あなたはドライブしながらディープな会話をこなせるか? レースゲームと大人の会話劇が融合した『Wheels of Aurelia』
文・取材:編集部 ミル☆吉村
●海岸線の小粋なドライブと、同乗する訳アリ男女との会話劇
先週末にロサンゼルスで行われたインディーゲームイベント“IndieCade”出展作から、イタリアのSanta Ragioneの『Wheels of Aurelia』を紹介する。
本作はPC/Mac/Linux版がSteamとitch.ioで配信中。
さらに海外ではPS4版が配信されているほか、Xbox One版の配信も予定している。
対応言語は英語・イタリア語・フランス語・スペイン語のみ。
なお参考までにSteamでの販売価格は980円。
『Wheels of Aurelia』の舞台は1970年のイタリア。
プレイヤーはちょっとパンキッシュなイタリア女性Lellaとなり、イタリアの西海岸をローマからピサまで走るアウレリア街道に沿ってクルマを走らせていく。
道中で乗り込んでくるさまざまな訳アリの同乗者との会話劇が大きなポイントとなっており、プレイヤーは斜め上からの見下ろし視点でクルマを操作しながら、同乗者への会話内容を選択。
クルマをどこに向かわせるか、どんな会話を繰り広げるかによって、カーチェイスが始まったり、ストリートレースで戦うことになったり、同乗者がチョイチョイ入れ替わったりと、ストーリーが分岐していく寸法だ。
会話の内容には、過激派によるテロや、誘拐事件、政治的動乱、そして中絶などにはじまる宗教問題といった当時の時勢を反映したテーマが織り込まれており、爽やかな海岸線の風景やエネルギッシュなイタリアンロックのBGMと対称的に、ディープな会話劇が展開されていく。
クルマの操作は簡易化されている上に少々ぶつかっても大丈夫なのだが、“シリアスな問題を抱えている相手に対してハンドリングに気を取られて雑な対応をしてしまい、次の目的地でお別れ”なんて展開になったりもするのがなかなか沁みる。
イタリア産ということもあってか、ラフな口語表現などは少なく、使われている英語自体はそれなりにシンプル。
とはいえドライブしながらサクッと読めなければいけないので、それなりに英語への慣れは必要だ。
サントラ(Bandcampで別売りもされている)がなかなかいい感じだし、どこかローカライズしてくれないかなぁ、と思う一本だった。