好調東レの動向を探る:炭素繊維複合材料で市場拡大へ

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東レは、1970年にいち早く新藤博士の特許権実施許諾を取得して、炭素繊維の事業化に踏み切りました。
当初はテニスラケット、釣竿などのスポーツ関連から市場を形成し、1975年にボーイング737の2次構造材料としての採用が決まりました。

その後はボーイング社のB777、B787に採用が拡大、2015年11月には東レがB777Xプログラムに炭素繊維プリプレグ※を供給する包括的長期契約を締結しました。
東レによると、B787とB777X両プログラム向けの供給総額はざっと110億ドル(1兆1,600億円)にも及ぶとされています。

B787は2015年に10機/月、2016年は12機/月、2019年には14機/月の生産計画となっています。
ボーイング社の予測によると、2035年までの20年間で世界の旅客機の需要は新興国を中心に39,620機と見込まれているなど、潜在需要の大きさには驚くばかりです。

一方、B777後継機である次世代のB777Xの市場投入は2020年とされており、東レは2020年までに1,000億円の設備資金を投じて米国における炭素繊維複合材料の事業拡大を行うことを決定しています。
原糸(プレカーサ)から炭素繊維および炭素繊維プリプレグまでの一貫生産設備となる予定です。

※ プリプレグ:束ねられた炭素繊維に、熱を加えると固まる性質を持った「熱硬化性樹脂」を含浸させた中間的シートのこと。
熱硬化性樹脂の代表はエポキシ樹脂だが、ポリ・エーテル・サルフォン(PES)という新しいエンジニアリングプラスチックもある。

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