業界流行中?実力派が参加する広告ラップソングの世界
「広告に使われる音楽」と聞いて、どんなものを思い浮かべるだろうか。
アーティストの新曲がテレビCMのバックで流れる「タイアップソング」が、最も馴染みがあるかもしれない。
動画はこちら
しかし、その広告のためだけにアーティストへオーダーして楽曲制作されるケースも多い。
そのなかでも、商品に関する話題をラップする「広告ラップソング」には、アイデアや音楽性の面で優れたものが多い。
今回は、そんなクリエイティビティに溢れた「広告ラップソング」に焦点を当ててみよう。
音源化希望者が続出した、広告ラップソング界の金字塔!
「レッドブル、翼を授ける」のフレーズでおなじみのエナジードリンク、レッドブルのテレビCM。
2014年に放映された「ナポレオン編」では、ラッパーのPUNPEEがオリジナルソングを制作した。
「フランス皇帝まで成り上がったナポレオンは、実はレッドブルを飲んで窮地を脱していた」という架空のストーリーをラップするというお題に対して、スキルフルなラップをクールにキメるPUNPEE。
そのうえ、リリック中に自身の名前を滑り込ませる遊び心を忘れていない。
広告ラップソングの制作では、ラップに親しみのないお客さんのために、ヒップホップ本来のかっこ良さを抑え、わかりやすさに徹することも多い。
しかし本作では、まったくの妥協がなく、PUNPEEのオリジナルなスタイルが30秒に凝縮されている。
たった3分1秒で19本のゲームを紹介するラップでチャレンジ!
2016年の1月に公開させた「PS4タイトルZOKUZOKU2016 feat.tofubeats」は、1月から3月の間に発売予定の19本のPS4ソフトを、たった3分15秒のあいだにラップで紹介するというチャレンジングな内容。
ゲームの世界観を表すキーフレーズを散りばめたリリック、様々なフロウを駆使しながらもキャッチーで親しみやすいラップ、紹介するゲームに合わせてテンポやジャンルの変化するトラック……その全てをtofubeatsがひとりで担当した、総合芸術とも言える広告ラップソングだ。
“渋谷のドン”が熟練のスキルでラップする、洗濯のリアル
優れた才能を持つ次世代が、良質な広告用ラップソングを次々と生み出すなか、ついには日本語ラップ界の大御所、Kダブシャインが日用品メーカー・花王とタッグを組んで、「家事」をテーマにした曲を制作した。
“シングルライフ溜まるランドリ色物あるから軽く段取り”
第一弾の「洗濯編」で流れる曲では、韻を巧みに踏みながら“男の洗濯あるある”をラップするKダブシャイン。
その上で、繰り返されるフックの部分で、「商品名」と「汚れの分解力」をバッチリPRするなど、彼の持つ熟練のスキルが発揮された仕上がりになっている。
普通の楽曲制作とは違い、「伝えるべきフレーズ」や「商品のイメージ」など、様々な制約のある広告ラップソング。
しかし、この3曲には制約があるからこそ生まれるクリエイティビティが、きっと感じられるはずだ。