4K HDR対応のPS4 Proと30万のAVアンプを買ってみた。そして、また罠にはまった

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前回からやや間が空いてしまったが、その間、何もしていなかったわけではない。
PCと4Kの環境でほかにどんなことができるかを探っていた。

そしてみつかった答えは、「うん、特にない」、だった。

ないのだ。
新しいネタがないのだ。
とは言え、ネタがないから修行しませんで許してくれるほど世間は甘くない。

そこで今回はPCをちょっと離れて、我が家の55型4Kレグザをフル活用できそうな新たな4Kコンテンツへと話題をシフトしてみることにした。
その答えが4K出力に対応する「PlayStation 4 Pro」(以下、PS4 Pro)だ。
そして、タイトルにも書いてあるので、先に言っておくが実売価格30万円のAVアンプも修行(買わ)させていただいた。
そして、これも先に言っておくが、また4Kの罠にはまってしまった。

■PS4 Proとデノンの最上位AVアンプを購入
ソニーがPS4の上位モデルを出すという噂を耳にしたのは半年くらい前だったろうか? 新型は4Kに対応するという。
そして、BDを搭載するPS4は、当然のごとく4K BDことUHD BDに対応するだろう。
この推測は、PS4 Pro発表の直前まで多くの人に信じられていた。

これまでの連載に書いた通り、4K PCだけじゃなく4K TVも買ったはいいが、なかなかそれを活かすコンテンツに巡り会えずにいた筆者。
映画好きで、基本的にほぼ全てBDを買って視聴するという方針なので、UHD BDで観たい映画が出回り始めたらUHD BDプレイヤーも買おうかなと思っていたところに、新型PS4が対応ということで、ワクテカしながらその登場を待っていた。
ところが、周知の通り、PS4 Proは4Kには対応するがUHD BDへの対応は見送ったのだった。

大誤算ッ!
大学生時代はバーチャファイター2において地元ゲーセンで2連続優勝し、その後もPCで各種MMORPGに片っ端から手を出したほどのゲーマーだったが、今はもっぱらディズニーTSUM TSUMとねこあつめくらいしかゲームをしなくなった筆者としては、UHD BDに非対応のPS4 Proを買う「積極的な理由」はなくなった。

だが、「消極的な理由」はある。

そう、修行(この連載)である。

UHD BDが観られなくても、4K出力できるなら何かしら知見が得られるだろう。
また、HDRにも対応しているという。
これについても関心は高い。
そんな感じで、特に予約などもしていなかったが、発売日にAmazon.co.jpで在庫があったので、またもノリと勢いだけで購入した。
お値段4万9千円なり。

さて、TVは4KなのでPS4 Proを繋げば4Kネイティブでゲームなどを楽しめるのだが、筆者は既に4K対応のFire TVを持っている。
だが、筆者のレグザJ10Xは4K入力が1つしかない。
また、筆者は映画のサラウンド用にオンキヨーのAVアンプ「TX-SA805」と5.1chスピーカーを持っている。
これまでPS3は、AVアンプにHDMIで繋ぎ、AVアンプからレグザにまたHDMIで繋いでいた。
しかしこのAVアンプは4K出力に対応していない。

そうすると、4K映像とサラウンドオーディオを利用するには、PS4 ProをTVにHDMIで直結し、TVのS/PDIF出力からAVアンプに音声を戻す形となる。
PS4 Proだけならこれでもいいが、Fire TVもあるし、今後UHD BDプレイヤーも修行(買う)かもしれないし……、となると、毎回機器をTVに繋ぎ直すのは煩わしい。

こういった理由で、デノンの4Kフル対応AVアンプ「AVR-X7200WA」を購入した。
身の回りのもので長らく使うものは(買える範囲で)いっちゃんええやつを買うのがポリシーなので、最上位機種を選んだ。
購入したのは11月18日。
お値段30万円なり。
まぁ、これも値段の半分には「30万のアンプをネタで買ったって書いたら、多少ウケるかな」という気持ちが込められている。

なお、この原稿を書いている11月末にたまたま値段を再確認したら4万円ほど安くなっていた。

ん? 差額でPS4 Pro買えてんじゃん。

ハッハッハッ(高笑い)。

すぅ〜っ(深呼吸)。

と言うわけで、筆者宅のリビングに新しいお友達としてPS4 ProとAVR-X7200WAが加わった。

ちなみに、4Kとは全く関係ないし、シリーズを通じてあまりプレイしていないのだが、格闘ゲーマーの端くれとして「ストリートファイター5」を購入した。
前から梅原大吾氏のプレイ動画などを観て関心があったのと、ちょうど半額セールをしていたので、数千円浮いた形となりホクホク顔でね。

また、アーケード仕様のジョイスティックも手元にある。
これはPS3用のやつだ。
実はPS4ではPS3のゲームコントローラは利用できない。
ただし、ストリートファイター5を始めとした一部の格闘ゲームは、独自にドライバを持っておりPS3用のコントローラも使えるようになっているのだ。
買ったままあまり使ってやれないでいたこいつを再利用できる。

そんな感じで、とりあえず対戦するほどのスキルも知識もないので、チャレンジモードでコンボ訓練などして遊んでいた。
だが、独自ドライバ経由というのがボトルネックになっているようで、極わずかながら入力遅延が発生するのだ。
PS4 Proに付属するDUALSHOCK 4と比較すると、ボタンを押した時の反応が少し遅い。
これでも一応プレイできるのだが、今後、対人戦をやるとなった時に、遅延で負けるのはバカらしい。

と言うことで、PS4用のアーケードコントローラも買い足した。
お値段1万2千円なり。

そして、PS4 Pro購入記念として、修行衣もバージョンアップした。

■PS4 Proの4K HDRは要求が高かった
さて、4Kに話を戻そう。

4Kと言うと、先日、YouTubeがHDR対応を発表した。
HDRはHigh Dynamic Rangeの略で、従来よりも高コントラストで、精密な陰影を表現できるようになる。
数値的には色深度がこれまでの8bit(1,677万色)から10bit(10億色)になる(これ以外にも細かな定義もある)。
HDR自体は解像度とは関係ないが、動画では4Kとセットで語られることが多く、HDR対応TVもほとんどは4Kのものだ。
PS4 ProもYouTubeを視聴できる。

まずはここから試してみることにした。

結果を先に言うとね。

ダメでした。

観られません。

レグザJ10Xでは、PS4 Proの4K/HDRに対応できないのだ。
AV Watchの記事にある通り、レグザJ10Xは、発売後のアップデートで4K入力のHDMI端子がHDR信号入力にも対応した。
だが、正確にはレグザJ10Xの4K HDMIは色空間YUV422(16bit)のHDRにまでしか対応できていないらしいのだ。
一方PS4 Proの4K/HDRはYUV444(24bit)を要求する。
4K YUV422のデータレートは10.8Gbpsで、4K YUV444は18Gbps。
つまり、帯域が足りないのだ。

南無三ッ!
実際、レグザJ10Xも、2K解像度(フルHD)ならHDRに対応できるというメッセージが表示される。

レグザJ10X購入当時は4K/HDRに2つの種類があるとか、この機種は低ビットの方しか対応できないとか、全く知らなかったよね。

J10Xの後継機あたりは18GbpsのHDMI入力に対応しているらしい。
買ってからまだ1年ちょいくらいなんだけど、この前の4K YouTube非対応の件と言い、もう買い換えたくなってきた。
一応東芝には、このTVでPS4 Proの4K/HDRに対応する術がないのかを確認中だ。

ならばと、PS4 Proの解像度を2Kに落としてみたところ、HDRが完全に無効になってしまった。
理由は分からないが、システム解像度を2KにするとHDR出力はできないらしい。

HDRにしたければ2Kにしろといい、2KにしたらHDRが無効になる。
そして、PS4 Pro用YouTubeでは、再生解像度を変更できない。
と言うわけで、PS4 ProのYouTubeでHDR動画を楽しむという目論見は脆くも崩れ去った(ただの4K動画は視聴可能)。

ちなみに、PS4 Pro YouTubeは、スマートフォン連動が可能だ。
PS4 Proでも、ソフトキーボードは使い勝手が悪いので、これで検索する気にはなれない。
スマートフォンとPS4 Proをペアリングすれば、スマートフォンで検索して、それをPS4 Proへキャストできる。
レグザJ10XのYouTubeにもこの機能はあるが、こちらは解像度が2Kまでなので、解像度の面ではこれまでよりYouTube鑑賞環境はパワーアップした。

YouTubeでは4K/HDRはダメだが、ゲームはどうか?
テレビ側の制約で4K+HDRはダメだが、4K/SDR(従来の色域)と、2K/HDRならいけるハズだ。

と言うことで、PS4 Proに合わせて4K/HDR対応アップデートを行なった「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」を購入した。
こちらについては、ゲーム内でHDRのオン/オフを選べるが、オンにするとTVに合わせて自動的に解像度が2Kになり、HDRが有効になった。

まず、全般的な感想として、超今さらなのだが、PS4の映像品質の高さに驚いた。
GPUのスペックはPCと比較するとミドルレンジクラスだが、3Dのジオメトリはリッチだし、テクスチャの解像度も非常に高く、フレームレートも高い(ゲームにも依存するが)。
ちょっと引き気味のカットだと、人の顔を実写と見紛うこともある。
これは、従来の2K解像度でもだ。

4K化はどうか? 確かに精細さは上がり、直線的な輪郭部のジャギーは目立たなくなっている。
しかし、TVの視聴距離は1.5m程度ある。
この距離だと、特に画面が動いていると、目に見えて違うというほどではない。
とは言え、これだけの品質の3D画像が4K解像度で60fpsで動くというのは、感嘆に値する。

HDRはどうか? HDRを有効にすると(筆者宅では解像度は2Kになっているが)、より繊細なコントラストで描写され、画面全体の立体感が増し、空気感もよりリアルなものとなる。
と言っても、これはシーンにもよる。
明暗差が強いシーンだと、そう感じることもあるが、あまり違いが分からないところもある。
と言うより、違いが分かりにくいところの方が多いかもしれない。
おそらく、HDRオンの画面とオフの画面を同時に見比べれば明白に違いが分かるとは思うが、1台のTVで切り替えて見比べても、違いが脳裏に焼き付くほどではないというのが個人的な感想だ。

■4K対応のためだけに買ったAVアンプは、予想を超えるいい買い物だった
4K/HDRという点では、今回のAVアンプは大した役割を果たしていない。
ただ機器からの4K信号をパススルーでTVに送っているだけだ。
画質が良くなったりはしない。
つまり、HDMIセレクターとして機能しているだけだ。
だが、最新(と言っても発売は2015年だが)機器だけあって、いろいろと便利な付加機能もある。
そのあたりも、簡単に紹介しておこう。

まず、AVアンプのキモであるオーディオについて。
これまではPS3+TX-SA805+5.1chスピーカーという環境でBDを視聴していた。
ゲームや一部のTV番組のサラウンドに対応している。
この内、BDプレイヤー(PS)とアンプが変わっても音質についてはさほど変わらないだろうと思っていた。

ところがどうだろう? これまでより遙かに良いサラウンド効果が得られるようになった。
映画「ゼロ・グラビティ」では、主人公が宇宙で吹き飛ばされ、ぐるぐる回るシーンがあるが、ここでは登場人物の声が映像に合わせてぐるぐると回りながら、四方八方から聞こえてくる。
これと比べると以前の環境は、間違ってステレオになっていたんではないかと思うほどだ。
また、ストリートファイター5は、1週間だけTX-SA805との組み合わせで遊んでいたのだが、AVR-X7200WAに変更したあと、効果音の反響がよりリアルになり、画面右端で波動拳を撃つと、「波動拳」の声が右寄りで聞こえるのが即座に分かった。

もちろん以前もきちんとサラウンド設定になっており、後ろからだけ音が鳴ったりしていた。
なぜ、ここまで差が出るのか、繋ぎ直して試したりするのが非常に困難なので、確かなことは言えないのだが、デコーダによるものかもしれない。

BDに関して初期PS3は、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master AudioといったHDオーディオのビットストリーム出力ができず、PS3でデコードした音声信号を出力する。
一方、PS4 Proはこれらをビットストリーム出力できるので、今の環境ではAVR-X7200WAがデコードを行なう。
このあたりが原因かもしれない。
デコーダの違いで、あからさまなサラウンド感の違いが出るとは考えていなかった。

あるいは、スピーカーのキャリブレーションにおいて差が出たのかもしれない。
以前のTX-SA805も新しいAVR-X7200WAもAudysseyに対応しており、付属のマイクを使って、各スピーカーから出る音を測定することで、設置したスピーカーの距離、数などに応じたキャリブレーションを行なう。
TX-SA805の時に、どのように測定したかを覚えていないのだが、AVR-X7200WAでは最大の8カ所にマイクを置いて測定したので、非常に精密なキャリブレーションが行なわれているハズだ。
これもサラウンド感に影響を与えているかもしれない。
いずれにせよ、嬉しい誤算だ。

それから、各種ネットワーク対応も便利だ。
AVR-X7200WAにはEthernetポートとIEEE 802.11g無線LAN、Bluetooth 2.1が搭載されている。
最近は家電製品でもネットワーク対応のものが増えているが、それによりバグ修正や機能追加が行なわれることがある。
実際、AVR-X7200WAでは最初、PS4 Proを繋いだ時に、全くHDR出力ができなかったのだが、アップデートをしたら2K/HDRで出せるようになった。

ネットワークにより、ほかの機器との連携も可能。
スマートフォンなどに入れている音楽をBluetoothや無線LAN経由でAVR-X7200WAにストリーミング送信し、再生できる。
また、NASなどにメディアサーバー機能があれば、そこに保存した動画や音楽も再生できる。
音楽については、WMA/MP3/WAV/MPEG-4 AACなどのほか、FLAC/ALAC/AIFFといったロスレスフォーマットや、ハイレゾのDSDにも対応する。

個人的に最も重宝しているのが、AirPlay対応という点だ。
音楽についてはCDをiTunesでリッピングしてALACでノートPCに保存してる。
AirPlay対応により、このPCに保存した音楽をiTunesを使ってAVR-X7200WA経由で再生できる。
ちなみに、AVR-X7200WAの電源がオフ(待機)状態であっても、AirPlayを使うと、AVアンプの電源が入り、再生が始まる。

我が家の環境はピュアオーディオ向けではないが、これを音楽でも活用できるようになったのは非常に嬉しい。

■買い物金額が100万円を超えてた
と言うわけで、4Kネイティブコンテンツの少なさを悩んでいた筆者は、4Kゲーム、4K YouTubeという環境を手に入れた。
しかしながら、いずれもHDRには対応できないという弱点が発覚した。
AV WatchのXbox One Sの記事によると、「REGZA 50Z10X」も4K入力が10.2Gbpsまでで、Xbox One SのYUV444の4K/HDRに対応できないが、UHD BDはYUV420なので、UHD BDは4K/HDRで視聴できるという。

つまり、PS4 Proではなく、UHD BDプレイヤーを買っていれば、YUV444非対応という我が家のTVの弱点など知ることなく4K/HDR映像を満喫していたわけだ。

とりあえず、次にUHD BDプレイヤーを買うか、TVを買い換えるかはまだ決めていない(どっちも買わないという選択肢はないらしい)。

そして、なんとなくこの連載を始めてから購入したものの金額を合計してみたところ、既に100万円を超えていた。
理想的な4K環境の構築と、筆者が破産するのと、どちらが早いか。
今後の展開を生暖かく見守って欲しい。

最後に、今回の総評だが、4K/HDRという最新規格は、そこから得られる映像の品質はワンランク上のものとなるが、完全に素人お断わりという状況を考慮すると、快適とは言いがたく、2KAITEKIという評価にしたい。

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