ヴァンパイア医師が夜の倫敦を往く。彼の目に見えるのは血の餌食か、それとも救うべき市井の人々か? アクションRPG『Vampyr』

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文・取材:編集部 ミル☆吉村
●『Life is Strange』の開発の新作は吸血鬼モノ
DONTNODの『Vampyr』を紹介する。
本作はヴァンパイアとなってしまった医師が主人公のアクションRPG。
プラットフォームはPS4/Xbox One/PCで、海外では2017年の発売を予定している。
今回、本作のパブリッシャーであるFocus Home InteractiveのE3ブースでプレゼンを受けてきたので、その内容をお伝えしよう。

●吸血鬼としての闇と、スペイン風邪と戦う医師としての光
DONTNODは、フランスのパリにあるゲームスタジオ。
これまでカプコンをパブリッシャーにアクションRPG『Remember me』(日本未発売)を、スクウェア・エニックスをパブリッシャーにアドベンチャーゲーム『Life is Strange』をリリースしてきており、本作がスタジオとしての第3作となる(日系パブリッシャー以外と契約するのが初だが、Focus Homeも本拠地はパリで同郷という関係)。

『Remember me』ではハッキングによる記憶改変を、『Life is Strange』では時間操作による現実改変をテーマとし、その一見強力な能力の裏に潜むジレンマなども描いてきたが、『Vampyr』ではヴァンパイアとして生きる闇と、スペイン風邪が蔓延する中で人々を救う医師としての光の側面の相剋がテーマになっている。

吸うか吸わざるべきか、あるいは誰なら吸っていいのか?住人たちはさまざまなバックストーリーや住人間の関係を持っており、プレイヤーは情報画面で彼らの背景や、健康状態による血の状態などを知ることができる(各地区の衛生状態の改善などにより、より良質な血を持つ人間を増やせる)。
会話することによりさらなる背景を探ったり、サイドストーリーを進めることも可能だ。
しかし、吸血をすれば高い経験値が手に入るものの、“吸い散らかす”ことばかりしていると、先にあるのは生者の消えた地獄。
人間に戻る方法を探している主人公にとって、それは本意ではない。
また、仮に吸っても良心が咎めないような犠牲者がいたとしても、残された家族や恋人にしてみればたまったもんじゃない。
恨みを買ってヴァンパイア包囲網が強まるかもしれない。
そんな倫理的選択と、それに伴うストーリーおよび環境の変化がプレイヤーを待っている。

プレゼンでは、粗野な男を“魅了”の能力で人目につかない場所に誘導し、吸血して殺したのだが、病床の息子を案じながら息絶えていく男を見ると、なかなか心が痛む。
「うーむ、息子の治療とか頑張りゃいいのかなぁ……つっても、こいつが家に招待してくれなかったからいけないんだけど」と思っているとレベルアップ。
ナイスひどい(そう、人の住居には会話パートで招待してもらわないといけないのだ)。
ちなみにレベルアップするとスキルツリーから能力を成長させることができる。

●ヴァンパイアハンターとの戦い
アクションRPGということで、街中を警戒するヴァンパイアハンターなどに遭遇すると、戦闘になる。
戦闘は比較的オーソドックスな3Dアクションで、近接武器と銃、それにヴァンパイアが持つ超常的能力(デモでは闇の柱を地面から召還し突き刺す技があった)を駆使して複数の敵を倒していくというスタイル。

一方でヴァンパイアの瞬間移動能力(どこにでも行けるわけではないが、カーソルが出た場所に飛べる)を使って廃屋の中などに逃げ込めば、戦闘を回避することも可能。
またマップ探索中や戦闘後には皮切れやネジなどの素材収集ができる。
これらはクラフト要素で使えるようだ。

またプレゼンではその死体が出てきただけだが、ヴァンパイアとスペイン風邪が相互作用を及ぼしたのか、ミュータント化した存在などもいるようで、どうやら敵は人間だけにとどまらなそう。
果たして主人公は自らの吸血病とスペイン風邪を病んだロンドンから駆逐できるのか?それとも血の衝動に突き動かされ、本来の目的を見失ってしまうのか?Focus Homeのタイトルはローカライズ配信されないものが多く、また学生生活と友人関係という普遍的なテーマを扱っていた『Life is Strange』と比較するとダークでニッチなテーマであることから英語PC版で遊ぶことになりそうだが、今後に注目したいタイトルであるのは間違いない。

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