<eスポーツリーグ>コンピューターゲーム団体戦 26日開幕

コンピューターゲームの腕前を競い合う「eスポーツ」の本格的な団体戦リーグ「日本eスポーツリーグ」(毎日新聞社後援)が26日に開幕する。
インターネットで全国各地の6チームをつないで総当たりで戦い、上位2チームは来年1月、東京都内に選手たちが集って決勝を戦う。
大会には“異色”のチームも加わり、国内で徐々に盛り上がりつつあるeスポーツのさらなる普及を目指すという。

◇海外で人気先行「ガラパゴス」化した日本で普及を目指す

eスポーツのeは「電子の」を意味する「エレクトロニック」の略。
コンピューターゲームやテレビゲームを使った対戦を、スポーツとして捉える際の名称だ。
リーグを主催するeスポーツコミュニケーションズ合同会社(東京都渋谷区)によると、世界の競技人口は1億人以上。
特に欧米や中国、韓国で盛んで、「DOTA2(ドータツー)インターナショナル」(米国)など賞金総額が20億円を超える大会もある。

しかし、テレビゲームの先進国の日本は、これまでeスポーツが普及しなかった。
日本eスポーツ協会で事務局長を務める筧誠一郎さん(56)は、ゲーム業界の「ガラパゴス化」がその要因とみている。

日本は1983年に任天堂の「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)が発売されて大流行したが、ファミコンが米国に上陸したのが85年。
海外ではファミコンの普及がワンテンポ遅れる一方、「ホームコンピューター」と呼ばれるテレビに接続する形のパソコンの一種も一定のシェアを維持していた。
ファミコンなど日本製のゲーム機は通信への対応が遅れたが、パソコンでのゲームになじんでいた海外では、見知らぬ相手との通信対戦も盛んだった。
ゲームをスポーツ競技のように捉える動きは早くからあり、eスポーツの原形となる大会が生まれた。

しかし近年、インターネットを介して戦うオンラインゲームが普及、海外の大会が大規模化したことで、国内からも格闘ゲームのプロ・梅原大吾さん(35)など世界的なトップ選手が誕生している。
今春、「東京アニメ・声優専門学校」(東京都江戸川区)にeスポーツの選手や関連イベントのプロデューサーを養成するコースが開設されるなど、ようやく普及の兆しが見えてきた。
同校は来年1月22日のリーグ戦決勝の会場でもある。

一般の人がイメージする、単なるプレーヤー同士の“仲間内”の競技といった枠を越え、ゲームに必要な状況判断能力、動体視力、反射神経などの要素に着目し、スポーツ競技として普及させるのが目標の一つだ。
既に室内でのスポーツ競技大会であるアジア室内競技大会は2007年にeスポーツを正式競技として採用。
現在、日本eスポーツ協会は日本オリンピック協会(JOC)への加盟を目指す。
いつかは五輪競技に採用されることもあるかもしれない。

「地域の格差や男女差が関係なく、手軽に多くの人が楽しめる点がeスポーツの大きな魅力」(筧さん)といい、リーグ戦で人気のさらなる拡大を図る。
第1回の参加は6チームだが、今後はチーム数を増やし、年2回のペースで開催する予定という。

リーグ戦は、ゲーム内の主人公の視点で敵を撃つ「ファーストパーソン・シューター(FPS)」の6人制パソコンゲーム「オーバーウォッチ」、プレイステーション4のサッカーゲーム「FIFA17」、格闘ゲーム「ブレイブルー・セントラルフィクション」の3種目。
ほぼ週末ごとに計15試合を行う。
22日、東京都港区であったリーグ開幕に向けた記者会見では、オフィシャルサポーターを務めるタレントの矢口真里さんが「オーバーウォッチ」を体験しながら、「実際にトップ選手の試合を見てみると、知らなかった自分が恥ずかしくなるくらい素晴らしい。
もっともっとeスポーツのことを知ってもらいたい」とPRした。

◇Jリーグ「東京ヴェルディ」も参戦

リーグに参加するのは、ナチュラルズ北海道▽東京ヴェルディ▽名古屋OJA▽サイクロプス大阪▽インフィニティ大阪▽iGS福岡。
特に、サッカーJ2の「東京ヴェルディ」が運営するチームが話題だ。
海外は、プロサッカーのドイツ1部リーグのシャルケやウォルフスブルク、英1部リーグのマンチェスターシティーなどeスポーツに参入したクラブも多い。
東京ヴェルディは、サッカーにとどまらず複合的にスポーツを手がけることを目指し、その一つとしてeスポーツを選んだ。
9月に設立を発表後、公募などで選手を募った。

22日に川崎市であったチームの体制発表会見で、クラブのeスポーツ部門を担当する森太郎さんは「たとえば(東京都調布市にある本拠地の)味の素スタジアムでイベントを行うなどして、eスポーツファンにクラブを好きになってもらうきっかけを作るなど相乗効果を生み出していきたい。
いずれは欧州クラブと交流できれば」と目標を語り、リーグだけでなく海外の大会にも参戦する方針という。
当面は「身の丈にあった運営」を心がけ、スポンサー収入を柱に、選手と1年契約を結んで年俸も支払う。

他にも元プロ野球阪神で投手の嶋尾康史さんが代表を務めるインフィニティ大阪など地域色や個性の豊かなチームがそろった。
大会は原則として毎週土曜に開催され、模様は「Twitch(トゥウィッチ)」の専用ページ(https://www.twitch.tv/jesl_official)で中継する。
26日は午前10時半から「東京対サイクロプス大阪」「北海道対名古屋」の2試合がある。

You may also like...