<ポケモンGO>配信1週間 企業、ポケモノミクスに期待
スマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO(ゴー)」の国内配信が22日に始まってから1週間が経過した。
屋外に出て遊ぶゲームの特性から、スマホの充電器や日焼け止めグッズ、歩きながらでも食べられるおにぎりなどの売り上げが伸びており、ポケモンGOによる経済効果「ポケモノミクス」の拡大に期待が高まっている。
ゲームは屋外を歩いてポケモンを探して捕まえるため、売り上げが急伸しているのがスマホの充電器だ。
全地球測位システム(GPS)を常に使うのでスマホは“フル稼働”状態で電池の消費が早くなるからだ。
家電量販店のビックカメラとヨドバシカメラでは配信開始後初の土日となった23、24の両日で、充電器の売り上げは昨年7月末の週末と比較して約7倍増。
ヨドバシカメラでは「充電器を求めて行列ができた店舗もあったほど」だ。
コンビニエンスストアのファミリーマートでも両日の充電器売り上げは同2倍増だった。
さらにおにぎりやパン、菓子類の売り上げも1割増。
同社は「ゲームをしながら手軽に食べられるから」と説明する。
セブン−イレブンでは日焼け止めや虫よけのスプレーも人気で、広報担当者は「炎天下、公園などでゲームを楽しむ利用者が購入したのではないか」と推測する。
企業として世界で初めてポケモンGOと提携した日本マクドナルドは、全国の店舗がゲームに使うアイテムを入手できる「ポケストップ」などに設定されており、広報担当者は「特に都市部の店舗ではポケモンGOを楽しむお客さんが多い」と、この1週間を振り返った。
売り上げデータなどがまとまっていないため、ポケモンGO効果を具体的に説明できないというが、集客増への期待は大きい。
小売り以外でもポケモノミクスへの期待は高まっている。
スマホ部品も製造する電子部品メーカー大手、村田製作所の藤田能孝副社長は28日、決算会見で「安物のスマホでは(ゲームをするのに)あまり動かない。
高機能端末への買い替え需要が起きるのでないか」と述べ、期待をにじませた。
自治体にも観光客誘致に活用しようとの動きが出ている。
ポケモンはどこにでも出現する設定のため、鳥取県は「広大な砂丘では歩きスマホによるトラブルなどの心配がなく楽しめる」(平井伸治知事)として、鳥取砂丘をポケモンGOが自由に遊べる「解放区」だと宣言。
一方でポケストップなどはゲームを開発した米ナイアンティックが各地の名所・旧跡から選んで設定しているため、同社には自治体や企業から登録要請が相次いでいるという。
同社の日本代理店担当者は「要請については前向きに検討したい」と話しており、今後はゲームと地方の連携も進みそうだ。
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストはポケモノミクスについて、「今後、マクドナルドのようにゲームと提携する企業や、連携して観光誘致しようとする自治体がさらに増えれば、経済効果はより大きくなるだろう」と話している。
◇ポケモンGO
アニメやゲームシリーズ「ポケットモンスター」に登場する架空の生き物「ポケモン」をスマートフォンの画面上で捕まえるゲーム。
全地球測位システム(GPS)を活用し、利用者がいる周辺の地図をゲームの舞台として画面に表示し、地図を手がかりに現実の街を歩きながらポケモンを探し、捕まえたポケモンを他の利用者のポケモンと対戦させるなどして遊ぶ。
ゲーム自体は無料だが、ゲームを有利に進めるための「アイテム」は有料。
米ゲーム開発会社ナイアンティックが開発し、任天堂とキャラクター管理会社ポケモンが協力。
将来的には200カ国・地域での配信を目指している。
海外では原発施設に入り込むなどトラブルが相次ぎ、日本でも22〜27日の配信で車などを運転しながらゲームをしていたとして406件が摘発された。