任天堂スイッチ 遊び方の拡大が普及の鍵
任天堂が来年3月発売に向けて概要を発表した新型ゲーム機「NintendoSwitch(ニンテンドースイッチ)」は、家庭のテレビで遊ぶ据え置き型機でありながら、外にも持ち出せる機能が売りだ。
既存の携帯型ゲーム機との競合を懸念する声がある一方で、遊び方を広げる可能性も秘めており、ゲームファンの拡大につながるか注目される。
家のテレビにゲームを映し出して遊んだ後、タブレット型のゲーム機本体を屋外に持ち出し、続きをプレーする。
二つのゲーム機から左右のコントローラーを取り外して4人に分配し、一緒にゲームを楽しむ。
任天堂は20日午後11時にホームページで世界同時公開した3分間の映像で、スイッチを使った従来にない遊び方を紹介した。
屋内外でゲームができる機能は早くから同社の開発構想にあった可能性がある。
というのも、2013年2月に据え置き型と携帯型に分かれていたゲーム機開発部門を一つに統合しているからだ。
14年6月には京都市南区の本社近くに新開発棟が完成。
ここを拠点にスイッチの仕様を練り上げたとみられる。
ただ、スイッチの強みはリスクとなる可能性も指摘される。
同社の主力製品に携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」があるからだ。
広報室は「3DSはスイッチより小さいし、約6千万台普及している。
専用ソフトも多いので競合はない」として、すみ分けは可能との考えを示す。
ただでさえ、ゲーム業界の競争は激化している。
据え置き型機では、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのプレイステーション4がすでに世界で約4千万台を売り上げて先行している。
スマートフォン向けゲームも急速に普及が進む。
それだけに、今回明らかにした遊び方だけでなく、他のゲーム機にない機能をどれだけ打ち出せるかが普及のカギを握る。
同社は年明けに詳細な仕様や価格を公表する予定だ。
ゲーム誌発行のファミ通グループ代表、浜村弘一カドカワ取締役は「スマートフォンなどの外部機器との連携がどうなるかがポイントになる」と見る。
現行の据え置き型ゲーム機「WiiU(ウィー・ユー)」は、ゲームソフトの不足が響いて販売が伸びなかった。
スイッチの発売時期を最大の商戦期である年末商戦前でなく、3月にずれ込ませたのは同じ轍(てつ)を踏まないためとみられる。
販売を軌道に乗せられるかどうかはソフトの充実にもかかっている。