<リオ五輪>全日程を終え閉幕 祭典のバトン、東京に

ブラジルのリオデジャネイロで開かれた第31回夏季オリンピック大会が21日、17日間の全日程を終えて閉幕した。
閉会式で五輪旗がリオ市のエドゥアルド・パエス市長から、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長を介して、2020年に五輪を開催する東京都の小池百合子知事に渡された。
4年後に向け、東京大会の準備が本格化する。

南米初開催となったリオ五輪は会場やインフラ整備の遅れ、治安の悪さ、政情不安、事前のジカ熱流行など多くの懸念を抱える中で開幕したが、大会そのものを揺るがす混乱はなく、ブラジルは明るい国民性で運営を乗り切った。
アスリートの躍動、観客の熱狂や興奮、街にあふれる世界の人々−−スポーツの祭典のバトンは東京に託された。

閉会式は雨の中、マラカナン競技場で21日午後8時(日本時間22日午前8時)に始まった。
陸上男子十種競技の右代啓祐(うしろけいすけ)(30)=スズキ浜松AC=ら各国旗手に続き、カッパを着るなどした各国選手が入り交じって入場した。
日本選手団は約250人が参加し、笑顔で観衆に手を振った。

フラッグ・ハンドオーバー・セレモニー(五輪旗引き継ぎ式)では旗の手渡し後、次期開催都市・東京を紹介する8分間の演出が行われ、安倍晋三首相が任天堂のゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」のキャラクター「マリオ」に扮(ふん)して、東京とつながったとの想定でフィールド中央に置かれた緑色の土管から登場し、トレードマークの赤い帽子を振った。

リオ五輪の大会スローガンは「ANewWorld(新しい世界)」。
境界を取り除き、他者を尊重する理念の下、五輪史上初めて結成された難民五輪選手団が参加した。
競技場と市街地に設置され、アスリートと観客、市民を照らし続けた二つの聖火は、日付が変わる頃に消える。

リオ五輪で日本は41(金12、銀8、銅21)個のメダルを獲得し、38個の12年ロンドン五輪を上回り過去最多となった。
参加した205の国・地域の中で金メダル数は6位、メダル総数は7位。
最多は金メダル数(46個)、メダル総数(121個)ともに米国だった。

4年後に向け東京大会組織委員会は約180人の職員を派遣し、IOCが今後の五輪開催都市向けに提供する研修プログラムに参加した。
輸送、警備、飲食、ボランティアなどテーマは約80。
利用者目線に立つため選手や観客の立場で1日を過ごす企画や、職員がリオ組織委のスタッフとマンツーマンで行動する「シャドーイング」と呼ばれる制度も活用した。
東京組織委はこれまで、成熟都市ロンドンの運営を参考に計画を立てていたが、ある職員は「リオから学ぶことはたくさんあった」と話す。

19日にリオ入りし、パエス市長と会談した小池知事は「会場をホワイトエレファント(無用の長物)にしないという話に感銘を受けた」と述べた。
リオでは大会後に会場施設を有効利用し、新設のゴルフコースは公共ゴルフ場となり、仮設のハンドボール会場は解体して小学校に生まれ変わる。
会場整備費の約6割は民間資本で賄った。

小池知事は20日の記者会見で東京大会について「クリーンで透明性の高いクリアな大会にしたい。
納税者にホワイトエレファントを残さず、しかし、よいレガシー(遺産)は残す方向で進めたい」と語った。

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