第5回:VENI, VIDI, VICI!「III号突撃砲F型」を「WoT」で動かす

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アニメ「ガールズ&パンツァー」(以下、ガルパン)とオンライン戦車アクションゲーム「World of Tanks」(以下、WoT)のコラボ連載。
今回は大洗女子学園の戦車から、カバさんチームが操る「III号突撃砲F型」をご紹介する。

数ある登場戦車の中で、主役となる「IV号戦車D型」の次に「III号突撃砲F型」を紹介するのは、“歴女チーム”ことカバさんチームが私の1番のお気に入りだからだ。
歴史好きが集まったチームメンバーはみな知的でユーモラスだし、苦しい時にも勇敢さを失わない明るさ(楽天的とも言えるが)が魅力的。
隊長である西住みほの指示を的確に遂行する戦車運用も素晴らしく、試合でもたびたび敵を撃破する活躍を見せる。
キャラクターは変なのに、戦いになると頼りになる、実に男前なチームだ。

彼女らが操る「III号突撃砲F型」もまたユニークだ。
ぱっと見て「平たい」という印象を持つ車体は、回転砲塔を持たず、素人目には戦車らしくない印象もある。
しかし試合では、その隠れやすい形状を活かして意外な場所からの砲撃を得意とし、まるで忍者のような大活躍を見せる……かと思えば、のぼりを立てて走ったことで相手に位置を知られてやられたりもする。
やられ時まで印象的なのがまたいい。

「WoT」においては、攻撃力に特化した駆逐戦車のカテゴリーに登場する。
「IV号戦車D型」のような回転砲塔がある戦車とは、運用方法がかなり違ってくる。
突撃砲とは、駆逐戦車とは何なのか、というところも含めてお話ししていきたい。

■突撃砲は戦車じゃない? 駆逐戦車とも違う?
「III号突撃砲F型」は、ドイツの「III号戦車」をベースに歩兵支援のために開発された。
当初は砲兵が操る自走砲として開発されたが、戦争において徐々に戦車戦が増えてきたことに対応するため、貫通力に優れる長砲身の砲に変更。
対戦車戦闘を主とした駆逐戦車としての運用へと変わっていった。

突撃砲という名前については、元々運用していたのが戦車部隊ではなく歩兵支援を担当する砲兵部隊であり、そこが突撃砲と名付けた。
回転砲塔を外して軽くなった分だけ装甲を厚く、かつ強力な砲を搭載できると同時に、構造がシンプルで生産性もよいという利点があり、重宝された。
その良さに戦車部隊も気づいて、同じように旋回砲塔を持たない車体を作り、それらは駆逐戦車と呼ばれることになった。
要するに、突撃砲と駆逐戦車は出自が違うだけで、結果的に同じようなものができあがっている。

元々は自走砲であり、戦車部隊が扱ったものではないので、突撃砲は戦車ではないという考え方もある。
とはいえ最終的には戦車部隊も駆逐戦車を扱うわけで、分類にはさほど意味はない。
そういった事情から、「WoT」では突撃砲も駆逐戦車も、全て駆逐戦車のカテゴリに収められている。

ちなみに「IV号戦車」をベースにした「IV号突撃砲」もあるが、別に「IV号駆逐戦車」も存在する。
砲塔がないことや用途が対戦車戦であることは同じだが、出自が違う全く別の車体だ。
ややこしい。

■「III号突撃砲F型」と同等の「StuG III B」を入手
「III号突撃砲F型」は、「WoT」ではTier4の駆逐戦車「StuG III Ausf.B」(以下、StuG III B)として登場する。
Tier5の駆逐戦車「StuG III Ausf.G」(以下、StuG III G)もあり、PC版「WoT」における「ガルパン」コラボ公式MODではこちらをコラボ車輌としているのだが、外見的には「StuG III B」の方が近く、主砲やエンジンの構成も「StuG III B」で同等のものが実現できるので、本稿では「StuG III B」を紹介することにする。

「StuG III B」の入手ルートは1つのみ。
Tier2から駆逐戦車を操ることになる。
Tier4の「Marder 38T」の後、同じTier4の「Stug III B」を研究する。

[Tier1軽戦車]LTraktor → [Tier2駆逐戦車]PzJg I → [Tier3駆逐戦車]Marder II → [Tier4駆逐戦車]Marder 38T → [Tier4駆逐戦車]Stug III B
Tier2の「PzJg I」からTier4の「Marder 38T」まで、いずれも砲は高精度で貫通力もあるが、装甲が薄いという似た特性がある。
駆逐戦車の中には分厚い前面装甲を持ち、真正面からガンガン撃ち合いができる重駆逐戦車があるが、ここで扱うのは装甲が薄めの軽駆逐戦車と言える。
攻撃力はそれなりにあるとはいえ、敵に見られた状態での撃ち合いはなるべく避けたい。

足はそれなりに速いので、早めにポジション取りして敵を待ち伏せるのが基本となる。
見つからないように撃つのが重要なので、単独で前に出すぎないこと。
また側面装甲が極めて薄いので、側面から撃たれない、あるいは見つかったらすぐ逃げられるポジション選択が重要だ。
真横に回り込まれれば砲塔がない駆逐戦車は太刀打ちしようがなくなるので、拡大鏡ばかり見ないで周囲の確認もしておきたい。

また注意点として、無線の範囲があまり広くないというのもある。
味方と離れすぎると活躍しにくくなるので、あまり離れた場所で動かず待つのではなく、味方に合わせてある程度ポジションを変えていく柔軟性も求められる。
これらは軽駆逐戦車には常に求められるスタイルなので、練習のつもりで運用してみるのがいいだろう。

ちなみに「StuG III G」は、「StuG III B」の次に開発できるが、他にTier4駆逐戦車「Hetzer」を経由するパターンもある。
「Hetzer」はカメさんチームが操る「38(t)改(ヘッツァー仕様)」として「ガルパン」に登場するので、ファンは好みのルートで獲得していただきたい。

[Tier1軽戦車]LTraktor → [Tier2駆逐戦車]PzJg I → [Tier3駆逐戦車]Marder II → [Tier4駆逐戦車]Marder 38T → [Tier4駆逐戦車]Stug III B → [Tier5駆逐戦車]Stug III G

[Tier1軽戦車]LTraktor → [Tier2駆逐戦車]PzJg I → [Tier3駆逐戦車]Marder II → [Tier4駆逐戦車]Marder 38T → [Tier4駆逐戦車]Hetzer → [Tier5駆逐戦車]Stug III G

[Tier1軽戦車]LTraktor → [Tier2軽戦車]Pz.35(t) → [Tier3軽戦車]Pz.38(t) → [Tier4軽戦車]Pz.38 nA → [Tier4駆逐戦車]Hetzer → [Tier5駆逐戦車]Stug III G
■ワンランク上の火力を備えた駆逐戦車「StuG III B」
「StuG III B」は、前段階の「Marder 38T」に比べて側面の装甲が30mmに強化されている。
前面は50mmあり、Tier4の車輌としては悪くない。
ただし駆逐戦車の特性上、ほぼ真正面を向いて撃たねばならないため、車体を斜めに向ける避弾経始は働きにくく、数字よりも頼りない。
また横や後ろに回られると装甲厚以前に何もできなくなるので、装甲は期待しない方がいい。

砲塔がなく、車高が低いこともあり、敵から見つかりにくいのが特徴。
「ガルパン」で潜んで撃つスタイルが多いのは、車輌の性能を考えてのものだ。
足回りも良好で、移動や旋回はさほど苦労しないで済む。
装甲と移動性能のバランスがよく、手触り的には“中駆逐戦車”とでも言うべき印象だ。

「ガルパン」に登場する「III号突撃砲F型」は、主砲が「75mm StuK40 L/48」、エンジンが「マイバッハHL120TRM V型」となっている。
プレイステーション 4版で「StuG III B」のパッケージを見ると、「StuG III Ausf.F/8」が同じエンジンを搭載し、主砲にほぼ同型となる「7.5cm PaK 39 L/48」を搭載している。
唯一惜しいのは、正面50mmの装甲が「III号突撃砲F型」では最大80mmとなっているところくらいだ(「StuG III G」は正面80mm)。

「7.5cm PaK 39 L/48」は、前回紹介した「Pz.IV H(IV号戦車H型)」が搭載していた「7.5cm Kw.K. 40 L/48」とほぼ同じ性能を持つ。
「Pz.IV H」はTier5の中戦車なので、「StuG III B」は1つ下のTier4で同等の主砲が扱える。
これが駆逐戦車の強みだ。
貫通力が110mmと高く、上位のTierの車輌も貫通を狙っていける。
精度も高いので、貫通しづらい相手には履帯などの弱点を狙っていくのも手だ。

「ガルパン」の場合、「III号突撃砲F型」の活躍シーンは序盤からいくつもある。
聖グロリアーナ女学院の「マチルダII 歩兵戦車 Mk.III/IV」、サンダース大学付属高校の「M4シャーマン 75mm砲搭載型」、プラウダ高校の「T-34/76」と「KV-2」、黒森峰女学園の「パンターG型」と「IV号駆逐戦車/70(V)ラング」と撃破が並ぶ。
さらには劇場版では、大学選抜チームの「M26パーシング」まで撃破している。

このうち「WoT」では、「パンターG型」がTier7「Panther」、「M26パーシング」がTier8「M26 Pershing」となっておりマッチングしないが、他はTier4から6なのでマッチングする。
装甲で見ると、「IV号駆逐戦車/70(V)ラング」となるTier6「JagdPz IV」の前面80mmが最も厚いため、どの相手でも角度と距離が悪くなければ貫通できる性能がある。
ただし「ヘッツァーのお兄ちゃんみたいなやつ」である「JagdPz IV」は傾斜装甲なので、正面から撃っても貫通できない可能性が高い。

もし貫通できたとしても、単発の威力はそれほど大きいものではないため、1発で撃破できることはまずない。
Tier6の「KV-2」のようにタフな相手だと、10発近くの貫通弾が必要になる。
いくら装填が遅い「KV-2」でも10発分は待ってくれないので、相手に見られている状態で撃ち合わないようにしたい。

「StuG III B」にはもう1つ優秀なパッケージ「StuH 42(Sd.Kfz 142/2)」がある。
違いは砲が「10.5cm Stu.H. 42 L/28」になること。
これも「Pz.IV H」が扱える10.5cm砲とほぼ同等のもので、強力な榴弾を扱える。
同格のTier4であれば、ほとんどの敵を1発で撃破できる可能性を秘めた強力な砲だ。
徹甲弾も使用できるが、貫通力が低くあてにならないので、全て榴弾にしておく方がいい。

欠点も「Pz.IV H」の10.5cm砲の榴弾と同じく、装填時間が延び、弾速が遅くて当てにくく、精度が下がり精密射撃がしづらい。
遠距離の敵は照準が絞れるまで可能な限り待って撃たないと、あらぬ方向へ射出された後、長い装填時間を待つことになる。
隠れた状態から射撃することで敵に発見されるリスクもあるので、精度が悪くとも百発百中を狙うつもりで焦らず撃ちたい。

「7.5cm PaK 39 L/48」と「10.5cm Stu.H. 42 L/28」は、どちらが優れているというものではない。
ただ「StuG III B」自体が正面切って戦う車輌ではなく、隠れ潜んだ状態から撃つスタイルなので、「Pz.IV H」のように運用方法が大きく変わることはない。
安定した性能の手数で押すか、単発高威力で行きたいかというだけのことだ。

■潜んで待って一撃必殺! 射撃と位置取りのセンスが求められる
「StuG III B」を含め、駆逐戦車は砲がほとんど左右に動かせない代わりに、強力な砲を備えているものが多い。
そのため、旋回砲塔を持つ戦車とは異なる戦い方が求められる。

旋回砲塔がないことで最も困るのは、障害物などから飛び出して撃ち、戻るという動きが非常に難しいこと。
市街地戦では頻繁に起こることだが、砲を横に向けられないため、いったん相手に身を晒してから旋回して敵を狙うことになる。
これではいい的になってしまうので、おすすめできない。

理想的なのは、弾を通さない障害物ではなく、木や草など姿を隠すだけのものを活用すること。
敵に見つかる前に攻撃を仕掛けられるかどうかが重要だ。
見晴らしのいい場所に、いい角度で木を倒して、木の葉に隠れて待つのが定番だ。
また見つかったら前後移動だけで姿を隠せるよう、地形の凹凸を利用できるのが望ましい。

「StuG III B」は隠蔽率が高いため、敵から見つかりにくい。
とはいえ最前線で敵と接近すれば発見されてしまうし、横に回られたら相手が何であれ反撃手段がないので危険だ。
定位置は最前線ではなく、味方よりも少し後ろ。
味方が見つけてくれた敵を素早く攻撃して潰していくという連携が重要になる。

ただし「StuG III B」は無線がやや弱いので、弱気になってあまり後ろで構えると、味方が見つけてくれた敵の位置もわからなくなる。
前方にいる味方の位置と、戦っている敵との距離を考えながら、自分が見つからない距離と位置を意識してポジションを変えていくのも重要だ。
そうでなくとも、ずっと同じ位置にいると、敵も「この辺りにいるんじゃないか」とヤマを張って撃ってくることもあり危険だ。
特にいったん発見されたら少しでも移動しないと、敵の自走砲が積極的に狙ってくる。

味方の索敵に期待しつつ、見晴らしがよくて姿を隠せる木々もある場所を確保し、自分の逃げ道も意識する。
味方の状況によって待ち伏せ場所も柔軟に変える。
1人になれば真正面からの撃ち合いしかできないので、味方とどう連携していくかを常に考えておくことが大切だ。

そういった戦い方からパーツ等を考えると、「迷彩ネット」で見つかりにくくするのは必須。
静止時の視界を広げる「双眼鏡」も相性がいい。
その上で、「装填棒」や「改良型射撃装置」で火力を上げる方向を考えるのがいいだろう。

アイテムは「修理キット(小)」が必携。
履帯をやられたら旋回ができなくなり、敵がちょっと横に動いただけでもう狙えなくなる。
お互いに発見している状態でこうなれば確実に負けるので、通常の戦車以上に履帯は重要だ。

搭乗員スキルは「隠蔽の達人」で隠れている時により見つかりにくくし、「弱音射撃」で攻撃しても発見されにくくなることで、攻撃しやすくなるので相性抜群。
さらに「第六感」があれば、見つかった時のリカバリーもできてより安全だ。

旋回砲塔がある戦車と比べて、潜んで撃つという点に特化している分、状況の変化に対応するのが難しい。
数的不利になるとその分だけ味方の視界に頼れなくなり、最前線の味方がどんどんやられ、最後は駆逐戦車と自走砲だけが残る……というのが典型的負けパターン。
試合後半に個人技で挽回するのも難しい車輌なので、いかに序盤で頑張って敵を倒し、最前線の味方を楽にしてあげられるかがポイントだ。
要は車体に書かれた「VENI, VIDI, VICI(来た、見た、勝った)」を体現せよということである。

次回はカモさんチームが搭乗する「B1bis」を紹介する。
「ガルパン」本編では、フランスをモチーフにした高校が登場しない(トーナメント表に「マジノ女学院」などの名前は見える)中で、「B1bis」は貴重なフランス戦車である。
PS4版「WoT」ではアップデートでフランス戦車が実装されたばかりでもあるので、その点も合わせてご期待いただきたい。

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