英国民投票で「離脱」派が勝利!どうなる株価?どうなる欧州関連株?
現地時間6/23(木)に英国で実施された国民投票について、日本時間6/24(金)に結果が判明しました。
英国はEU(欧州連合)から離脱の方向で動くことになります。
これを受けて6/24の株式市場では株価が下落し、外為市場では円高が進みました。
今回の日本株投資戦略では、今回の英国民投票の結果を受けて波乱が続いた場合、日経平均の下値メドはどのあたりになるか検討してみたいと思います。
また、そもそも波乱相場が長期化するのか否かについても検討し、さらに今後の欧州関連株についても先行きを占ってみたいと思います。
■英国民投票で「EU離脱」が決定
現地時間6/23(木)に英国で実施された国民投票について、日本時間6/24(金)に結果が判明しました。
英国はEU(欧州連合)から離脱の方向で動くことになります。
これを受けて6/24の株式市場では株価が下落し、外為市場では円高が進みました。
英国はEU加盟によって多くの恩恵を享受してきました。
域内28ヵ国の間での貿易取引には原則関税がなく、金融業などはどこか1ヵ国で開業許可を得られれば域内のどの国でも営業拠点を設けることが可能になります。
これを活かし、日立製作所(6501)や日産(7201)などのように英国を足掛かりに欧州展開を図ってきた日本企業もいくつかあります。
英国がEUからの離脱した場合、これらの数多くのメリットを放棄することになりそうです。
英国経済はEU離脱決定後まもなく失速し、IMF(国際通貨基金)の試算によるもっとも悲観的なシナリオでは、2019年の実質経済成長率がマイナス5.6%程度に落ちる可能性がありそうです。
市場ではこれらを織り込む形で英国株や英ポンドの下落が想定されます。
無論、ドイツに次ぐ域内の経済大国に抜けられるEUにとっても悪材料で、欧州株やユーロも影響を受ける可能性があります。
これらの懸念を世界の株式市場が織り込む中で、「リスク回避の円買いによる円高」が加速し、それが日本株の下げを加速させることも想定されます。
■日経平均株価の下値メドは?
日経平均株価は6/24(金)の14,952円を基準とした場合、その上下には以下のような節目の株価があります。
(1)15,465円・・・・・日経平均の予想EPS1,189円に対し、予想PERが13倍とした場合の株価水準
(2)15,395円・・・・・6/16(木)に付けた短期的な安値
(3)15,071円・・・・・25日移動平均(6/23現在16,382円)からマイナス8%下方かい離(一般的に「下げ過ぎ」を示唆)
(4)15,000円・・・・・心理的な節目
(5)14,865円・・・・・2/12(金)に付けた2016年の安値
(6)14,629円・・・・・PBR1倍(6/23の日経平均PBR1.11倍から逆算)
6/24(金)に日経平均株価は1,286円下げ、終値は14,952円と波乱となりました。
上記では(1)~(4)を下回ったことになり、すでに下げ過ぎの感が強まっています。
ここからは(5)~(6)が重要な下値抵抗ラインになりそうです。
国民投票で「英国のEU離脱」が決まった現在重要なことは、これをもって即座に離脱の手続きが始まる訳ではないことです。
英国がEUに離脱を宣言して以降2年間という猶予期間があり、その間に英国はEUおよび域外の国と関税や規制など多くの点に関し、新たな枠組を決めることになります。
ただ、途中の交渉は英国にとり多大なる労力を必要としそうで、とても2年間では無理との見方にも説得力があります。
欧州議会の同意を得られれば、さらに猶予期間を延ばすことも可能で、実際の離脱までは更なる長い年月を要する可能性もあります。
このように、英国によるEU離脱は、同国のみならず、世界経済に大きな悪影響を与えるにせよ、猶予期間も長く、世界の株式市場や外為市場は長期間かけて織り込む可能性が大きいと考えられます。
このため、株安・円高が長期化する可能性は意外に小さいのではないでしょうか。
早ければ6/27(月)以降は「重要日程通過」で反発に転じる可能性もありそうです。
■欧州関連株の先行きは?むしろ投資好機の銘柄も?
まずは、欧州関連株のスクリーニングを行ってみました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)時価総額1千億円以上の上場銘柄
(2)直近の欧州売上高が全体の2割以上を占めていること
(3)今期予想営業利益について市場コンセンサスが会社予想を5%超上回っていること
(4)5/31(火)から6/24(金)までの株価下落率が、同時期の日経平均株価の下落率(13.2%下落)以上
英国を含む欧州経済や外為市場の先行きに不安はあるものの、アナリスト自体は業績を強気にみている欧州株を取り上げた形です。
(4)の株価下落率が大きい順に並べましたが、今回の英国によるEU離脱を受け、ここからさらに下落する可能性もありそうです。
しかし、これまでもご説明してきたように、英国が実際にEUを離脱するまでは、EU理事会に離脱の意向を示した後、そこから更に2年程度の猶予があります。
その間、株価が下落を続ける訳にもいかないでしょう。
また、表1に取り上げた欧州関連株のすべてが逆風下に置かれる訳ではないと思われます。
したがって、ここからさらに株価が下落した場合、多くの欧州関連株は逆に投資好機になる可能性が大きいとみられます。
表1:どうなる欧州関連株?さらに株価下落ならば投資好機の銘柄も
アシックス
日本特殊陶業
NTN
オリンパス
任天堂
日本碍子
ニコン
セイコーエプソン
イビデン
武田薬品工業
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
鈴木英之
SBI証券 投資調査部