終了直後の会場で、JIGAの主要メンバーに聞く「BitSummitは終わらない。新しい挑戦はこれからも続けていく」
文・取材・撮影:編集部 古屋陽一
●過去最大の来場者数となる見込み
2016年7月9日〜10日、京都市勧業館みやこめっせにてインディーゲームの祭典BitSummit 4thが開催。
夢のような2日間はあっという間に終わってしまい……ということで、イベントを終えたばかりで、撤収作業たけなわの会場の片隅で、BitSummit 4thの主要メンバーである一般社団法人 日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)の富永彰一氏、小清水史氏、BitSummitのクリエイティブ・ディレクターであるジェームス・ミルキー氏、Indie MEGABOOTH 代表のケリー・ウォーリック氏を直撃した。
――BitSummit 4thを終えての率直なご感想を。
ケリーとても楽しかったです!出展されていたのもすばらしいゲームばかりで、来場者様もたくさん訪れてくれて、いうことなしです。
ジェームス今年のBitSummitの進化を感慨深く思います。
何よりもうれしかったのは、ファミリーでいらっしゃる方が多かったこと。
ゲームをプレイしているお子さんの楽しそうな顔が印象的でした。
たくさんの方がお気に入りのゲームを見つけられたのではないでしょうか。
小清水長かったです(笑)。
会期自体は2日間ですが、これを作るのに半年以上かかっていますからね。
イベント中もいろいろありました(笑)。
でも、結果的にはみなさん、“イベントをよくしたい”という気持ちでやっているので、乗り切れました。
イベントをどうするか、毎回ブラッシュアップしているので、5回に向けて(まだ、決まっているわけではなのですが)ブラッシュアップして、がんばっていきたいです。
富永今回、「前回までと違うな」と最初に思っていたのは、VRコンテンツが多くなったことですね。
そうなると、ブースのレイアウトやスペースをどうするかということでの判断を迫られる。
一般のお客様からすると(VRは)貴重な体験なので、「絶対に(お客様が)来るだろう」、「並ぶだろう」というのは予想していたのですが、予想以上の人が来てしまった感があって、ある意味で、それだけ求められていたんだなという、うれしさはあります。
つぎは、もうちょっとさらに(状況を)読んで、運営を考えないといけないのかなと思い始めました。
――来場者の動員自体は満足のいく形に?
富永そうですね。
とくに1日目の午後なんかは、かなりヤバイ状態でしたね。
天気予報では台風が来るということだったので、「人が来なかったらどうしよう?」と思ったのですが、そんな心配は不要で、どんどんどんどん人が来てくれました。
そして、誰も帰っていかないという。
ふつうなら減っていくはずなのに。
小清水実際のところ、過去最大の動員数となる見込みです(※)。
途中集計では、過去最大の来場者数でして、これはほぼ間違いないです。
“盛り上がっている”ということが数字からも証明できたので、つぎにつなげていきたいなと。
※編集部注:その後、BitSummit 4thの入場者数が正式に過去最大となったことが発表された。
富永次回で言うと、たぶんVRはさらに盛り上がるし、さらに新たな技術が加わってくるので、そのあたりを楽しませることができるかというのが、フォーカスポイントになるかと思います。
――今回任天堂さんが初参加されましたね。
小清水タイミングが、4回目でお互いに合っていたのかなと思います。
任天堂さんもずっと考えていられたとは思うのですが、4回目だからこそできたかなと思うので、これも流れですね。
富永前回の終わりにも、ファミ通さんの生配信で、「次回は任天堂さんこないんですか?」と言われたのですが、「ぜひ、呼びたいです」というお話はしていたんですよ。
戸塚タイミング的には任天堂と歩調が合っていたということですか?
富永そうですね。
僕らも「(参加のオファーに)行こうか」と思っていたときに、任天堂さんからご提案がありまして。
「それならば、何かやりましょう!」ということで、うれしかったです。
――今回の成功を経て、次回からはどのようにしていきたいですか?
ジェームス来年は5周年になるので、どうしても大きなことをやりたいと思っています。
そのためのコンセプトは、じつはもう考えていて、やりたいこともほとんどわかっています。
いままで4年間でやったことを、さらに大きくしていきたいです。
一同マジか!(笑)
ジェームス大きくやりたいというのは、会場の大きさのことではなくて、テーマです。
これまでのBitSummitもそうだったのですが、世界中の皆さんが日本のコンテンツに注目している理由を改めて伝えたいです。
ポップカルチャーで“戦隊モノ”や“巨大ロボット”など、日本のイメージをわかりやすくイメージさせるものはありますが、そういった形で、日本のインディーシーンをわかりやすく伝えたいですね。
――今回“BitSummit 4th”とつけたのはミルキーさんだと聞いているのですが、次回のネーミングのアイデアは浮かんでいるのですか?
ジェームスもう少し待ってください。
ファミ通さんにはいち早くお知らせしますよ(笑)。
小清水まだ今年が終わったばかりなので、来年のことはあまり考えられないのですが(笑)、やりたいことはすでにいろいろとあります。
会場レイアウトにしても、まだまだできることはあると思っています。
今回は、ステージと会場が切り離されていて、一体感という点では、少し切り離されている感じがしたのですが、それはそれで今回はよかったのかもしれません。
富永今回とくにVRがあったので、切り離したほうが、それぞれに集中できたかもしれません。
小清水ステージは生配信があって、展示スペースではタイトルが出展されている。
行きたい人は行き来ができる……ということで、どちらかというと生配信向けのレイアウトだったと言えるかもしれません。
富永そうですね。
小清水来年は来年の流れがあるので、そのときの判断でどうなるか……というのはありますね。
富永そもそも僕が思ったのは、インディーがテーマなので、「つねに新しいことをやっていきたい」というのはベースにあります。
むしろ、「いつもどおりでよかった」と言われることがいいのかなというのはあるんです。
“マンネリ”という言葉は、インディーやBitSummitの対局にあるものだと思っています。
どこか、今回と違うところをわざとやる……みたいなところを試みたいなと思っています。
小清水つねに新しいことにチャレンジしていきたいですね。