唯一無二の映像体験 『GT SPORT』セッションリポート
文・取材・撮影:編集長 豊田恵吾
●ビデオゲームの映像クオリティーはすべての映像体験を越える
アメリカ・アナハイムにて、2016年12月3、4日(現地時間)に開催された、プレイステーションファンのためのイベント“PlayStation Experience 2016”(以下、PSX 2016)。
本稿では、『グランツーリスモSPORT』(以下、『GT SPORT』)のメディア向けセッションの模様をお届けする。
『グランツーリスモSPORT』最新トレーラーとスクリーンショットが公開
メディア向けセッションでは、ポリフォニー・デジタルの山内一典氏(文中は山内)より、『GT SPORT』のHDR対応についての話を聞くことができた。
『GT SPORT』は4K、60fps、HDR、ワイドカラー(広色域)、VRすべてに対応。
4K、60fpsに関しては、1080pのチェッカーボードレンダリングでPS4 Proのみ対応しているとのこと。
セッションでは、HDRとワイドカラーについて説明が行われた。
○HDRについて
山内HDRについては、PS4、PS4 Proのどちらにも対応しますが、HDRに僕らが取り組んだのは3年前。
世の中にはまだHDRイメージがなく、対応したキャプチャデバイスもありませんでした。
ですのでキャプチャデバイスの開発から実施し、通常のデジタルカメラの100倍くらいのダイナミックレンジを持ったカメラをソニーのカメラ部隊といっしょに開発して、それを『GT SPORT』に使っています。
大事なことは、いま世の中にあるSDRのテレビから、いま発売され始めたばかりのHDRのテレビ、そして今後出てくるHDRのテレビまでサポートするということ。
SDRは100ニットの世界。
映画館やBlu-rayディスクがターゲットとしているのが1000ニット。
『GT SPORT』がサポートしているのは10000ニット。
HDRのテレビが10000ニットをサポートするのはそう遠くないでしょう。
毎年毎年、倍くらいのペースで明るくなっているので、10000ニットをサポートするテレビは出てくる。
それを見越して『GT SPORT』を作っています。
○ワイドカラーについて
山内HDR同様、まだ世の中に存在していなかった3年前から取り組んでいます。
光の波長を計測するスペクトルベースのカメラを使って『GT SPORT』を制作しています。
世の中に存在する11%程度のクルマは、sRGBの色空間に収まっていないため、正確に表現できません。
ですので、それ以上に広い色空間を採用することで、グラフィックとしては初めて正しいクルマのボディーカラーを表示できるようになりました。
『GT』では、たとえばフェラーリの赤は正しい色ではなかったんですね。
『GT SPORT』になって初めて正しいフェラーリレッドが表現できるようになったということです。
マツダのロードスターの赤は「ソウルレッド」と呼ばれる色で、ふつうのデジカメで撮るとオレンジ色にかぶってしまう。
こういった色も初めて正確に出せるようになったのがHDR、ワイドカラーの世界。
またマクラーレンという会社は、おそらく意識的だと思いますが、おもなカラーは通常のsRGBのカラースペース外。
撮影してもマクラーレンの色はきれいに撮れないし、出せない。
それが『GT SPORT』では表現できます。
HDR映画や次世代のBlu-RayのDCI-P3よりも広いBT.2020を採用しているので、ピクセルのエネルギーを感じてほしい。
ひとつひとつのドットがエネルギーを持っているんですね。
4K、ワイドカラー、HDRといった映像は、非圧縮の18ギガbpsにも及ぶストリーム。
こういった映像ストリームを取り扱えるものはじつはビデオゲーム機以外ありません。
録画再生機器も対応していませんし、映画館でもここまでのスペックは出ない。
ビデオゲームの出力する映像のポテンシャルが、その他の映像体験を越える、歴史的な瞬間。
ビデオゲームでしかできない映像の世界が生まれたと言えるでしょう。
山内PSXでキーワードとしたのは“Feel The Light”。
出展したデモでは曇りや晴れ、夕方など、ライティング、天候を変えられますが、ふだん見ている光の違いをとにかく正確に、繊細に表現したいというのが『GT1』からの一貫したテーマ。
ですので、僕らは20年間まったく同じことをやっていることになる。
まったくぶれていなくて、同じ方向に走り続けています。
コーエーテクモゲームスは、PlayStation 4向け戦国死にゲー『仁王(Nioh)』の新情報を公開しました。
今回、遠江国「二俣」と忍者が治める国「伊賀」の2種類のステージ、巨大なヒキガエルの姿をした妖怪「大蝦蟇」、般若の面のような顔をした妖怪「鬼女」、特殊な技で相手を翻弄する武器「鎖鎌」が紹介されています。
この情報を見る限り、どの敵もどのステージも一筋縄ではいかないようですね。
新ステージ「二俣」
新ステージ「二俣」
遠江国の二俣は、天竜川と二俣川が合流する地で、街道にも近く、徳川軍にとって要衝であり、家康の長男、信康の最期の地としても知られる。
季節外れの彼岸花が咲き乱れ、瘴気を放っているようだ。
唐傘お化け
中央に大きな目がひとつ、柄の代わりに一本の足がある妖怪。
寂れた家屋に打ち捨てられた唐傘が長い年月をかけて妖怪へと転じたようだ。
小柄だが素早い動きでウィリアムを翻弄する。
ボス「鬼女」
深い怨念を抱いて死んだ女性が鬼の姿に変じたとされる妖怪。
般若の面のような表情はすさまじい怒りをたたえ、振り乱された黒髪が悲しみの壮絶さを物語る。
よく見ると着物は仕立てが良く、かつては高貴な地位にあったことがうかがえる。
新ステージ「伊賀」
新ステージ「伊賀」
伊賀は長く忍者の治める国であった。
しかし、全国制覇に乗り出す織田信長は天正六年(1578年)、伊賀国に侵攻した。
伊賀衆による奇策に苦戦した信長は、その二年後に大軍勢を投入し、伊賀を制圧したと言われる。
複雑な構造をもつ忍者屋敷に潜む忍者たちとの戦闘。
見通しや足場の悪い箇所も多く、適切な武器の選択、アイテムの使用といった状況判断が迫られる。
体躯がアムリタに侵された妖鬼との対峙。
ボス「大蝦蟇」
巨大なヒキガエルの姿をした妖怪。
蝦蟇とは大きなヒキガエルの俗称だが、大蝦蟇はそれよりもさらに大きく、人間をはるかに上回る大きさである。
二本脚で立ち、槍を武器として使用する。
伊賀の忍者屋敷に住まう大蝦蟇との戦い。
長い槍を駆使した攻撃に加え、焙烙玉や火車剣といった忍術など多彩な攻撃を繰り出してくる強敵。
新武器「鎖鎌」
片手用の鎌と鎖付きの分銅を組み合わせた武器。
特殊な技を数多く持ち、使いこなすのは容易ではないが、リーチが短いが素早い鎌での攻撃と、遠くまで投げつけられるリーチの長い分銅攻撃など幅広い攻撃が可能。
鎖鎌を巧みに扱い、妖怪たちと戦いを繰り広げるウィリアム。
『仁王』は、2017年2月9日発売予定。
価格は、7,800円+税です。