米国立公園に「ポケモンGO」効果、若者が殺到
米国の国立公園は長年、年配の人たちと比べてあまり公園を訪れないハイテク好きの若者を引きつけようと腐心してきた。
それが今「ポケモンGO(ゴー)」のおかげで突如、若い人たちであふれかえっている。
ワシントンDCにあるナショナルモールと記念公園の解釈・教育部門責任者を務めるポール・オリグさんによると、スマートフォンを手にした「何千人とは言わないまでも何百人」もの人たちが週末にかけてデジタルモンスターを捕まえようと押し寄せたという。
ポケモンGOは先週米国で配信が開始され、熱狂的人気を呼んでいるスマホゲームだ。
カンザス州のフォート・スコット・ナショナル・ヒストリック・サイトからノースカロライナ州のムーアズ・クリーク・ナショナル・バトルフィールドに至るまで、ポケモンハンターはその他の国立公園にも殺到している。
ムーアズ・クリークでは地元ペンダー郡の観光局職員が、かわいらしいモンスターを「たくさん」見かけたと報告していた。
株式会社ポケモンと任天堂との提携でポケモンGOを開発するナイアンティックは、多くの公共の場に仮想のポケモンを配置している。
現在までのところ、ビルの中庭から噴水まであらゆる場所で700匹以上が発見されている。
既に訪問者であふれる公園の管理者はおおむね新たな注目を歓迎しているが、周囲の実世界に潜む危険を認識するようポケモンプレーヤーに注意喚起している。
国立公園局のジョナサン・ジャービス局長は12日、フェイスブックに投稿し、「飛んだり、泳いだり、はい回ったりしている生物を画面で探しているうちに道を踏み外したり、公園にいる本物の野生生物にぶつかったりしないように」と呼びかけた。
公園当局者はまた、ベトナム戦争戦没者慰霊碑などのデリケートな場所ではポケモン探しを控えるよう求めている。
新たな訪問者を歓迎していない人もいる。
ルイジアナ州シュリーブポートで医療業に携わるケン・ポーロビックさん(65)は、ポケモンハンターは国立公園の美しさや楽しさを見逃していると話す。
「わざわざ国立公園に来てまでiPhone(アイフォーン)を見つめて何かを探し回るなんて信じられない」とポールビックさんは指摘する。
しかし、オリグさんはこれをゲームをしながら国立公園について学んでもらう絶好の機会ととらえている。
実際ナショナルモールでは今週末、教育と娯楽を目的としたパークレンジャーと行くポケモン探しを企画している。
「桜の木やタイダルベイスン(人工湖)などについて話すつもりだ」とオリグさん。
オリグさん自身もゲームをダウンロードしており、現在までのところプリンやズバットといったポケモン十数匹を捕まえたという。