任天堂「スイッチ」、「触覚」技術を採用 VRへの応用に期待
■「氷が入ったグラス持っているみたい」
3日発売された任天堂のゲーム機「スイッチ」で注目されるのが、新機軸のコントローラーを通して利用者の手にさまざまな「触覚」を伝える技術だ。
振動を精密に制御することで、利用者に「氷が入ったグラスを手に持っている」などの感覚を与えることが可能だという。
スイッチはこうした技術で新しいゲーム体験を届けられるかが成功のカギを握る。
市場の拡大が見込まれるVR(バーチャルリアリティー、仮想現実)にとっても重要な技術になるとみられ、さまざまな企業が研究開発を加速している。
任天堂が「HD振動」と説明するこの機能を活用したソフトが、3日発売の「ワンツースイッチ」だ。
牛の乳搾り▽ひげそり▽早撃ち対決▽真剣白刃取り−など28種類のミニゲームで構成。
画面ではなく、一緒に遊ぶ友人の反応を見ながら楽しめる。
平成18年に発売したゲーム機「Wii(ウィー)」は複雑な操作を排して成功しており、任天堂は再び、ゲームに習熟していない層を含め、利用者を幅広く取り込む戦略だ。
触覚技術はVRと組み合わせることで、ゲーム以外の用途にも広がる可能性がある。
アルプス電気は、振動で触覚を表現できるデバイス(電子部品)をゲーム会社などに供給しているが、圧力でモノの堅さや質感を表すデバイスも31年度をめどに量産を始める。
将来、災害などで危険な場所にある機器を遠隔地からVRで操作する場合、「視覚、聴覚に加えて触覚も役に立つ」(同社)としている。
NTTも触覚技術を研究しており、テニスの錦織圭選手のサーブをVRで疑似体験するシステムでは、テニスボールがラケットに当たった感覚を振動で利用者に伝える。
触覚そのものではないが、スマートフォンのケースの振動で手が引っ張られる感覚を表現する同社の技術は、視覚障害者の道案内などに役立てることが期待されている。
(高橋寛次)