「ポケモンGO」関連が出来高上位にランクイン
7月19〜22日の東京株式市場は一進一退の展開となった。
1ドル=107円まで一時円安が進んだ局面では輸出関連株などが買われたが、日経平均株価が1万7000円に近づくと警戒感が広がり、利益確定売りに押された。
市場では米ナイアンティックが任天堂、ポケモンと共同で開発したスマートフォン用ゲーム「ポケモンGO」が話題の中心となった。
関連株にも物色の矛先が広がり、買いが買いを呼ぶ好循環がみられた。
■出来高上位銘柄に「ポケモンGO」関連も
今回は東証1部の「出来高上位10社」の顔ぶれをみてみよう。
(1) みずほフィナンシャルグループ 4億9346万0800株
(2) 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2億7809万2300株
(3) 東芝 1億3586万2000株
(4) 神戸製鋼所 1億2769万7000株
(5) 野村ホールディングス 1億2032万0200株
(6) 日立製作所 1億0268万6000株
(7) イマジカ・ロボット ホールディングス 9568万7500株
(8) 任天堂 9251万8200株
(9) IHI 8917万1000株
(10) ユニチカ 7639万6000株
※株価は7月22日終値
今回は「ポケモンGO」関連株に買いが集まり、(7) イマジカ・ロボットホールディングス、(9) 任天堂などがトップ10に入った。
任天堂は売買代金で過去最高水準となり、トヨタ自動車などを上回りトップとなった。
■みずほ FG、ソフトバンクに1兆円のつなぎ融資
それでは「出来高上位10社」の中から、みずほフィナンシャルグループ、イマジカ・ロボット ホールディングス、任天堂を取り上げたい。
みずほフィナンシャルグループはメガバンクの一角で、出来高ランキング上位の常連銘柄だ。
配当利回りが4.6%と高いため、個人投資家の資金が集まりやすい傾向にある。
最近のみずほフィナンシャルグループに関するニュースでは、傘下のみずほ銀行が、英半導体設計大手ARMを約3.3兆円で買収するソフトバンクに対し、1兆円のつなぎ融資を行ったことが注目を集めた。
ネット上では同行の融資姿勢を不安視する声も出ていた。
とはいえ、過去にもADSL事業に参入する前後の時期や、ボーダフォン日本法人を買収した時期にソフトバンクの積極的な買収姿勢に異議を唱える記事が散見されたが、同社で経営危機が表面化したことはなかった。
ソフトバンクの孫正義社長は、スーパーセルやガンホー・オンライン・エンターテイメントの株式売却でつなぎ融資は返済できると説明している。
■イマジカ・ロボット HD、ポケモンのアニメ制作で人気沸騰
イマジカ・ロボット ホールディングスは映像制作会社。
ポケモンのアニメ制作を手掛けており、スマホゲーム「ポケモンGO」関連株として株式市場で人気が沸騰した。
19日には、連結子会社のロボット社がVR(仮想現実)システムを手掛けるABALに出資すると発表し、VR関連株として買いを集めた。
■任天堂、22日夜に市場の過熱を冷やすコメント発表
任天堂はゲーム大手。
海外でスマホゲーム「ポケモンGO」人気が広がったことで業績向上期待が広がった。
いま、日本株の中で株価の動向に最も注目が集まる銘柄の一つといえよう。
任天堂は日本国内でサービスを開始した22日夜「『Pokemon GO』の配信による当社の連結業績予想への影響について」と題するコメントを発表した。
内容は(1) アプリは米ナイアンティックが開発、配信し、ポケモンが権利保有者としてライセンス料と開発運営協力に伴う対価を受け取ること、(2) 任天堂はポケモンの議決権の32%を保有する持ち分法適用関連会社であること……を説明したうえで「当社の連結業績に与える影響は限定的」と明言している。
同社はアプリと連動する周辺機器の製造、販売を予定しているが「既に平成28年4月27日に公表しました当社連結業績予想に織り込み済みです。
直近の状況を鑑みても、現時点では、当業績予想の修正は行いません」と強調している。
コメントの結びで「今後、業績予想の修正が必要になった場合には、適時開示を行います」という記述もあり、今後何らかの業績修正を行う余地も残しているものの、過熱する任天堂人気に水を差す内容でもある。
任天堂株をめぐるマネーゲーム的な相場はいったん沈静化することになりそうだ。
(ZUU online 編集部)