FBI新人捜査官は真実を幻視する――ある少年の失踪事件をめぐる一人称視点のミステリーアドベンチャー『Virginia』が日本語入りで配信

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文:編集部 ミル☆吉村
●1992年、ヴァージニア州。
静かな町で少年が姿を消した。
505 Gamesが、Variable Stateのアドベンチャーゲーム『Virginia』の配信を海外で開始した。
対応プラットフォームはPS4/Xbox One/PCで、SteamでのPC/Mac版では日本語も対応。
Steamでの価格は980円(9月29日まで10%オフの882円)となっている。
無料体験版も公開中だ。

本作は一人称視点のアドベンチャーゲーム。
舞台は1992年、ヴァージニア州のキングダムという閑静な町。
FBIの新人捜査官アン・ターヴァーを主人公に、ルーカス・フェアファックスという少年の失踪事件、そして極秘裏にアンに与えられたもうひとつのミッションであるベテラン捜査官マリア・ハルペリンへの内部調査をめぐる物語が展開される。

しかし、本作は推理モノというわけではない。
デヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス」に強く影響を受けた、現実と主人公アンの幻視が入り交じる複雑なストーリーテリングが特徴で、突然別のシーンに話が飛ぶジャンプカットなども多用。
時制や現在位置、虚実、時に誰の視点なのかも混乱させ、プレイヤーをストーリーの渦に巻き込んでいく。

ストーリーの展開もとことん映画的かつ捻ったもので、探索や選択的な要素はほぼ存在しない。
プレイヤーは与えられたシーンの中を進んで、次の展開に繋がるアクションのフックになるオブジェクトを見つけてクリックすれば(またはボタンを押せば)、そのまま物語が進んでいく。
オープニングからエンディングまで2時間チョイという尺も合わせて考えると、インタラクティブムービーと考えた方が近いかもしれない。

しかも全編がセリフなしの一人称視点で展開され、決定的なことは示されず、プレイヤーは折々で提示されるシーンや物から、そこに込められた象徴的なものを読み取っていくしかない。
はっきりと意味や答えを提示して欲しいタイプの人には、恐らく向いていないだろう。

エンディングも思いっきり放り出し型で、この手の作品にありがちな「深い裏の意味が隠されているようで、実は雰囲気の繋がりだけで意味なんかあんまりないんじゃないの?」という悪い部分まで引き継いでしまっている感も若干あるものの、やりたいことにフォーカスして作っている分、カラーグレーディングによる画作りや印象的なカット、そしてプラハフィルハーモニー管弦楽団による流麗なサウンドは、まさに映画を見ているような気分。

というわけで人を選ぶ作品だが、気になる人はまずSteamの体験版をプレイしてみてはいかがだろうか。
ピンと来るものがあれば、きっと気に入るはずだ。

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