『UPPERS』高木Pの新居へ突撃!1つの区切りを迎えた漢が語る心境の変化と新作の魅力、そして目指す“テッペン”とは
これまで様々なタイトルを手がけ、“爆乳プロデューサー”の二つ名でも知られている高木謙一郎氏。
ドット系RPGに新たな刺激をもたらした『勇者30』や、美少女爽快アクション『閃乱カグラ』シリーズ、『VALKYRIE DRIVE ?BHIKKHUNI-』などの代表作があります。
特に『閃乱カグラ』シリーズは、3DSで鮮烈なデビューを果たし、最新作がPS4にもリリース。
幅広い展開はプラットフォームのみならず、TVアニメ化の実現など多岐に渡っています。
様々な人気タイトルを生み出してきた高木氏は、プライベートでも大のゲーム好き。
『閃乱カグラ ESTIVAL VERSUS -少女達の選択-』に関するインタビューを行った際には、数々のゲームソフトやハード、フィギュアなどが天井に届くほど並べ尽くされた、夢のような自室に招待されました。
ゲーム作りも、またゲームで遊ぶのもライフワークな高木氏。
その熱意は、最新作となる『UPPERS』にも受け継がれているはず……と思っていた矢先、高木氏が先日引っ越したとの情報をキャッチ。
ゲームファンならば誰もが羨むような、あの部屋を捨ててしまったのか? もしや高木氏は守りに入ってしまったのか? そんな不安が脳裏を過ぎります。
その真相を確かめるべく、『UPPERS』へのインタビューという体で、高木氏の新居へと乗り込む計画を立案。
もし新居がガチガチに守りに入った家ならば、ひとりのゲームファンとして一言言わなければなりません。
アロマが香る安らぎの空間でリラックスタイムとか、どういうことですか!(酷い偏見)
アロマと守りの関係性はともかくとして、そんな危惧を抱きながら高木氏の自宅に到着。
しかし出迎えていただいた高木氏に視線は向かず、ただただ上を見上げるばかりでした。
吹き抜けの壁は棚状になっており、そこにはスーファミやバーチャルボーイをはじめとするレトロハードなどがずらり。
また1階は居住空間なので比較的大人しめでしたが、2階は仕事場もリビングもソフトや本、フィギュア類がズラリ。
ひとつひとつチェックしていたら、今日は泊まり仕事になりそうです。
以前の部屋と比べても、変わらないどころか規模が大きくパワーアップしている新居。
高木氏は、新居でも立派に爆乳プロデューサーでした。
攻め攻めのアゲアゲです。
疑ってしまい、すみませんでしたっ!
こうなってはもう、こちらも全身全霊で『UPPERS』のインタビューを行うしかありません。
これまでのタイトルとは一見大きく変化したように見えて、「バイオレンスとセクシャル」という軸は変わらない『UPPERS』の本質へと迫り、その魅力をより多くの方にお伝え出来ればと思います。
今回も高木氏はブレていません。
◆高木氏の引っ越しは、ゲーム作りとも関係が
──早速『UPPERS』のお話を…と言いたいんですが、すみません。
どうしてもこの新居が気になりまして(笑)。
吉祥寺の頃よりも、更にパワーアップしましたね!
高木氏:より大きく、広くなりました(笑)。
まだ引っ越したばかりなので、整理とかまだ全然なんですが。
もっと、ちゃんと並べたいですしね。
──ここからまだ更に進化するんですか!
高木氏:一段落つくのは、半年後くらいですかね。
色々忙しくて(笑)。
──今回引っ越しされたのは、心機一転などの意味があったんですか?
高木氏:実は、今年でちょうど40歳になるんです。
30代のほぼ全てをマーベラス(でのゲーム制作)で過ごしてきて、様々なタイトルをやらせてもらい、ここまで来ました。
その道のりを経て自分の中で変わってきたものもあり、一つの区切りとして環境を変えてみようかなと思い立ちました。
後は……ちょっと都会が疲れてきまして(笑)。
もともと僕は、岡山の出身なんですよ。
東京に憧れて上京し、最高に楽しい中央線の存在に気づき(笑)、毎晩ゲームを作りながらお酒を飲む。
そんな生活をずっと送っていたんですが……疲れて帰ってきた時に、「道が狭いな」と、ふと思いまして。
──道が狭い。
なんだか重さを感じる一言ですね。
高木氏:文字通りの意味なんですけどね(笑)。
今までは、その「狭さ」も良かったんですよ。
一箇所に色んなものがぎゅうぎゅうに詰まっているというのは、やっぱり便利ですし。
でも、この歳になって改めて振り返ると、逆に嫌だなと感じるようになりまして。
おそらく、田舎者の本性が出てきたんだと思います(笑)。
──都会への憧れがひとまず満足した感じですすか?
高木氏:満足というか……色々やり残したはあるんですけど、「吉祥寺に住んでいていても、吉祥寺を堪能してないな」と思ったんです。
TSUTAYAと深夜までやってるゲームショップくらいですよ、吉祥寺で利用してたのは(笑)。
平日は、夜中しか吉祥寺をうろつくことがなくて。
かといって土日は、人が多いじゃないですか。
余計に行きたくなくなって(笑)。
なので、もったいないことしてるなと、改めて感じたんです。
家賃も高いですしね(笑)
──ゲーム作りで忙しくて家にいる時間が少なかったら、家賃も余計にもったいない感じしますしね。
高木氏:もちろん吉祥寺は、好きな街なんです。
だから接し方を変えようと思いまして。
別のところから「遊びにいく街」にしたら、もっと街を愛せるんじゃないいかなと(笑)。
──好きで居続けるために、つきあい方を変えたんですね。
どこか、ゲーム作りにも関わりそうなやり方ですね。
高木氏:つきあい方もそうですが、時間の使い方を変えたいというのもありますね。
もちろんゲーム作りも含めて……というか、そこが大前提ですし、一番大事な点です。
自分が窮屈な状態だと、やっぱり発想も窮屈になりそうで。
──新しい場所で、新しいゲームのアイディアや発想を生み出していきたいとの思いがあったと。
この引っ越しを機に、クリエイター・高木氏の新たな面が出てくるかもしれませんね。
◆『UPPERS』を企画した心情に迫る
──それでは、ここからは『UPPERS』に関して詳しくお聞かせください。
まずは、どのような経緯で本作の企画が動き出したのでしょうか。
高木氏:中学生くらいのころから、いわゆる美少女モノと、男を中心としたアウトローモノを好んでいました。
なので(アウトロー方面でも)「何かやりたいな」という思いがずっとあったんです。
──その想いが、大きなポイントだったわけですね。
高木氏:ドット絵のRPGを作りたい、という想いもずっと抱えていたんですが、そちらは後に『勇者30』で果たすことができました。
また美少女モノに関しても、『一騎当千』や『閃乱カグラ』シリーズなどを手がける形になりまして。
そうした歩みを経て30代を振り返り、「何をやり残しただろう」と考えた時に、ヤンキーテイストなどのアウトローモノだなと思い当たったんです。
──なるほど。
これまで好評を博してきたタイトルと、出発点は同じだったと。
高木氏:その想いに気付いたら、もう誰に何を言われてもやりたい、という気持ちになってしまって(笑)。
やらないと次のステップに行けない、という感じでしたね。
やることやって、スッキリして次に行くべきだなと(笑)。
──本作にも相応しい、男らしい台詞ですね(笑)
高木氏:とにかくやり切りたい、という熱意を重視して取り組みました。
──熱意が『UPPERS』の原動力だったんですか。
しかし想いがあれども、新規IPの立ち上げというのは大変だったのではないでしょうか?
高木氏:確かに現実的には、「それは面白いのか」「売れるのか」といった話にはなりますよね(笑)。
本作に限らず全てのタイトルに関して社内で論議が行われるんですが、今回も「いいね」と推してくれる方もいれば、「うーん」と悩まれる人もいましたね。
ただ、新しいことをやっていかないと、ダメになってしまうと思うんですよ。
何事もチャレンジしていくというのは社風でもあるので、1人の作り手として実践していくべきところでもありました。
──ではそういった挑戦は、本作ももちろんですが、今後も続けていくと。
高木氏:そうですね、死ぬまで(笑)。
──おおー!(笑)では今後の話は改めて伺うとして、引き続き『UPPERS』に関してお願いします。
ちょっとお答えしにくいかもしれませんが、予約数の集まりが悪かったため発売が延期されましたよね。
当時の率直な気持ちをお聞かせください。
高木氏:僕をはじめ開発に関わったスタッフたちは、いいものを作ったと思っています。
そのため、1人でも多くの人に遊んで欲しいという気持ちがありました。
この気持ちそのものは、本作に限らずいつもありますが。
ただ、頑張ったからどうだというのは、買う側にとっては関係ない話だとも思います。
そこは当然分かっている上で、それでも興味を持ってくれる方を1人でも多く増やしたいという気持ちが大きかったですね。
もちろん、既に予約して下さった人たちには待たせてしまうことになるので、申し訳ないと思ったのですが。
ビジネス的には当然リスクを負うんですが、長期的に考えてた上で、可能性の芽を最大限作りたいという想いでした。
自分らの給料だけ考えるなら、そこですっと出してしまった方が楽な部分もあるんですけどね(笑)。
──経営的な意味で、延期せず出した方がいいという声もあったんですか?
高木氏:それはやっぱりありましたね。
それも正しいと思います。
プロである以上、そうあるべきだと。
……でもやっぱり、エンタメをやっている会社として、ひとつひとつのタイトルを大切にしていきたいんです。
年度年度の数字も大事ですけど、こういったやり方に関して、ウチの会社はすごく理解があるので。
普通の会社でやったらスゲー怒られて、しっちゃかめっちゃかになると思いますよ(笑)。
──発売の延期だけでなく、より手頃な価格に改定もしてますからね。
この判断を下すのは、相当の覚悟があったのかなと感じました。
高木氏:何かが変わらなかったとしても、その時に思ったり、みんなで考えたことは、やっていこうという姿勢でした。
後から「ああすればこうすれば」というのは、言いたくありませんからね。
──知ることができれば本作に興味を持ってくれる方々に、少しでも広めたいがための延期、そして手に取りやすい価格を目指した改定だったと。
高木氏:『勇者30』や『閃乱カグラ』のような、「30秒でクリアできる!」「飛び出すおっぱい!」といった刺激的なキャッチーは敢えて作らなかったんです。
中間のいいところを突くような、変化球過ぎないところとでも言いますか。
──言われてみると、これまでの高木さんが手がけたタイトルと比べると、直球路線に近いかもしれませんね。
高木氏:その、ちょうどいいポイントにうまくハマれば、長く続くタイトルになるんじゃないかなと思いまして。
だからこそ難しい、というのもあるんですけどね。
──伝えるという点で言えば、振り切った方が伝えやすいですよね。
『UPPERS』の告知が難しかった一面も見えた気がします。
そういった点も含め、苦戦するかもといった予感などはありましたか?
高木氏:苦戦するかも……と思いながらは作ってませんね。
どんなに自分がイケてると思っていても、苦戦する時はするので(笑)。
少なくとも僕らチームは、面白いものを作ってると思って開発しました。
<Font Size=”2”>……予約だ売上だというのも重要なんですけど、あんまりそっちばっかり見てもねぇ……(笑)。
</Font>
──小声で何か聞こえたような!?(笑)
高木氏:まずはゲットして楽しめることが大事ですから。
そして……後からきっと(売り上げが)ついて来るかもしれない、という妄想はありますね(笑)。
そういう展開になることは正直ほとんどないんですけど(笑)。
──リアルなお言葉ですね!(笑)
高木氏:ちょっと違うかもしれませんが、コカ・コーラのようなものを作りたいんですよね。
ずっと売れ続けていて、その中で少しずつ改良されていくような。
──クリエイターとして目指したい地点のひとつが、そこなんですね。
◆企画書にないものをスタッフが勝手に制作!? その行いに対して高木氏は……!
──それではここからは、『UPPERS』のゲーム内容に関して伺います。
発売が目前へと迫りましたが、まだ本作をあまり知らない方に向けて、『UPPERS』の魅力をズバリ教えてください。
高木氏:誰でも遊べる爽壊アクションゲームです。
面白いアクションゲームはこれまでにもたくさんあると思いますが、僕らの売りのひとつにもしている「バイオレンス」と「セクシャル」が今回も無論盛り込まれています。
──『一騎当千』や『閃乱カグラ』などでもお馴染みの二本柱ですね。
高木氏:今回のセクシャルは、「ラッキースケベ」や「パンチラスロット」などがありますが、こういったセクシャル面とアクション性が本作では融合しています。
これが新しい感覚や興奮を生み出しており、『UPPERS』の大きな魅力のひとつです。
──男としての感情が揺さぶられる切り口ですね(笑)。
少し具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。
高木氏:例えばプロレスのような格闘技イベントでは、魅せるプレイをしたらお客さんがワーッと盛り上がるじゃないですか。
そうすると選手のテンションも更に上がって、闘いがどんどん派手になっていくと。
そんな流れを、ゲームプレイを通して楽しめるようになっています。
ゲームファンにとって身近なところで言えば、ゲームセンターにおけるギャラリーとの関係性にも似てますね。
周りにたくさん人がいて盛り上がっていたら、魅せるプレイをしたくなるじゃないですか。
……そのせいで負けてしまうこともありますが(笑)。
──ありますあります(笑)。
高木氏:そういう、自分の“気分”がプレイの中に反映されていくというゲームになっています。
もちろん、魅力的なキャラクターやコレクション要素、個性的なストーリーなども、欠かせない点ですけどね。
それと新規の一作目なので、過去作を勉強する必要もありません(笑)。
スッと楽しめるのもポイントかもですね。
あとは……頭を空っぽにして遊べるゲームなので、疲れて帰ってきた時のストレス発散にもいいですよ。
「あいつムカつくなー」と、嫌な上司とかをイメージしながらプレイするのも一興かもしれません(笑)。
──次の日にすっきりして家を出られそうです(笑)。
ちなみに本作の核となるアクション面に関してですが、この部分に関するポイントは何でしょうか?
高木氏:「重さ」や「痛み」ですね。
今回は男性キャラがメインなので、その分思いっきりやってもいいんじゃないかなと(笑)。
これまで(の過去作)ではやりにくかった表現をやりたかった、というのもひとつのポイントでした。
その反面、遊びやすさや楽しさも無論大事なので、「重さ」を残しつつも動きの制限を極力減らすといった調整も行いました。
──その一端が、体験版1から体験版2への進化ですね。
(※行動キャンセルの大幅な開放など)
高木氏:コンシューマー機の醍醐味である「ボタンを押した時の気持ちよさ」は、今回も大事にしました。
──先ほど伺った爽快感に繋がる部分ですね。
ちなみに、体験版2から製品版までに進化した部分はありますか?
高木氏:細かいアクションの調整なども入れていますが、大きなところだと「パンチラスロットル」の演出ですね。
いい役が出来るときは画面いっぱいに出るんですが、あの演出が「恥ずかしい」と思う方も結構いたんです。
「あんな画面が出てきたら、電車の中でプレイできねーよ!」みたいな(笑)。
──あ……確かに、そこはかなり困りそうですね(笑)。
高木氏:そういった声があったので、オプションでON/OFFできるようにしました。
ちなみにOFFの時は、画面の左端で小さく回ります。
──通常の役と同じ扱いなんですね。
中高生くらいの時って、本心としては見たいけどその姿を友達に見せたくない、って感じありますよね(笑)。
高木氏:「お前、ONにしてんのかよー?」みたいな(笑)。
──ユーザーによっては重要な進化と言えそうですね(笑)。
続いて本作の物語に関してですが、どのような方向性のストーリーになっているんですか?
高木氏:アホみたいにケンカしているだけだとイカンので(笑)、「強くありたい」「モテたい」というところからスタートし、色んな人と関わっていくことで考えなどが変化していきます。
──成長が描かれていくんですね。
高木氏:技などもそうですし、精神的にも成長します。
分かりやすく、かつ熱いストーリーになっていると思います。
──バトルと共に展開も盛り上がっていく、と。
高木氏:『UPPERS』に限らずなんですが、僕の好きなゲームのエッセンスもちょいちょい入っているので、それを見つけてみるのも楽しいかもしれません。
本作の舞台になっている島の名前が「ラストリゾートアイランド」なんですが、これもSNKの『ラストリゾート』の響きが気に入ってまして。
とにかくネオジオのゲーム、大好きなんですよ(笑)。
──見つけた時に、ニヤッとしてしまいそうです(笑)。
あと重要な、「モテ要素」に関しても教えてください。
高木氏:今回、女の子たち(クイーン)をバトルに一緒に連れていくことで、親密度を上げていくことが可能です。
信頼度が上がるとパーソナルデータが明らかになったり、バトル中の恩恵がより大きくなります。
「ご褒美ムービー」みたいなものも見られたり(笑)。
また小ネタとしては、クイーンに向かって「挑発」を行うと、ちょっと照れたりみたいなリアクションがあったりします。
──『閃乱カグラ』で言うところの「更衣室」に当たる場所があるのも嬉しいです。
あそこでクイーンの姿をじっくり拝めますし。
高木氏:実は、僕が用意した企画書の中には、あの場所のことは一切書いてないんです。
──えっ、どういうことですか?
高木氏:僕は何も言ってないのに、開発スタッフが「これ、要りますよね?」と、ある日いきなり見せてきて。
勝手に作っていたんですよ(笑)。
──特に指示もなかったのに、必要だろうと思って先回りしてくれたんですか、スタッフさんが!(笑)
高木氏:そうなったらもう、「最高じゃねーか」としか言えませんよね(笑)。
本当にありがとう、みたいな気持ちでした。
──高木さんのこれまでの積み重ねを、開発スタッフが汲んだんですね。
高木氏:『閃乱カグラ』も『ヴァルキリードライヴ』も『UPPERS』も、開発スタッフはそれぞれ別なんですよ。
でも皆さんが、(高木さんの過去作よりも)「更に面白いものを作らねば」と切磋琢磨してくれてるんですよね。
──その結果、よりよいものがユーザーさんの手元に届く……これは、嬉しいスパイラルですね。
高木氏:それはもう本当に、絶対いいことですよね。
──ちなみに、高木さん個人が推したいキャラクターやクイーンとかいますか?
高木氏:そうですね、主人公格の乱麻やミチルも好きなんですけど、白石凪といういじめられっ子を推したいですね。
あのキャラも好きな漫画の影響を受けてまして(笑)。
いじめられてた子が徐々に強くなったり、強くなる過程で歪みを抱えていったりとか、熱いですよね。
あとクイーンだと、中田松子が個人的に絶賛大ブームです。
訛り女子、いいですよ!(笑)
──方言キャラっていいですよね。
一ゲームにひとりくらいいて欲しいです(笑)。
高木氏:なかなか難しい面もあるんですよね。
声優さんとキャラのイメージの兼ね合いとか。
『閃乱カグラ』でも岡山弁のキャラがいるんですが、あれは僕が岡山弁を監修できるので実現しました。
──方言喋る女の子って、優しそうだったり、気持ちがよりこもってるように聞こえたりしますよね。
高木氏:僕が育った岡山・広島あたりだと、ちょっとキツい言い方になるんですよね。
だからその分、余所の柔らかめの方言に惹かれたりしますね(笑)。
──分かります分かります(笑)。
ところでクリアまでにかかる時間などは、目安としてどのくらいでしょうか?
高木氏:やりようによりますけど、ストーリークリアまでは大体10〜12時間くらいになりますね。
そこからコンプなどを目指していけば、20時間、30時間と遊べる内容を用意しています。
ちなみに調整の段階で、繰り返しによるやり込み要素などは非常に易しくして、ストレスなく楽しめるようなバランスにしました。
その結果、10〜12時間でぎゅっと凝縮して遊べるものになっています。
ひたすらやり直させるような要素は、極力なくしました。
──作業的なものは、やっぱり辛いですからね。
高木氏:テンション下がっちゃいますしね。
──ゲームプレイそのものもアゲアゲ、と(笑)。
ちなみにクリアして解放される要素などはありますか?
高木氏:ちょっとありますね(笑)。
プレイしてのお楽しみということで。
◆高木氏が目指す“テッペン”はゲーム業界の終焉!? 今後の展開にも言及
──ここからは、『UPPERS』や高木さんのこれからについてお聞かせください。
まず本作は、大道寺先輩が先着購入特典のDLCで参戦しますが、この他のDLCは予定されていますか?
高木氏:いえ、他のDLCは予定していません。
──本編と各種特典が『UPPERS』の全てなんですね。
では『UPPERS』自体の展開も、現段階予定しているものは、本作の発売で一区切りと。
高木氏:そうですね。
僕の中でも「一発勝負」みたいに思っていたので。
あんまりダラダラとやるタイトルじゃないなと。
──では、これは予定などではなく、あくまで個人的な希望で構わないのですが、『UPPERS』続編への意欲や、そこに向けた構想などはありますか?
高木氏:構想は常にありますし、すげーやりたいですね(笑)。
バイオレンスとセクシャルを、ギラギラのネオンの中で、もっと派手に、みたいな。
今回ちょっと出来なかった点なんですが、オーディエンスの気分が盛り上がった時にみんなが脱ぎ出す、というのをやりたかったんですよね(笑)。
なので、続編とかで是非やりたいです。
あとは、実写化とかも見てみたいかな。
Vシネ的な感じがいいなぁ(笑)。
──『閃乱カグラ』とはまた別の広がり方ですね。
それでは次に、高木さん自身の、今後の展開や動きなどを伺ってもよろしいでしょうか。
高木氏:今後もオリジナルタイトルを続けたいですし、『閃乱カグラ』が今年5周年を迎えるので、当然何もやらないということはありません(笑)。
色々なタイトルを応援してもらっているので、その声にも応えていきたいと思ってます。
──意味深なツイートもありましたよね?
高木氏:あれは、次の『閃乱カグラ』の主題歌です。
みんな、お察しな感じで受け止めていただいてるかなと(笑)。
──『閃乱カグラ』といえば、Steamでも配信されて、かなり高い評価を博してますね。
高木氏:はい、有り難いことです。
元々『閃乱カグラ』は日本でしか売る気がなかったんですよね。
なかったというか、中途半端な形で「世界を狙って」とか言ってもね?(笑) そういう規模感でもなかったので、日本の一部ユーザーに向けて絞った感じでスタートしたんですが、逆にそれがウケてしまいまして(笑)。
もう本当に驚きました。
──あくまで確定の話ではないという前提で、Steamには今後も力を入れていきたいとお考えですか?
高木氏:そうですね。
まずゲーム専用機へのリリースが最優先ですが、PCという舞台も今後欠かせなくなると考えています。
より広く遊んでもらいたいので、海外のファンに送る選択肢として、PCという道を選ばない理由はないですね。
──日本のゲームファンの中にも、ゲームハードは持ってないけどPCで出るなら遊んでみたい、と思う方もいるでしょうしね。
高木氏:僕自身ですらちょっと思いますからね。
これ以上ゲームハードが出たら、どこに置けばいいんだろう(笑)。
並べられないし、待機電力も相当ですしね。
──Steam方面でのご活躍も、今後期待しておきます。
ところで『UPPERS』では、神代乱麻たちがラストリゾートアイランドの“テッペン”を目指しますが、高木さんにとっての“テッペン”とはなんでしょうか?
高木氏:酔っぱらうといつも言ってることなんですけど、僕の目標はゲーム業界を終わらせることなんですよ。
おそらく無理なんですけど、「これ以上はない」という究極の1本を出したいんです。
これが出たらもうゲーム業界終了するしかないだろう、みたいな(笑)。
──おお! 壮大な“テッペン”ですね。
高木氏:これがあれば、新しいゲームなんて必要ないって1作を生み出してみたいなと。
その1本に近づいていくことが、自分にとっての“テッペン”なのかもしれませんね。
多分達成できませんから(笑)。
だからこそ、一生続けられる仕事なのかなとも思います。
──無理かもしれない。
でも近づきたい。
それが高木さんのクリエイターとしての姿勢なんですね。
では最後になりますが、購入を迷っている方への後押しも込めて、読者の方々にメッセージをお願いします。
高木氏:7月14日(木)に『UPPERS』が発売となります。
新しいタイトルなので、手に取るハードルは高いかもしれませんが、価格も安いですし面白くなかったらすぐ売ってくれていいので(笑)、まず遊んでいただけると嬉しいです。
中古で買ってもらってもいいですし、半年後や1年後に思い出して買ってもらっても、また借りて遊んでもいいと思ってます。
何らかしらの機会で触れてもらえると嬉しいですね。
遊んでもらえることが基本であり、全てなので。
是非、頭の片隅に『UPPERS』というタイトルを覚えておいてください。
──本日はありがとうございました!
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
『UPPERS(アッパーズ)』は2016年7月14日(木)発売予定。
価格は、パッケージ版が4,980円(税抜)、ダウンロード版が4,611円(税抜)です。
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