『主人公が無言の名作ゲーム』10選
「沈黙は金、雄弁は銀」とは古くはヨーロッパで生まれた言葉、価値観です。
その意味合いは「雄弁である事は重んじても沈黙すべき時にきちんと黙ることはもっと大切である」という意味。
ビデオゲームにおいても、沈黙をつらぬくキャラクターが存在するのです。
そこで、ゲーム中でセリフのない主人公を採用した名作を、編集部が10本ピックアップ。
古今東西ジャンルを問わず幅広いゲームタイトルから選出し、ご紹介していきます。
…………<読むことを無言で促している仕草>
◆ネス 『MOTHER2 ギーグの逆襲』
開発元:APE/HAL研究所 開発年:1994年 機種:スーパーファミコン
――アースバウンド!
主人公でありプレイヤーキャラクターである「ネス」はいまや「大乱闘スマッシュブラザーズ」に出演しそちらでは喋るものの、本作では一切台詞がありません。
主人公の名前も変えられる事から本名プレイをしていた人もいらっしゃるでしょう。
赤い帽子にリュックとバットがトレードマーク。
本作は海外での人気も高く「Bound Together ReBound」という音楽のファンリミックスが無料公開されていたりします。
◆ジャケット 『Hotline Miami』
開発元:Dennaton Games 開発年:2012年 機種:PC/PlayStation 3/PlayStation Vita
――他人を傷つけるのは好きかい?
見下ろし方アクションでありカルト的人気を誇る本作ですが、主人公である通称「ジャケット」には一切の台詞がありません。
果たして彼は何者なのか?プレイヤー自身なのか?それとも物語に関与する人格を持った存在なのか?本作はメタフィクションな観点からも深みを感じさせる物語を楽しめる名作です。
◆コルヴォ 『Dishonored』
開発元:Arkane Studios 開発年:2012年 機種:PC/PlayStation 3/Xbox 360
――復讐に刃を捧げよ!
国家の陰謀に巻き込まれ孤独な復讐者になる「コルヴォ」は周囲に利用されながらも、或いは利用しながらも汚された名誉の為に戦います。
続編の発売も間近に迫っていますが本作は魔法やガジェットの要素により「ステルスゲームはスローペース」という偏見を打ち砕くがごとくテンポの速いプレイが楽しめるステルスアクションの傑作となっております。
また、物語も分岐があり複周回プレイも楽しめます。
次のページ:美麗アクションにRPGにローグライクと歴史的名作!
◆アマテラス 『大神』
開発元:クローバースタジオ 開発年:2006年 機種:PlayStation 2
――絶景!大神降ろし!
他機種版やHD版に加え続編も生み出した本作ですが、主人公である「大神アマテラス」は白狼で人語を喋りません。
その代わりお供キャラクターである「イッスン」は江戸っ子口調で喋りに喋りたおしてくれますし、チュートリアルやナビゲートの機能を果たしてくれます。
また本作の特徴的な部分はスティック操作によって筆を動かし特定の模様を描くことによって発揮される特殊能力や、パズルの解決法となる「筆しらべ」というシステムにあるでしょう。
愛らしいキャラクターや美麗なグラフィックも素晴らしい名作です。
◆人修羅 『真・女神転生III NOCTURN』
開発元:アトラス 開発年:2003年 機種:PlayStation 2
――200X年、トウキョウ壊滅
厳密にはデフォルト名がありませんが、主人公は悪魔の力を得て「人修羅」と呼ばれる存在になります。
真・女神転生シリーズは本作に至るまで主人公が人間でしたが、本作においては半身が人間でもう半身が悪魔という扱いになっており、マガタマという悪魔の力を装着する事で能力を変化させます。
シリーズでの特徴である悪魔合体ではイケニエ合体という二体の悪魔にもう一体追加する事が可能な三身合体に近いシステムも導入されています。
仲魔のレベルも上昇するようになりました。
◆シレン 『風来のシレン』
開発元:チュンソフト 開発年:1995年 機種:スーパーファミコン
――和製ローグライクの金字塔!
シリーズも多くフォロワーも多い本作はタイムアタックプレイヤーにも愛されています。
その主人公「シレン」は風来人で、主人公=プレイヤーという関係性の作品ではあるものの妙にキャラ立ちしていて、トレードマークの三度笠を見るとついつい本作を思い出してしまいます。
シレンはゲームの目的であるテーブルマウンテン登頂において様々な罠や敵と立ち向かいますがお宝とも出会います。
目指せ太陽の大地!フェイの最終問題!
◆リンク 『ゼルダの伝説』
開発元:任天堂 開発年:1986年 機種:ファミリーコンピュータディスクシステム
――歴史的名作!
長寿タイトル「ゼルダの伝説」より「リンク」の登場はなんと80年代に遡ります。
タイトルによって見た目も大人びたり幼く描かれたりしますが緑の頭巾に盾と剣、金髪で尖った耳というデザインは一貫しています。
台詞は一切ないのにキャラクター性が強いという特殊な人物と言えるでしょう。
謎を解いた時やアイテムを入手したときに鳴る特徴的な音楽は「ごまだれ〜」という通称が付いているようです。
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◆クロノ 『クロノトリガー』
開発元:スクウェアエニックス 開発年:1995年 機種:スーパーファミコン
――不朽の名作!
本作はタイムトラベルをテーマに壮大な世界観を持ち、ファイナルファンタジーシリーズの坂口博信氏がエグゼクティブプロデューサーを努めドラゴンクエストの堀井雄二氏がシナリオ監修をし漫画家の鳥山明氏がキャラクターデザインを手がけ「ドリームプロジェクト」と呼ばれた共同開発が話題になった歴史的名作です。
本作では様々な仲間が居ますが主人公の「クロノ」は一切喋らず(名前も変更可能)プレイヤーが自身を投影しやすくもあり、なおかつゲームデザイン自体もテンポの早い戦闘を採用するなど非常に遊びやすく、やり込み要素まである当時のAAA級タイトルでした。
その人気は後年ニンテンドーDSへの移植などが行われた点でも証明されています。
ただし「クロノ」は通常喋らないのですが、実はある一定の条件を満たすとほんの少し喋る場面があるのを皆様はご存じでしょうか?ですので今回のチョイスでは若干反則気味ですがお許しを!
◆キッド 『Bastion』
開発元:Supergiant Games 開発年:2011年 機種:PC/PlayStation 4/Xbox 360
――災厄の先にあるものは
印象的で美しいアートワークを持つ本作の主人公「キッド」は白髪に赤いスカーフというデザインで、常に黄昏を帯びているような描かれ方をしています。
また本作は「アクションRPGのストーリーテリングを再定義する」といううたい文句があり、例えば絶えず流れる老人のナレーションなど物語の描かれ方も非常にユニークです。
ゲームプレイの方は爽快感のあるスピーディなアクションが楽しめます。
PC版で有志による日本語化MODがあるのでご興味が湧きましたら是非一度プレイしてみて下さい。
◆ゴードン・フリーマン 『Half-Life』
開発元:Valve Software 開発年:1998年 機種:PC/PlayStation 2
――最強の物理学者!
喋らない主人公といって欠かすことの出来ない存在といえば「ゴードン・フリーマン」です。
本作ではMIT卒という経歴を持ち「ブラックメサ研究所」という施設で働き始めるところから始まります。
ところが研究所での実験により異常事態が発生し…という展開を持つ本作は50以上もの受賞を獲得した海外制作の歴史的作品と言えるでしょう。
ただしオープニングで無声のモノローグが数行あるので今回の記事では少し反則気味の選択となりましたことバール片手にお詫び致します…!
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いかがでしたか?その他今回は取り扱いませんでしたが喋らない主人公は『Grand Theft Auto III』の「クロード」なども居ますし(以降の主人公は喋りまくるようになったのでかえって貴重です)皆さんも喋らない主人公採用作品でオススメの作品があればSNSやコメント欄で是非お教え願えれば幸いです。
なお『S.T.A.L.K.E.R. Shadow of Chernobyl』のマー君こと「Marked One」はたった一言「北へ…」とカットシーンで言ってしまうので外し『BioShock』のジャックもまたオープニングで声付きモノローグを行うので除外しました点におかれましてはマカロフとレンチ片手にお詫び致します…それでは皆様、時には雄弁に語りまた時には寡黙に振る舞う楽しきゲームライフを!