ポケモンGO“狂想曲” 悲喜こもごもの一端をライターがレポート

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今月22日、満を持して日本での配信がスタートしたスマートフォン用ゲームアプリ『ポケモンGO』。
都内近郊を巡ってみても、老若男女がスマホを片手に歩き回る光景をやたらと見かける。
かくいう筆者も配信開始と共に、仕事のかたわらでやり続けてみた1人だ。
その間、様々な悲喜こもごもを感じたのも事実であるが、ここ1週間ほどで体感したものをレポートしていく。

「ポケットモンスター」フォトギャラリー

本アプリは、任天堂と位置情報ゲームアプリのヒット作「Ingress」を手がけたナイアンテック社の共同開発によるもの。
プレイヤーはアプリ内の地図上でポケモンを捕獲し、さらに、育成したポケモンを地図上の「ジム」で対決させることもできる。

さて、振り返れば小中学生の頃。
初代ポケモンにどストレートでハマった32歳である筆者も、例外なくそのリリースを待ちわびていた。
配信開始から4日間でゲットしたポケモンは70匹ほど。
上には上がいるのというのは重々承知の上だが、今でも道中では、常にアプリを起動しっぱなしにせずにはいられないほどだ。

今月26日、ネット市場のリサーチを手がけるMMD研究所が発表した、15歳から69歳の男女1949人を対象にした『ポケモンGO』にまつわる調査結果によれば、アプリの認知度は92.6%。
プレイ率では「ダウンロードしてプレイしたことがある」が39.0%で、その内訳は最も高いのが15歳から19歳の51.2%、60歳から69歳でも15.3%だった。

話題性といってしまえばそれまでだが、例えば、全種類を言えなくともピカチュウと聞けば「ポケモンでしょ」と分かるように、世代を超えて愛される作品でもあるのも伝わってくる。
実際の配信後、初日から印象的だったのはポケモンをきっかけに街中が人で溢れていたことだ。
筆者の自宅近くにある、ふだんはほとんど人が訪れないようなごくふつうの公園にすら、たくさんの人たちが押し寄せていたほどである。

じつは、アプリ内では「ルアーモジュール」と呼ばれるアイテムがある。
モンスターボールなどのアイテムや経験値が手に入る地図上のマーカー「ポケモンストップ」(ポケスト)に誰かが設置すると、30分間、その周囲ではポケモンが寄り付きやすくなるという効果がある。

ルアーモジュールを使うと、アプリ内ではポケストの周囲に桜が舞い始める。
その合図をきっかけにたくさんの人たちが群がるのだが、先の公園でも、夜遅くにも関わらず若者のグループやカップル、自転車に乗ったおじさんが次から次へと訪れ、やれ「ゼニガメが出た!」と喜びの声を上げたり、やれ「何だよ、またポッポかよ……」と落胆する声も聞かれたりとわきたっていた。

さらに、配信から3日目。
たまたま予定がありディズニーシーを訪れたのだが、園内は人気コンテンツ同士の共演によりさながら“カオス”の様相を呈していた。
道行く人たち、そして、アトラクションを待つ人たちはどこもかしこもスマホを眺めるという光景。
通りすがりにチラッと覗いてみるとやっぱり『ポケモンGO』で、待ち時間でも話題にする人たちが多かった。

いざショーやパレードが始まると、当然ながらみんなの視線は主役たちへと注がれる。
しかし、スマホの振動により近くでポケモンが見つかったと分かるやいなや、スマホの画面を見つめるという、若干「何じゃこりゃ」と思えるような状況だった。

ただ、あえて皮肉を言うとするならば、これほどまでにバッテリーの消耗に怯えたことがあるのかというほどに電池切れが怖い。
先のディズニーシーでは、15時から入園可能な「スターライトパスポート」を使ったのだが、22時過ぎに帰りの電車へ乗った時点でまさかの携帯用バッテリーが電池切れになるという初めての体験もした。
実際、先のMMD研究所によるアンケートでも、経験者の67.9%が「バッテリーを消耗する」と感じたという。
現状、アプリを起動したままでなければ楽しめないのが、少々ネックではある。

しかしながら現在、メディアでは『ポケモンGO』についての功罪両面が伝えられているが、個人的には、ポケモンと共に街へ出るきっかけになるというのはじゅうぶんなメリットだと思うのだ。
ポケストや桜の舞う場所を探すため、また、ポケモンのたまごを孵化させるために歩く必要もあるのだが、日頃行かないような街のスポットに気付けたりと、新たな発見も楽しい。

スマホを見ながら歩いてはいけなかったり、心から楽しむためには注意しなければならない部分もあるが、もしまだ未体験ならば今からでも遅くない。
ポケモンマスターを目指して、街を歩いてみた先にはきっとワクワクする何かが待っているはずだ。
(文:カネコシュウヘイ)

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