次の仕掛けは?任天堂の動向注目 「Switch」動画は肩すかし…見守るファン

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任天堂が来年3月に発売する新型ゲーム機「NintendoSwitch(ニンテンドースイッチ)」。
同社が今年10月に配信したコンセプト映像は、期待していたファンや投資家にとって“サプライズ”のない内容だったようだ。
ただ全容はまだ明らかにされていない。
発売までに任天堂が何か仕掛けてくるのか、注目が集まっている。
(大島直之)
任天堂は10月20日午前10時すぎ、その日の夜に新型ゲーム機の概要を映像で配信すると発表。
期待は一気に高まった。
任天堂株価は急騰し、この日の終値は前日終値比で870円(3・3%)高の2万6950円となった。

同日午後11時に配信された映像は約3分間。
コントローラーの左右のパーツを取り外して本体に取り付けると携帯型ゲームになるのが最大の特徴。
飛行機ではタブレット端末、タクシーでは携帯型、家では据え置き型と様々な場面で遊べる様子が紹介された。
近くの人と通信しながら遊んだり、左右2つのコントローラーを二人で分け合って遊ぶこともできる。

ニンテンドースイッチに関する情報はこれがほぼすべてだ。
肝心の価格は明らかにされなかった。
新型ゲーム機が「据え置き型と携帯型とのミックスタイプ」ということは、ゲームファンや投資家らの間ではある程度予想されており“サプライズ”はなかったといえる。
期待が大きかっただけに投資家の落胆は大きかったようだ。
配信から一夜明けた同21日、任天堂株価は朝から急落。
1765円(6・5%)安の2万5185円となった。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、映像について「任天堂が得意とするのは子供、ファミリー向けのゲームなのに、コア(熱狂的)なゲームファンを意識した内容だった」と指摘。
任天堂の方針は微妙に変化しているのかもしれない。

任天堂のライバルは、コアなファン向けにハイテク化に突き進んでいる。
9月に千葉・幕張メッセで開かれた世界最大級のゲーム展示会「東京ゲームショウ2016」では、各社が仮想現実(VR)をテーマに据えた。
また、ニンテンドースイッチの映像が配信される直前には、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、ゴーグル型のVRゲーム端末「プレイステーション(PS)VR」を発売している。

任天堂はゲーム機の高性能化よりも斬新な「遊び方」を追求してきた。
実際、君島達己社長は10月26日の決算記者会見で「従来の延長上にあるのではない」と強調している。
ただ、新しいコンセプトを提案したウィー・ユーは伸び悩んだ。

エース経済研究所の安田アナリストは「ウィー・ユーで失敗した、ソフト不足を解消できるかがポイント」と指摘。
一方、ソフトを提供するカプコンの野村謙吉取締役専務執行役員は「新しいゲーム機は普及にある程度の時間が必要。
早くビジネスベースに乗ってもらいたい」と話す。
ゲーム機が売れるかどうかはソフト次第で、ソフト会社が力を入れるかどうかはゲーム機の売れ行きに左右されるというわけだ。

任天堂としてはスイッチの価格を抑えて普及率を高め、その後のソフト販売で稼ぐという戦略も考えられるが、君島社長は「赤字でいいとは思っていない」と、ゲーム機単体での採算性も重視する姿勢だ。
任天堂は来年1月にも体験会を開き、価格やスペックなどを詳細を公表する。
今度こそサプライズがあるのか、ファンや投資家らがかたずをのんで見守っている。

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