ガチャ、ポケモン、マリオ 「スマホゲームとカネ」で振り返る2016年
2016年は、「ガチャ問題」に始まり、「Pokemon GO(ポケモンGO)」「スーパーマリオラン」など、スマホゲームが盛り上がった1年でした。
いずれも各メディアで大きく取り上げられたトピックでしたが、その一連の流れをいま一度振り返ってみたいと思います。
●「ガチャ課金」が社会問題に
しばしば話題になるスマホゲームの「ガチャ問題」。
2016年は、Cygamesが運営する「グランブルーファンタジー」のガチャイベント炎上に始まり、各企業が業界団体の定めるガイドラインを徹底順守する意向を示しました。
炎上の原因は、「アンチラ」というキャラクターの出現率が非常に低かったことや、その旨の表記もなかったことなどでしたが、これはグラブルに限らず、他のスマホゲームにも共通するユーザーの不満でした。
これを受け、日本オンラインゲーム協会(JOGA)およびモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は、これらの問題解決に向けて連絡会を作り共同で取り組んでいくと3月に発表しています。
一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(以下、CESA)も、「全ガチャアイテム提供割合表示」を原則とする同様のガイドラインを4月に制定しましたが、いずれも強制力はないため、順守する範囲は各企業に委ねられていました。
しかし、「未成年者が保護者のスマホで多額の課金をしてしまった」「10万円以上課金して得たキャラクターが運営により一方的に弱体化してしまった」などの消費者の声を受け、9月には内閣府消費者委員会本会議で、「オンラインゲームに関する消費問題について」という議題で意見が述べられました。
これは、ガチャのレア当選率やアイテム取得までの推定金額をユーザーに示すことをゲーム業界に求めるもので、ガチャが賭博罪に該当する可能性についても言及されました。
ガチャを巡る問題は簡単に解決できるものではありませんが、企業・ユーザー共にこれらの点を踏まえた行動が求められます。
●「ポケモンGOブーム」の表と裏
米Nianticが開発した位置情報ゲームのポケモンGOが日本で配信され、約半年がたちました。
「全世界のポケモンGOプレーヤーが歩いた距離の合計は87億kmにも達し、全プレーヤーが捕まえたポケモンの総数は880億匹を超えた」という同社の発表からも、その人気っぷりがうかがえます。
リアルの世界にポケモンたちが出現するAR(拡張現実)を利用していることもあり、ポケモンGOをきっかけで外出する人が増えたり、被災地にレアポケモンを出現させて観光客を誘致したりと、私たちの生活に少なからず変化を与えてくれました。
宮城県は、ラプラスが出現しやすくなったことで、同県石巻市に10万人の観光客が訪れ、約20億円の経済効果があったと発表しています。
また、過度な課金をせずともヘビーに遊べるように設計されていることも、評価されているポイントの1つです。
一方で、“ポケモンの巣”と呼ばれる公園に昼夜問わず人が殺到したり、運転中にポケモンGOをしていたドライバーが交通事故を起こしたり、歩きスマホによる事故が増えたりと、社会問題も大きく取り上げられました。
年内には「トゲピー」「ピチュー」などの新ポケモンの追加もありました。
「ポケットモンスター 金・銀」に登場する他のポケモンたちの追加やApple Watchへの対応など、まだまだ楽しみな発表が控えています。
●「マリオラン」が示した買い切り型
任天堂は12月16日、App StoreでiOS向けゲーム「スーパーマリオラン」の配信を開始しました。
マリオシリーズ初のスマホゲームということで、配信前からユーザーの注目を集め、配信当日もTwitterで「マリオラン」がトレンド1位になるほどの人気でした。
スーパーマリオランは、横スクロール型のアクションゲームで、コインを集めたり敵を倒したりしながら、制限時間内にゴールまで進むというシンプルな内容です。
スマホの画面をタップするとマリオがジャンプし、片手操作ができるのが特徴です。
特に世間の注目を浴びたのが、その価格設定です。
多くのスマホゲームが、「基本無料+追加課金」という売り方を選ぶ中、スーパーマリオランは、「ダウンロードと一部プレイは無料で、全ステージを遊ぶには1200円(税込)」という「買い切り型」を採用しました。
これに対し、最近のスマホゲームに慣れたユーザーからは「1200円は高い」「無料でプレイしたい」という声があった一方で、家庭用ゲームなどに親しんでいる従来のユーザーからは「家庭用ゲームに比べれば全然安い」「無料でゲームができるという前提がおかしい」などの意見も挙がりました。
先述したように、今年の初めにはガチャ課金が社会問題化しました。
今は、物心ついた頃からスマホやタブレットに触れるのが当たり前の時代になっています。
「スマホゲームとお金」に関する話題は来年も注目を浴びそうです。