森永卓郎の経済×トレンド講座(1)『Pokemon GO』最大の効果は“キャラの人気復活”

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スマートフォン向けゲームアプリ『Pokemon GO』が日本に上陸して3ヶ月が経とうしている。
同アプリは、米ナイアンティック社とポケモン社が共同開発したもの。
スマホの全地球測位システム(GPS)を活用して、現実世界のいろいろな場所を歩き回ってポケモンを探し、ゲットするゲームだ。

このポケモン、英語で言える?「カメックス」「プリン」「ピカチュウ」の答えは…
7月6日にオーストラリアとニュージランド、アメリカで配信が始まり、日本には7月22日に上陸。
9月16日には、スマホ画面を見ずにプレーできるデバイス『Pokemon GO Plus』が発売になったが、すぐに品薄状態となった。
まさに“社会現象”といえるほどの話題を集めている『Pokemon GO』だが、“本当の効果”は何なのか?森永卓郎氏が独自の視点でわかりやすく解説する。

■最大の効果は“キャラクターの人気復活”新たなアプローチで再ブレイクを果たした
まず金額面の経済効果ですが、メーカーとしての売上は1ヶ月で1億米ドルだったかな。
日本円にすると100億円くらいです。
1億人がダウンロードしたとすると、ひとりあたりたった100円程度しか使っていないので、大儲けというほどではないといえます。

米ナイアンティックを部分的に所有し、ポケモン社の株式も保有している任天堂の株価でみると、アプリのリリース当初は急騰して、1ヶ月で時価総額が2兆円ほど増えました。
ただ、その後、任天堂の取り分は少ないということでドーンと落ちたのですが、このゲームについてはそういった観点で見るべきではないと思っています。
もっと長期的に見ないと、そのすごさはわからないのです。

具体的にお話ししましょう。
ポケモンが初めて世の中に登場したのは20年前です。
ゲームやテレビアニメ、映画などでヒットを飛ばし、海外でも評価を受け、全世界における累計市場規模は4.8兆円以上にもなりました。
ですが、20年前に夢中になっていた“ゲームボーイ世代”は大人になり、ゲームから遠ざかるとともに、彼らにとってのポケモン人気は上がりにくくなってしまったんです。
普通のキャラクターが辿る運命ですね。

ところが、今回新たに“アプリ”というアプローチをしたことにより、すっかり人気が復活した。
ゲームボーイ世代が親になり、子どもと一緒にアプリを楽しんでキャラクターを共有することで、永遠の命が吹き込まれたんですよ。

そうしたキャラクターは、本当に数が少ない。
ウルトラマンや仮面ライダー、ガンダム、ミッキーマウス、ハローキティ、ドラえもん……10もないと思います。
ポケモンは今回、再ブレイクを果たしたことで、これらに並んで世代を超えて愛される存在になるわけです。
究極は、ディズニーランドならぬ「ポケモンランド」の開園でしょうね(笑)。

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