任天堂スイッチ、臨場感増す新機能 問われる真価、10年前の“旋風”再現なるか
任天堂は13日、新型ゲーム機「NintendoSwitch(ニンテンドースイッチ)」を3月3日に、日本、米国、欧州主要国などで発売すると発表した。
日本での価格は2万9980円(税別)で、新型ゲーム機の投入は約4年ぶり。
スマートフォン向けゲームの市場が広がる中、ゲーム専用機ならではの魅力を打ち出せるかが注目される。
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◆緻密な振動で臨場感
都内で開催された発表会で君島達己社長は「プレースタイルを多様化する新しい据え置き型ゲーム機だ」とアピールした。
テレビとつないで遊べるほか、ゲーム機自体に画面があり、持ち歩いて移動先などでも遊べることを指す。
発表会で明らかにされたのは、スイッチのコントローラー「ジョイコン」に搭載された「HD振動」という新機能。
これは、緻密な振動により、コントローラーを握っている手にさまざまな感触を伝えることができるものだ。
「グラスの中で氷が揺れている」と感じさせる臨場感を表現できるという。
こうしたジョイコンの表現力を生かした「ワンツースイッチ」というソフトでは、ガンマンになりきって早撃ちを競ったり、牛の乳搾りを疑似体験できるという。
担当する任天堂の河本浩一氏は「パーティーの定番、コミュニケーションのきっかけになる」と強調。
他にも、ジョイコンの前にかざした手までの距離を測ることができるなど、これまでにないゲームを提供できる工夫がしてある。
ゲーム雑誌「ファミ通」を発行するカドカワの浜村弘一取締役は「任天堂らしいユニークなゲーム機。
かつてのWii(ウィー)の市場を取る狙いがあるのだろう」と話した。
◆巻き返しを期待
2006年に発売されたWiiは、コントローラーを振るなど感覚的な操作を前面に出して、それまでゲームに関心がなかった層を開拓し、累計で1億台超を売る大成功を収めた。
一方で12年に発売した「WiiU(ウィー・ユー)」は、Wiiとの違いが出せず、任天堂以外のソフトメーカーからのゲームも少なく、販売台数は1336万台にとどまっており、スイッチには巻き返しへの期待がかかる。
発表会では、人気シリーズ「ゼルダの伝説」の最新作を3月3日に「スーパーマリオ」の最新作を今冬に発売するなどの予定が明らかにされた。
約50社が80タイトルのゲームを開発中という。
スイッチの発表会は東京株式市場の取引時間中に行われたが、任天堂株は売り込まれ、株価は前日比で一時6.3%安まで下げた。
これは発表会で「サプライズ」が少なかったためとみられる。
新たに搭載した独自機能を生かした魅力的なソフトを提供し、約10年前に任天堂が巻き起こした“旋風”を再現できるか、ゲーム業界を主導してきた任天堂の真価が問われそうだ。
(高橋寛次)