<任天堂>最終赤字245億円 為替差損とゲーム機苦戦
任天堂が27日発表した2016年4〜6月期連結決算は、本業のもうけを示す営業損益が51億円の赤字(前年同期は11億円の黒字)、最終(当期)損益も245億円の赤字(前年同期は82億円の黒字)だった。
いずれも4〜6月期としては2年ぶりの赤字。
ゲーム機の販売減と円高による為替差損が響いた。
企画に加わるスマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO(ゴー)」の人気とは対照的に、本業のゲーム専用機の事業は苦戦が続いている。
一方、ポケモンGOの周辺器機「ポケモンGOPlus(プラス)」は任天堂が今月末に販売する予定だったが、開発の遅れで9月に延期された。
売上高は前年同期比31.3%減の619億円で、四半期決算を公表し始めた2003年以降で最低の水準。
来年3月に新型ゲーム機「NX」の発売を控えており、今年度は低迷が続く据え置き型の「WiiU(ウィーユー)」の需要が大きく落ち込むとみられる。
このため、年間の販売台数は前年度より246万台少ない80万台に減らす計画だ。
この影響で4〜6月期は、ウィーユーの販売台数が前年同期比53%減の22万台に落ち込んだ。
また、主力の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」も同7%減の94万台と不振が続き、営業赤字に陥った。
また、任天堂は売り上げ全体の7割強を欧米など海外が占めており、円高の影響でドルやユーロ建ての預金や売掛金を円換算した際の損失が約350億円発生。
最終損益も大幅な赤字となった。
4〜6月期の業績について任天堂は「想定の範囲内」としており、通期の業績予想は、売上高が前期とほぼ横ばいの5000億円、最終利益が前期の2倍強の350億円と、今年4月の発表時から変更していない。
米企業が中心となって22日から国内配信を始めたポケモンGOが世界的にヒット。
任天堂は米企業などと共同で企画に参加しているが、収益への影響は限定的だ。
それでも本業への波及効果を狙い、11月にニンテンドー3DS用ソフトとして発売するポケモンシリーズの新作などで巻き返しを狙う。
また、出遅れているスマホ向けゲームでも新作2本を秋に配信する予定。
ポケモンGOの人気を追い風に一気にスマホ市場に本格参入し、任天堂の認知度を高めて不振が続くゲーム機の人気回復につなげたい考えだ。