『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』を鈴木裕氏と中裕司氏の2大クリエイターが熱く語る
●デビュー作に対する思いなどを……。
セガ往年の名作を3D立体視化して蘇らせる、セガゲームスのニンテンドー3DS向け人気シリーズの第3弾『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』。
2016年12月22日の発売以降、熱心なゲームファンを中心に高い支持を集めている同作だが、ここでは“新春特別企画”として、同作に関わりを持つ、鈴木裕氏と中裕司氏のコメントをお届けしよう。
鈴木裕氏と中裕司氏と言えば、セガにて数々の名作を手掛けてきた、いわば“レジェンドクリエイター”。
『セガ3D復刻アーカイブス』にも両氏の手になるソフトが多数収録されている。
本作の連動要素として、『1』と『3』を購入していれば鈴木裕氏の『チャンピオンボクシング』が、『2』と『3』で中裕司氏の『ガールズガーデン』をプレイできることはご存じのとおり。
『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』の開発が佳境なりしときに、シリーズプロデューサーの奥成洋輔氏が、開発元であるエムツー代表の堀井直樹を「アイデアの元は、裕さんと中さんのサイン入り3DS本体をプレゼントするキャンペーンをやったことなんです。
これがじつに輝いていて。
やはり1980〜90年代のセガを振り返るときに、このふたりは外すことはできないし、しかもデビュー作はSG-1000。
そこでハリアーがパッケージを飾った『1』と『3』の連動で『チャンピオンボクシング』が、ソニックがいる『2』と『3』の連動で『ガールズガーデン』が出現するという仕組みはどうだろう」と、言って口説いた経緯などは、ファミ通.comのインタビュー記事をご確認いただくとして、ここはやっぱり鈴木裕氏と中裕司氏にコメントをいただきたい!とお願いしたところ、快くご回答いただくことができたのでした。
というわけで、以下にお届け。
“セガ3D復刻プロジェクト”の集大成となる『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』開発顛末を開発者たちに聞く
−−−−−−−−−−
■鈴木裕氏
『セガ3D復刻アーカイブス3 FINLA STAGE』に前作ユーザー特典として収録された、『チャンピオンボクシング』について、現代の環境でユーザーがプレイすることに関して率直なご意見、ご感想をお聞かせください。
鈴木僕のデビュー作が『ハングオン』だと思っている人が多いのですが、そのままにしておきたかったです(笑) 30年前のゲームとはいえ、動きや音にかなり制限があるので、ノスタルジーを感じるというより、恥ずかしさが先に立ちます。
過去は美化されると言いますが、改めて見るとショックです。
『チャンピオンボクシング』について、いまだから言える当時の開発秘話を教えてください。
鈴木1983年にセガに入社して、異例にも1年後にプロジェクトリーダーのチャンスをいただきました。
はじめは、3人のチームだったと思います。
プログラムのヘルプと、グラッフィクスデザイナーと僕の3人です。
当時のセガは、最低でも7年下積みをした企画の人だけが、プロジェクトリーダーになれるということを聞いていたので、1年目にこのチャンスをいただけたことや、プログラマで初めてプロジェクトリーダーに抜擢されたことに驚きました。
“セガ3D復刻プロジェクト”は、過去タイトルに3D立体視による新たな解釈と、モード追加による新たなプレイング体験をもたらすのが特徴のシリーズです。
本シリーズの取り組みについて、どのようなご意見、ご感想をお持ちですか?
鈴木『ハングオン』、『スペースハリアー』、『アウトラン』、『アフターバーナー』などは2Dのゲームですが、内部的にはすべて3Dの計算をしています。
この時代に3Dの表示ができるボードがなかったので、表示部分だけを2Dで行っていました。
3D立体視という新しい技術を使って、生まれ変わる私の作品をとても楽しみにしていつも見守っています。
“セガ3D復刻プロジェクト”のタイトルのうち、ご自身が手がけた作品で特に印象深いものと、その理由について教えてください。
鈴木どの作品も思い出が多いので、ひとつに絞るのが難しいです。
3D立体視にもっともマッチングのいいゲームは、『スペースハリアー』ではないかと思います。
ファンタジックな世界観、強い遠近感と爽快なシューティングが、3D立体視に非常にマッチすると思います。
“セガ3D復刻プロジェクト”シリーズ全29作に、もう1本足すとしたら、どのタイトルを3D立体視で復刻したいですか?また、その理由も教えてください。
鈴木『ハングオン』です。
私にとってもセガにとっても初の体感ゲームで、もっとも思い入れの深いゲームでもあります。
今年は2017年ですが、2018年はメガドライブ30周年、2019年はドリームキャスト20周年です。
それぞれに対する思いや、いまのセガに期待することを教えてください。
鈴木現在、『シェンムーIII』を製作中で、『I』、『II』のチェックのため、日々ドリームキャストは稼動中です。
ディスクを読むヘッドがギーギー音を立てて、一生懸命動く様子に、声援を送りたくなります。
いま考えても、バランスのよい、愛すべきゲーム機だと改めて思います。
コンシューマーハードをまた作ってほしいな……(笑)。
2017年の抱負をお願いします。
鈴木20年経ったいまも、昔も、変わらぬ気持ちで『シェンムー』を作っていきたいと思います。
※『シェンムーIII』公式サイト
−−−−−−−−−−
■中裕司氏
『セガ3D復刻アーカイブス3 FINLA STAGE』に前作ユーザー特典として収録された、『ガールズガーデン』について、現代の環境でユーザーがプレイすることに関して率直なご意見、ご感想をお聞かせください。
中映画などで、好きな映画を見つけてその監督の初期の作品をみたいなと思うと、DVDなどで見られることがあると思いますが、ゲームではそういったことが難しいと思いますので、こういうふうに復刻していただけるのはとてもうれしいことです。
できれば、“セガ鈴木裕復刻アーカイブス”や“セガ中裕司復刻アーカイブス”というシリーズを作って欲しいですね。
個人的な希望ですけどね。
『ガールズガーデン』について、いまだから言える当時の開発秘話を教えてください。
中新入社員としてセガに入って、新人研修で「女の子向けのゲームを作ってください」とのお題で作っていたゲームが、実際に発売することになって急遽体裁を整えてリリースしたのですが、いま思うとよく発売までこぎつけられたなあと思います。
作っている途中でデザイン担当の方が長期のお休みを取ってアフリカに行かれることになり、ドット絵も自分たちで打っていたんですよ。
いま見ると、ダメージを受けたときにハートが飛んでくる演出があるのですが、この動きひとつを作るだけでもかなり大変だったのを思い出します。
また、チャレンジングステージを作っているときには、そのチャレンジングステージだけを遊べるようにして作っていたのもあって、どんどん難しい配置を作るようになっていってしまい……。
そのままゲーム内に組み込んだものですから、いま見ると“女の子向けのゲーム”というお題だったのに、全体的にとっても難しいゲームになってしまいましたね。
お恥ずかしいです。
ですが、すべてクリアーできるように作ってありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
“セガ3D復刻プロジェクト”は、過去タイトルに3D立体視による新たな解釈と、モード追加による新たなプレイング体験をもたらすのが特徴のシリーズです。
本シリーズの取り組みについて、どのようなご意見、ご感想をお持ちですか?
中移植するだけでも大変なのに、3D立体視までやって、よくやってるなあと思います。
まさにやりすぎですね。
でもゲーム作りで、このやりすぎってのが後々とってもよかったりして、お客様に喜んでもらえることが多いので、とってもよいことではと思います。
自分でプログラムをやっているときは、かなりいろいろなことをマスターアップ前日まで仕込んでいたのを思い出しますよ。
多くは隠し要素でしたけどね。
“セガ3D復刻プロジェクト”のタイトルのうち、ご自身が手がけた作品で特に印象深いものと、その理由について教えてください。
中『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』でしょうか。
『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』は、メガドライブで2Pプレイを実現するため、メガドライブのソフトの中でもたぶん『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』でしか使ったことのない、インターレスモードを使って2P画面を作っています。
その画面まで再現できているのに驚きました。
BGのデータを8×8のデータでなく8×16で作ってあって、通常のメガドライブと違う画像の表示になるので、開発された方は分かりにくかったのではと思います。
久しぶりに遊んでみましたが、やはりケミカルプラントのZONE2の足場のプログラムがよくないのが悔やまれます。
もっとよいプログラムが書けたのに、ほんとに残念です。
こういう復刻のタイミングで修正すればよかったかもしれませんね(笑)。
ちなみに、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』ではバリア中にトゲに乗ったら弾かれて、着地点がトゲの上だとアウトなのですが、本当はダメージを食らった直後の数秒間は無敵状態になるはずなので、本来はアウトにならないのが正解です。
ですので、『ソニックJAM』のときからだと思うのですが、とっても気になっていた部分なので当時は自分で修正したのですが、その仕様がこの復刻版でも修正されていてよかったです。
“セガ3D復刻プロジェクト”シリーズ全29作に、もう1本足すとしたら、どのタイトルを3D立体視で復刻したいですか?また、その理由も教えてください。
中難しいんだと思いますが、セガサターンの『NiGHTS』や『バーニングレンジャー』を3D立体視で遊んでみたいですね。
がんばって3Dにしているので、立体視にするのはかなり大変かも知れませんけどね。
今年は2017年ですが、2018年はメガドライブ30周年、2019年はドリームキャスト20周年です。
それぞれに対する思いや、いまのセガに期待することを教えてください。
中メガドライブはとても思入れ深いハードです。
やはりカートリッジタイプのソフトをもっと続けたいと思っていたので、セガが新ハードに移行する話が出たときにも、CD-ROMじゃなくてカートリッジがよいと偉い人に進言していたのが懐かしいです。
テレビゲームを遊ぶのに、起動時間やローディング時間がどんどん長くなってきていますが、余暇を楽しむのに待ち時間が増えるのって、やはりおかしいと思うので、どこかで技術的な進歩があるのを期待して待っています。
また、セガで家庭用ハードが出てくれないかと密かに祈っています(笑)。
2017年の抱負をお願いします。
中2016年末に6本のアプリを出させていただきました。
それぞれいろいろなジャンルのゲームを出せたと思っています。
完全に無料で遊べるものもありますので、ぜひ一度ダウンロードして遊んでいただければと思います。
そして4年半前に出した『バディモンスター』のつぎの作品として出しました、『僕と私のキズナモンスター』も、モンスターとの絆を感じていただけるように作りましたのでぜひ遊んでみていただけると嬉しいです。
今年は任天堂さんからNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)も出るので、また家庭用ゲーム業界が元気になるとよいなと思っています。
今後ともプロぺをよろしくお願いいたします。
★『僕と私のキズナモンスター』(iOS/Android)→サイトはこちら
プレイヤーは新米バディナイトとなり、相棒モンスターと冒険の旅へ出るRPG。
基本プレイ無料。
★『電撃迷路VR』(iOS/Android)→サイトはこちら
VRヘッドセットを装着し、視線を動かしてゴールまでの到達タイムを競う。
価格は360円[税込]。
★『Crazy Open Car』(iOS/Android)→サイトはこちら
タイミングよくタップすると、オープンカーに早変わり。
ドライバーをシアワセにしていくアクション。
基本プレイ無料。
★『かみさまとすずにゃんこ』(iOS/Android)→サイトはこちら
和風なステージを舞台に、かわいいすずにゃんこがあっちこっちに跳ねまくる本格アクション。
基本プレイ無料。
★『10BATTLE』(iOS/Android)→サイトはこちら
つながったパネルをタップすると数字がまとまり敵を攻撃するという足し算パズルとRPGの融合作。
基本プレイ無料。
★『パイレーツオブコイン』(iOS/Android)→サイトはこちら
海賊たちと冒険の旅に出るプッシャー型コインゲーム。
基本プレイ無料。
※プロペ公式サイト