケンテクノ、RSC、トラストホールディングスに出番がありそうだ。
(モーニングスター7月22日配信記事)