「PlayStation VR」ついに発売! 開封からセットアップ、そして使用感を試してみた
プレイステーション 4用VRシステム「PlayStation VR」がついに発売! 2014年に「Project Morpheus」として発表されて以来、2年以上の歳月をかけての発売となったが、この日が来るのを待ちに待ったという人も多いのではないだろうか。
本稿では「PlayStation VR (PlayStation Camera同梱版)」の開封からセッティング、PS4での設定など、入手してから実際に使っていくまでのファーストインプレションをお届けしていこう。
■内容物のチェックからセッティングへ。
ケーブルが多いけど手順説明は“ものすごく丁寧”
まずは外箱から見ていこう。
外箱は約35×26×20.5cm(縦×横×高さ)と横幅が広く、天面から開いていく作り。
PS VR本体やロゴが描かれている青を基調にした外見は箱本体を包んでいるシートになっていて、開くと中から真っ白な箱が現われる。
箱は手前から斜めにフタが開いていくのだが、中でフタと繋がっているヒモがあり、斜めの角度で止まるようになっている。
実際にそれに振れていくと、高級感や特別感を感じさせる作りにテンションが上がること間違いなしだ。
内部にはまず大きめの「クイックスタートガイド」があり、それを取ると、接続ケーブルやプロセッサーユニット、PS Camera同梱版の場合はPS Cameraが収められている小さめの箱や仕切りが出てくる。
それを取り出していくと、緩衝材にしっかりと保護されたPS VR本体のお目見えだ。
同梱物を一通り出して確認してみると、おそらく誰もが思うのは「ケーブルがたくさん!」ということだろう。
実際、HDMIケーブル、USBケーブル、ACアダプターと電源ケーブル、VRヘッドセット接続ケーブルがあり、さらにVRヘッドセット本体からもケーブルは延びているので、それらも入れると5本のケーブルを相手にすることになる。
VRデバイスをいくつもセッティングしてきたという人も滅多にいないだろうし、いわゆる“機械に強い人”であっても、このセットアップには最初はちょっと怯むかもしれない。
ただ、そのあたりの接続の苦労へのケアはしっかりと行なわれている。
まず、各種のケーブルには番号の書かれたシートが付けられていて、前述の「クイックスタートガイド」で1ページあたりの余裕をたっぷり使って、大きく、わかりやすく、繋げ方が記されている。
その徹底ぶりたるや、A4以上のサイズのページに文章は1文のみ。
これでもかと見やすくされている。
ケーブルと、それを繋ぐコネクタ側には「○/△/×/□」のマークが記されていて、そのマークが一致するように繋げば正しいという配慮までされていた。
また、PS VRの公式サイトでも「“PlayStation VR” チュートリアルビデオ」として、「PART1 内容物の確認」、「PART2 接続の手順」、「PART3 プレイ前の準備」と、開封からプレイを始めるまでを3本の動画を使って丁寧に解説している。
これなら、しっかりとガイドを読みながら、または動画を観ながら進めれば、セッティングできるはずだ。
各部をチェックしつつセッティングしていったなか、印象的なのはやはり「プロセッサーユニット」だ。
プロセッサーユニットは、PS4とテレビの間に接続されることになる“橋渡し役”のような位置づけになり、ここからPS VR側にも映像や音が出力される。
そういう意味では、接続図的には中心になる存在とも言える。
外観は縮小されたPS4を思わせるようなものになっていて、正面の左側スリット内には赤や白に光るLEDも搭載されている。
右半分は前後にスライドする仕組みになっていて、前面に繋いだPS VR側のコネクタがスライドを戻したときに隠されるようになっている。
背面側には、テレビ側へ出力するHDMIコネクタ、PS4から入力を受け取るHDMIコネクタがあり、その隣にはPS4と接続するUSBケーブルや、電源アダプターのコネクタ、端には排気用のファンも搭載されている。
ちなみに動作中にこのファンの音を確認してみたのだが、回っているのは確認できるという程度で、音はほとんど感じられないぐらいだ。
なお、プロセッサーユニットには最終的に合計6本のケーブルが刺さることになるので、だいぶゴテゴテとした感じにはなってくる。
だが、前面に延びているケーブルはVRヘッドセットと繋がっている1本だけ(2本が1本化されている)になっていることもあり、背面側のケーブル類をしっかりとまとめて、あまり見えないように裏に逃がすなどすれば、だいぶスッキリと収まってくれる。
そのほかにも、ステレオヘッドフォンとして、かなり小型なカナルタイプのイヤフォンが付属する。
また、「PS Camera同梱版」であれば当然ながらPS Cameraがあるのだが、こちらは丸い円柱型の新型になっていて、折りたたみ式に角度をつけられるスタンドも付属している。
このスタンドがだいぶ扱いやすいので、初期型のPS Cameraをお持ちの人は、同梱版を買って変えるのもありと思える。
VRヘッドセット本体を見ていこう。
こちらは他の同梱物と比べると、むしろイベントや体験記事等で既にお馴染みな感もあるかもしれないが、あらためて細部を見ると、工夫の積み重ねが感じられる。
おでこのあたりで本体を支える部分と背面のバンド部分は、滑り止め効果を高めるためと思われるが、ラバー質な素材でできているうえに、表面には細かな網目状の溝もつけてある。
髪の毛の上から押さえていくにしても、これなら滑りにくいというわけだ。
ディスプレイ部分の側面には部屋の光が入って没入感が削がれることを防ぐための遮光カバーがあり、鼻頭があたるところにも同様のカバーがある。
どちらもラバー素材で薄く、そして柔らかいので、顔に合わせてフィットしてくれる。
鼻のところに関しては左右2枚にわけてあり、鼻を圧迫しないようにもされている。
VRヘッドセット全体の重量は約610gと、数値だけみると頭につけるものにしては重いと思えるのだが、実際に装着すると重量のバランスがよく、数値や見かけほどの重みは感じさせない。
接続ケーブルは頭の左側面を垂れ下がっていくような状態になるが、その途中にはリモコンがある。
リモコンには「電源ボタン」、「マイクミュートボタン」、「サウンドボリュームアップ」、「サウンドボリュームダウン」の4個のボタンがあるが、手探りにボタンを把握できるよう、電源ボタンは凹み、マイクミュートは平ら、ボリュームアップとダウンは出っ張り、といったように高さがついている。
それでも配置を覚えていない最初は当然戸惑うと思うが、理解してからはVRヘッドセットをつけたままでも操作できる。
■シネマスティックモードなど一通り試した感想は“PS VR対応コンテンツに特化したデバイス”
いよいよPS4での初期設定へ。
まずは全部を繋ぎ終わったPS4を起動するわけだが、PS VRのプロセッサーユニットを経由していることもあり、なにか電源オン時やスタンバイからの復帰に変化があるのかと思っていたのだが……実際は、待機中は赤いLEDが光っているプロセッサーユニットが連動して起動して白く光り、その後は普通にPS4の映像がテレビに映しだされる。
特別なことはないようで、起動時間やスタンバイ移行時間にもほとんど差はないようだ(ただし、スタンバイ移行時はPS4本体が先にスタンバイに入ったあと、遅れてプロセッサーユニットが待機中のLED点灯に変わる)。
PS4起動後も特にこれまでとの違いはない。
だが、VRヘッドセットの電源を入れる(リモコンのボタンで入れる)と、画面に「PlayStation VRデバイスソフトウェアのアップデート」が表示された。
出荷時はバージョン1.50だが、最新バージョンには2.00があり、アップデートしないと使用はできないようだ。
このアップデート自体は回線等に左右される可能性はあるが、試したときは1分ほどで完了した。
アップデートも終わると、初回起動時のチュートリアルがスタートした。
まずはPS Cameraとの自分の位置を整えるキャリブレーションがあり、その後はVRヘッドセット装着を画面に表示される手順を追って行なっていくというものだ。
それが済むと、初期セッティングは全て完了。
VRヘッドセット内には、暗闇に浮かぶ巨大なスクリーンにいつものPS4のメニューが表示されている。
過去には「HMZ」シリーズなどヘッドマウントディスプレイ機器もあったが、それらを未体験の人だと、まずこのときに見えている画面の大きさに驚きとテンションの高まりがあるのではないだろうか。
PSボタンを長押しすると「PlayStation VRを設定する」という項目が加わっており、ここで画面位置のリセットやPS Cameraからの自分の位置の確認、画面の明るさ調整などが行なえる。
この中に「画面サイズ」の項目もあり、VRヘッドセット内での通常の映像(VR対応ソフト・コンテンツ起動中以外)の表示サイズが変更できる。
スクリーンのサイズは、「小(117インチ相当)」、「中(163インチ相当)」、「大(226インチ相当)」の3段階あり、「中」で視界内にギリギリ収まるぐらいの巨大さ、「大」は左右の端が視界からはみ出るほどの大きさになる。
このとき、「中」と「大」は自分が横を向いても同じ位置にスクリーンがある。
映画館のスクリーンを目の前にしているときをご想像頂きたいが、自分が横を向いてもスクリーンは移動しない。
だが、小だと、常に自分の正面にスクリーンがあり続ける。
「中・大」で映画館気分を味わいつつ、「小」は楽な姿勢で楽しみたいときなど、頻繁に首の向きを変えるようなときに良さそうだ。
そのまま普通のPS4用ソフトのプレイも試してみたのだが、なんといっても目の前の空間に広がる大画面の迫力は大きい。
有機ELによる発色はよく、残像感もない。
ただ一方で、ちょっと画質には不満を感じるかもしれない。
そもそもVRヘッドセットは左右2枚のディスプレイがあり「左右の目それぞれに960×RGB×1,080ドットの映像を表示」という方式で、合わせてフルHD相当の解像度に達するというものなので、一般的なテレビやモニターとは見え方がだいぶ変わってくる。
PS4のメニューなどの普通の映像が映っているときには、結構なチラつきや粒状感を感じさせるところがある。
特に文字表示に顕著で、斜めのラインのジャギは目立ってしまっている。
これはBlu-rayディスクなどによる映像コンテンツ視聴時にも同様。
逆に、VR対応ソフトのプレイ中は、もちろんソフト次第ではあるものの、普通の映像を映しているときよりもキレイな映像を表示してくれる。
汎用的にも使えるが、やはり“PS VR対応コンテンツに特化したデバイスだ”と思えるところがある。
サウンド周りでは、まずは付属のステレオヘッドフォンを使ってみたのだが、これが見た目はあまりに小型で頼りなく感じたのだが、使ってみるとなかなか侮れなかった。
メリハリがあってくっきりとした音だ。
自分の頭の位置や向きに合わせて音の位置をコントロールしてくれる「3Dオーディオ」の特徴を味わいやすい音質というところもありそうだが、クッキリはっきりとした音質で定位感を伝えてくるぶん、3D空間の音を十分に味わえる。
ただ、低音はさすがに弱めだ。
続いて、純正周辺機器である「ワイヤレスサラウンドヘッドセット(CUHJ-15001)」も試してみた。
こちらは有線接続で利用できる。
装着時に多少、VRヘッドセットとぶつからないような上手い位置合わせが必要にはなるが、それが合えば違和感なく利用できる。
音は上記のような3Dオーディオのうま味に低音の良さも加わったというところ。
一通りをチェックしたあとは、いよいよお待ちかね。
PS VR専用ソフトをプレイしてみた。
プレイしたのは、「RIGS Machine Combat League」と「PlayStation VR WORLDS」。
これはもう言うまでもなく、楽しいの一言に尽きる。
前述のように映像面でも、それぞれのVR専用ソフトの方がより最適化されているからかキレイに表示されるし、なによりも完全に視界を覆い続ける3D立体視の世界は、本当にそこにいるような錯覚を起こさせる。
視界を覆う空間に自分とあまり身長の変わらないようなキャラクターが目の前に立って、こちらに話しかけてくる。
よっぽど巨大でスペシャルなテレビが家にあるという人なら別かもしれないが、現実さながらの等身大な世界が広がり、目の前に本当に人がいるかのようなスケールで3D立体視表示のキャラクターを見たことがある人は少ないだろう。
それが家庭で実現できる。
使用感のレポートに戻ると、気になるのは使用後のケアだ。
レンズ部分にまぶたがくっついたりしてしまうのか、どうしても汚れがついてしまう。
それをもし、ティッシュなどで乱暴に拭いたりしてレンズに傷をつけてしまったら辛いことになる。
レンズ類を拭くのに適したクリーナーなどを用意して優しく手入れして頂きたいところだ。
地味な話ではあるが、使用後の置き場所にも少し困る。
VRヘッドセットだけでも丁寧に元の箱へと戻すというのもありだと思うが、ヘッドフォンを掛けておく「ヘッドホンハンガー」のような製品を使ってみるのもいいかもしれない。
■未知なものにワクワクできる時間がやってきた。
始まる!
「PlayStation VR」を入手し、開封から一通りのセッティング、そして使用感をお伝えしたが、総じて思うのは、発売までに十分に練り込まれた製品だと感じるし、何より“楽しい”ということ。
パッケージの豪華で特別な雰囲気作りから始まり、複雑なところを少しでもわかりやすくしようという配慮の感じられる接続周り、そして、それらが終わり実際に使っていったときのインパクト。
いずれもエンターテイメントであり、久々に“未知なものに対して心がワクワクする”を味わえる製品と思える。
それだけに、現状では「欲しい!」という人の全てには行き渡っていないのは辛いところ。
いちはやく、そうした購入希望な人の手に届いて欲しいばかり。
そして、この楽しさを味わってもらいたい。
きっと、楽しい事が待っている。